ニコライ・ラゾレンコ撮影/ロシア通信
「コメルサント」紙は、ウクライナ大統領選に勝利したペトロ・ポロシェンコ氏が国民への忠誠を誓い、正式に国のトップに就任したと伝えている。
ポロシェンコ新大統領は大統領就任式の演説で、最優先課題を示し、ウクライナ東部の情勢の平和的な正常化計画を打ち出した。連邦化は否定しながらも、ウクライナ東部との対話を開始することを約束。東部の困難な経済状況に対する全責任は、ビクトル・ヤヌコビッチ前大統領にあると批判した。
「ウクライナ兵と平和的な市民の血で手が汚れていない者、テロへの資金提供に関与していない者」への恩赦を約束し、東部でも実施が予定されている最高会議の解散選挙を支持。近いうちに東部に赴き、ドネツィク州とルハンシク州の平和的な分離支持者と協議を行うことも約束した。
ポロシェンコ新大統領は欧州連合(EU)加盟の方針も示した。「近い将来、EUと連合・自由貿易協定を結び、今年末までにはEUとのビザ自由化にこぎつけたい」
前途多難なポロシェンコ氏の大統領就任式(ガゼータ・ル紙)
「ガゼータ・ル」紙は、ペトロ・ポロシェンコ氏の大統領就任式が粛々と行われ、最高会議での演説はキエフ市民に向けられていたと伝えている。
ポロシェンコ氏が最高会議の次に向かった聖ソフィア大聖堂前の広場に集まった市民は、新大統領について「最後の望み」、「東部を鎮めることができる」、「秩序を整えられる」、「プーチンと折り合いをつけられる」などと話していた。東部に平和をもたらし、ヨーロッパに目を向け、汚職と戦うことを約束している新大統領には、大きな期待が集まっている。
一方で、就任式が行われている時、キエフ市内の中央選挙管理委員会の建物付近では、ルハンシクのナンバーをつけた車が爆発した。爆発物は車の裏側に設置されていたという。警察はこの事件をテロと断定した。
この就任式で注目すべき点は、ロシアの大統領も首相も不在だったことだと、政治学者のアレクセイ・ブリュムニノフ氏は指摘。「クレムリンがポロシェンコとの協議で、どのような外交レベルを維持するかを示すもの。ウクライナ政府がクリミア奪還やロシアへの多額の補償要求といったアネグドート(お笑い小話)をして、大衆を喜ばせるのをやめない限り、ウクライナとロシアの大統領の会談は、ノルマンディーあたりの外交朝食会の合間ぐらいでしか行われないだろう」
外国の要人が多数欠席(ヴズグリャド紙)
「ヴズグリャド」紙は、ロシアがペトロ・ポロシェンコ氏の大統領就任式に在ウクライナ大使を派遣した一方で、外国からは大統領や首相が20人ほど出席していたことが印象的だったと伝えている。
外国の要人は、新大統領の合法性を証明する存在である。ただ就任式は、西側の要人に「国民が静まり返っている」ことも示した。「オレンジ革命」やユシチェンコ氏の大統領選勝利の後は、キエフの独立広場に50万人ほどが集まり、お祭り騒ぎだったが、今回はいかなるイベントもなかった。
ポロシェンコ新大統領は就任式の演説で、いかなる連邦化もないこと、ロシア語に公用語のステータスは与えられないことなど、今後の政策を示した。
ウクライナ南東部で起きた反対運動の参加者については、「重犯罪に関与していない者」に恩赦を与えることを約束した。ただ「ギャングとは話をしない」と述べたことから、「ギャング」や「テロリスト」扱いされている、南東部の義勇軍(親露派)に対する特殊作戦は、今後も続くことが明らかとなった。ポロシェンコ氏が大統領選で勝利した後、反テロ作戦は勢いを増し、軍は大砲や戦闘機を積極的に使用している。
秋までには、ポロシェンコ新大統領が西側の助言に頼らずに国をしっかりと収められるか、東部の紛争の段階的縮小を行えるかがはっきりするだろう。
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