ネコというのは高いところに登るのが好きなものである。高いところにいると、安全だと感じることができるし、周囲をよく観察することができるからである。ユキヒョウはその意味ではあらゆる種類のネコを上回っている。斑点のある野生動物であるユキヒョウは中央アジアの岩山に生息しており、天山山脈、パミール高原、ヒマラヤなどの海抜1500~1600㍍の高地でその姿を見ることができる。ロシア国内では、シベリア南部、東サヤン山脈やアルタイ山脈に住んでいる。ユキヒョウの個体数は数万頭で、国家によって保護されている。
到達困難な場所に生息していることから、ユキヒョウについてはあまり知られていないが、その中でも謎とされているのが尾に関するものである。自然保護区や動物園で撮影された写真を見ると、ユキヒョウが尻尾を歯で噛んでいる様子が映されていることがしばしばある。
ユキヒョウの体はそれほど大きくはない。体長は1㍍弱で、体重は50㌔ほどである。ヒョウよりも小さく、トラよりも小さく、ヤマネコよりも少し小さい。しかしこれは尾を含めなかった場合である。ユキヒョウの尾は本当に立派である。大きく、ふわふわしていて、その長さは体と同じくらいで、ネコ科の動物の中でもっとも長い。これは美しさのためではなく、生き残るために必要なものである。岩や渓谷を走りまわるためには、一定のスキルと身のこなしが必要なのである。そこで尾は、山の中でバランスをとるのを助けてくれるのである。ユキヒョウが切り立った岩をどのようにして駆け回っているのか見てみると分かる。足下を見ることもない。
ユキヒョウは休息をとるときには、普通のネコと同じように、丸くなって、自分の尻尾を口に加えている。その理由の一つは、温まるためである。ユキヒョウは冬になると、暖かい「シューバ(毛皮のコート)」を身につけるが、山の上はかなり寒いため、ふわふわの尾があるとより暖かい。また雌のユキヒョウは、生まれたばかりの子どもが凍えないよう、自分の尾で覆う。
またときおり、ユキヒョウは歩きながら尾を歯で噛んでいることがあるが、これは、尾が重くて、歩くときに疲れるからなのだそうだ。
しかし、尾は「毛布」や「ハンドル」の役割を果たしているだけではない。母ヒョウは、子どもに狩の仕方を教えるのにも、そして遊ぶためにも尾を使う。ユキヒョウは、退屈になると、自分の尻尾や仲間の尻尾を追いかける。またユキヒョウは雪の上に寝転がったり、雪すべりをするのも大好きである。
ユキヒョウは概して、非常に茶目っ気があり、自然保護区に設置されたカメラには、意外なときに、幼いヒョウがお互いに戯れあっている姿が定期的に捉えられている。サヤノシュシェンスキー自然保護区の幼いユキヒョウの姿をぜひご覧いただこう。
ユキヒョウは大声を出すことはできず、ペットのネコのように小さく鳴くだけである。ユキヒョウの鳴き声はこちらから。
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