NATOの「ウクライナ」サミット

ロイター通信撮影

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9月5日、NATOサミットでは、ロシアと国境を接する加盟国の状況が主な議題となり、ロシアは、クリミアを編入しウクライナ南東部へ侵攻したとして事実上NATOの全28加盟国からの厳しい非難に晒された。

 ウェールズでのサミットの最も期待された文書は、「ロシアの脅威」に対抗してNATOが即応部隊を創設することを明記した最終宣言である。

 NATOのアナス・フォー・ラスムセン事務総長は、記者会見でこう述べた。「即応部隊は、ローテーションの原則に基づいてNATO加盟国の軍隊で構成され、命令に即座に対応する。この部隊は、正規軍と特殊部隊の混成部隊であり、速やかに移動し力強く攻撃でき、必要な際には、陸上部隊の行動が空と海からの支援を受ける」。

 ラスムセン氏は、この部隊の規模について明言しなかったが、情報筋によれば、兵員は約4千人とみられ、隊員らはNATOのあらゆる加盟国に48時間以内に展開できる。NATOは、この部隊を「バルト諸国の不安定化を図るロシアの考えられるプランを抑止する効果を及ぼす手段」とみなしている。

 バルト諸国およびその他の東欧諸国は、ウクライナ危機の当初からNATOに対して自国の安全を保障する措置を直ちに講じるよう求めていた。しかし、ドイツをはじめとするNATOのその他の加盟国は、NATOが東欧に大規模な軍隊を常駐させない義務を負った1997年のロシアNATO基本文書に抵触することを危惧していた。ウェールズで達せられた即応部隊のローテーションに関する決定は、事実上NATOの部隊がロシアの国境付近に常駐することになるものの、その文書に違反しないことを可能にする。

 これとは別に、イギリス、デンマーク、ノルウェイ、オランダ、ラトヴィア、リトアニア、エストニアのNATO加盟7ヶ国は、木曜日、いわゆる「共同派遣部隊」もしくは小規模の即応部隊の創設に関する協定に調印した。そうした部隊の創設を呼びかけたのは、イギリスであり、同部隊は、同盟国を守る迅速な軍事作戦を実施するばかりでなく、自然災害や人道危機に見舞われた地域での活動も行い、陸・海・空の部隊で構成される。情報筋によれば、この協定はいわば趣意書であり、今秋、共同派遣部隊の配備の場所や構成や兵員および各国の負担に関する話し合いが行われる。

 

NATOの決定を危険視するロシア 

 ロシアのアレクサンドル・グルシコNATO常任代表は、NATOの新たな方針は地域およびグローバルな安全保障を大幅に脆弱化させかねない、とし、テレヴィ局「ユーロニュース」の番組でこう述べた。「NATOは、そのための根拠が一切ないにもかかわらずロシアに対する軍備を進めているとともに、NATOがロシアを含む外国のプレーヤーとの協力なしには効率的に行動しえない問題をめぐるロシアとのパートナーシップの可能性を断ち切っている。NATOの行動は恐怖症に起因するものであり、それを戦車や追加部隊の配備によって治癒することはできない」。

 一方、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、まさにミンスクでのロシアとウクライナの大統領の会談およびプーチン大統領による7項目からなる和平プランの提示の後にウクライナがブロック外のステータスを放棄してNATO加盟を進める必要性に関する要求を打ち出したのは偶然ではない、とし、先頃、モスクワでこう述べた。

 「残念ながら最も有力なプレーヤーである米国を含む一部の西側のパートナーは、NATOが勝利すること、アメリカが自国の意思をすべての国に押しつける状況が勝利することを欲しているが、米国のバラク・オバマ大統領が演説で繰り返し述べているこの排他性の構想は、好い結果をもたらさない」。

武器を供与されるウクライナ 

 実際、サミットの参加者らは、NATOウクライナ委員会の会議に出席するためにウェールズを訪れたペトロ・ポロシェンコ大統領に、軍事支援を約束した。しかも、ポロシェンコ氏によれば、一連のNATO諸国との主な合意は、高精度の兵器を含む「致命的および非致命的な」武器の供与に関するものである。ただ、同大統領は、まさにどの国がどのような兵器をウクライナに供与するかは明らかにしなかった。

 ウクライナのNATO加盟に関する問題は、どうやら、ウェールズサミットでは取り上げられなかった。ポロシェンコ氏は、ラスムセン氏が在席する場でこう述べた。「その機はまだ熟していない。ウクライナは、まずNATO加盟のために必要な改革を実施せねばならず、国が加盟のすべての基準に見合う時に国民がいついかなる形で加盟が行われるかを決定する」。