ロシア人記者の解放に全力を

写真提供:ウクライナ国防省の情報部

写真提供:ウクライナ国防省の情報部

ロシアの「ライフニュース」テレビの記者、オレグ・シジャキン氏とマラト・サイチェンコ氏が18日、ウクライナ東部のドネツィク州クラマトルスク市近郊でウクライナ国家親衛隊によって拘束された事件。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は19日、欧州安全保障協力機構(OSCE)に対し、記者解放のためにあらゆる手立てを講じるよう求めた。在キエフ・ロシア大使館はこのような動きがすでに体系的であることを指摘した。

外務省や大使館の反応

ロシアの記者は、ウクライナ暫定政権側から何度も妨害を受けている。

ウクライナ警察は19日、全ロシア国営テレビ・ラジオ会社の記者に対し、ウクライナから出国しない場合は、刑事事件として立件すると警告した。記者には何らかの重罪の嫌疑がかけられていたが、具体的にそれが何かは伝えられていない。

15日にはウクライナ当局がロシアのRTテレビの撮影班に発砲。13日にはライフニュースの記者(5日後に拘束された)が銃撃にあった。

9日にはウクライナ国家親衛隊がマリウポリ市で、RTテレビの記者フョードル・ザヴァレイコフ氏に怪我を負わせた。

2日にはウクライナの狙撃兵がスロヴャンシク市近郊で、コムソモリスカヤ・プラウダ紙の記者の乗っている車に発砲した。

ウクライナ暫定政府は他にもロシアの記者の活動を妨害しており、多くがウクライナへ入国することができず、すでに入国している記者は好ましくない報道をしたとして強制退去させられている。16日にはロシアの記者10人が、「許可なしに国境付近で活動する」可能性があるとして、入国を拒否された。

 ロシア外務省人権問題担当のコンスタンチン・ドルゴフ氏は、ウクライナ暫定政府が報道の自由な活動を守る義務を著しく怠っていると述べ、こうつけ加えた。「ウクライナで当局によって拘束された記者の速やかな解放のために、OSCEは必要なことをすべて行うべき」

 ラブロフ外相はこれより前に、OSCEに対して同様の呼びかけを行っていた。

 ロシア外務省はこう伝えている。「ラブロフ大臣はOSCE議長国スイスのディディエ・ブルカルテル大統領と連絡を取り、ロシア人の速やかな解放のために可能な手立てすべてを至急講じるよう求めた。ロシア外務省はロシア人記者をめぐる状況の速やかな正常化を目指して活動を続ける」。ブルカルテル大統領は問題解決にあたることを約束した。

 在キエフ・ロシア大使館は、ウクライナで記者の拘束が体系的に行われていると指摘。「ロシア人記者がウクライナ当局に拘束されたのは初めてではない。4月16日には全ロシア国営テレビ・ラジオ会社の撮影班がウクライナ軍関係者によって拘束された。4月23日にはロシアのテレビ局『NTV』のステパン・チリチ記者が、ドニプロペトロウシク州のペルヴォマイシケ周辺で地元の自衛団代表によって拘束され、暴力をふるわれた。ウクライナの軍事・司法機関によるロシア人記者の業務妨害については、ウクライナのさまざまな市町村から報告が入っている」。

 このような行動は、「ウクライナにいる外国人記者に活動制限がないことをウクライナ側が何度も明言しているにもかかわらず、外国駐在のマスメディア代表の活動を定める国際法の規定を破っている」と外交官は考えている。

 

ライフニュースの記者の拘束

 ウクライナ国防相は、ライフニュースの記者の拘束を認めている。

 ライフニュースによると、交流サイト(SNS)には拘束されていることを証明する写真が掲載されたという。「写真で記者が後ろ手に縛られて座っていることがわかる。後方には軍人が立っている」

 ウクライナ軍の動画には、頭に袋をかぶせられ、手を縛られ、地面に抑えつけられているロシア人記者が映っている。

 

「ロシアは厳しい立場を取るだろう」

 ロシア記者協会のフセヴォロド・ボグダノフ会長は、ヴズグリャド紙の取材に対し、ウクライナで記者が苦心していることを語った。「法律家を含む協会のグループが現在、ちょうどウィーンにいて、キエフの記者とこの問題について協議を行っている。健全な思考が勝り、記者が解放されることを祈っている」。海外の記者協会には、今回ウクライナで起きたことに対する厳しい報道を期待している。

 ロシア下院(国家会議)情報政策委員会のヴァジム・ジェニギン第1副委員長は、ロシア政府がこの拘束に対して厳しく反応するだろうと話した。

 モスクワ人権局の局長で、国連人権理事会の会員であるアレクサンドル・ブロド氏は、国連が最新の報告書で「ウクライナでの記者に対する強圧など、人権侵害を認めた」と話す。ウクライナではロシアのテレビ局の活動妨害が続いているという。

 

元記事(露語)

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