もっとも不満げな野生のネコ、マヌルネコについての10の事実

 この表現力たっぷりの眼差しをしたふわふわの茶目っ気あるネコを見ると、なでたい気持ちに駆られる。しかし、このネコは人が大嫌い。しかしそれにはちゃんとした理由がある。

1. 孤独が好き

 もしネコがソーシャルネットワークのアカウントを持っていたとしたら、マヌルネコのステータスには、「見つけにくく、見失いやすく、忘れられない」という文言がぴったりくるだろう。マヌルネコ(18世紀にこのネコについて書いたピョートル・パラスの名をとって、パラスのネコとも呼ばれる)は捕食者の中ではもっとも内向的な動物である。実際、このネコを見つけるのは非常に難しい。というのも、マヌルネコは主に、人がいないザバイカル地方やその地域に接するモンゴルのステップに生息しているからである。またマヌルネコは中央アジアのいくつかの地域で目にすることができる。

 マヌルネコは自分の領域内(およそ4㌔平米)で、誇り高き孤独の中で生息し、他のマヌルネコと交わるのは繁殖期の3月だけである。マヌルネコは非常に珍しく、ロシアやその他の国の希少動物を集めたレッドブックに登録されている。マヌルネコは最低でも500万年前には地球上に現れていたにもかかわらず、その生態についてはあまり知られていない。マヌルネコは隠れたがる性質を持っていることから、正確な個体数を数えるのは難しいが、ロシアでは3,000匹ほどが残っていると考えられている(モンゴルではもう少し多いとされている)。

2. 非常にコンパクトである

 家庭で飼われている一般的なネコは野生のマヌルネコよりも体重がある。マヌルネコの「仔猫」はとても小さく、体重は100グラム以下である。成猫のマヌルネコ(生後8ヶ月で成猫とみなされる)は3〜5キロ。大きさも普通のネコより小さく、長さは60㌢ほど、尻尾が30㌢ほどである。ちなみに、マヌルネコのラテン名はOtocolobusmanulといい、「醜い耳」という意味であるが、実際にはマヌルネコの耳は醜いという訳ではない。

3. 世界でもっともふわふわのネコ

 マヌルネコが実際よりも大きく見えるのは、ふわふわの毛に覆われているためである。その毛はネコの中でももっとも長くて多い。1平方センチメートあたり、長さ7㌢の毛が9,000本生えている。このふわふわの毛のおかげで、厳しい冬も生き抜くことができるのである。

4. 冬の体重は夏の2

 マヌルネコにとって秋の間に体重を増やしておくことは非常に重要なことである。専門家らは、このプロセスを「脂肪蓄積期」と呼ぶ。というのも、マヌルネコが生息するステップの冬は非常に厳しい。しかも、気温がマイナス50℃にまで下がることもあり、強風が襲う。しかし、マヌルネコは冬眠せず、狩りを続ける。そこでこの冬を生き抜くためには、できるだけたくさん脂肪を蓄える必要があるというわけである。冬の間、マヌルネコの体重は6〜7キロになり、食べ物を探して走り回っている。

5. 素晴らしい狩猟能力

 マヌルネコはふわふわな毛を持つことにより、俊敏とはいえず、かなりのんびりした動きをしている。しかもマヌルネコは手足が短く、雪溜まりにはまりやすい。つまり、マヌルネコを優雅と呼ぶことはできないというわけである。しかし、それでも狩猟能力には長けている。その毛色によって、ステップの中で身を隠しやすく、一度のジャンプで獲物に到達することができる。その様子はこちらからどうぞ。

6. ライオンのような目

 マヌルネコはサイズこそ小さいが、その目の表現力ではどのネコにも負けない。家猫の目は縦に長いが、マヌルネコの目は、ライオンやトラのようなスピードのある捕食者のように丸い形をしている。マヌルネコは、家猫と同じように「待ち伏せ型」で狩りをするが、その対象物は飼い主の足ではなく、齧歯類やヤマウズラ属の鳥である。ちなみに捕らえた動物に巣穴が残った場合、マヌルネコはそれを奪うこともある。もちろん自分の住処を作るためであるが、しかし実際、なぜそんなものが必要なのかは疑問である。

7. どこにでも住む

 ヨーロッパアナグマやその他の齧歯類の巣穴以外に、マヌルネコは石と石の隙間にも生息する。しかし、マヌルネコは住処として、まったく予期せぬ場所を選ぶこともある。ザバイカリエ地方にあるダウルスキー自然保護区(マヌルネコの主要な分布地域)の職員らは、雑草が生い茂る野原の真ん中に放置された古いコンバインの中に住む2匹のメスのマヌルネコを発見したことがあるという。また2021年の夏には、ブリャーチヤのある村の住民が、古い家のそばに積んであった藁の中に3匹の生まれたばかりのマヌルネコを見つけた。母親ネコがなぜここを巣にしたのかは知る由もない。

8. 人を好まない

 マヌルネコは孤立して生息しているため、自然の中にも敵はいない。そう、人以外には。マヌルネコが人を嫌うのは、密猟者のせいだけではなく、文明や人の活動そのものによる。マヌラネコは、農薬が散布された草原にいたネズミで中毒死することもある。そこでマヌルネコは人を遠ざけ、ほとんど人の前に姿を現さない。動物園ですら、遮蔽物の向こうから出てくることはない。

9. ペットにはなり得ない

 マヌルネコが人間に飼われていたことは過去にもちろんあるが、このネコをしつけるのは不可能である。ブリャーチヤの村の住人たちは、動物学者の到着を待つ間、見つけた3匹のマヌルネコの仔猫に餌を与えただけでなく、洗ってやろうとした。水に濡れることは嫌いではなさそうだったが、怒りの声をあげ、めいっぱい不満をあらわにした。ちなみに、この3匹の仔猫はモスクワ動物園付属の希少動物の専門家の元に引き取られている。 

 「マヌルネコは人に抱かれるのが大嫌いなんです」とモスクワ動物園の職員、イリーナ・アレクセイチェワさんはコメントしている

 ダウルスキー自然保護区の職員らが仔猫を見つけ、餌を与えたということもあった。しかし、仔猫が大きくなると皆、ステップに去ってしまい、人間の両親のことはすっかり忘れてしまったのだそうだ。

10. 動物園のマヌルネコは皆親戚

 世界の動物園には合わせて150匹のマヌルネコがいるが、ほぼすべてのネコが親戚だという。この野生のネコの行動研究に大きな貢献を果たしたのがモスクワ動物園とノヴォシビルスク動物園の研究者たちである。モスクワに最初のマヌルネコが現れたのは1949年であるが、ネコは現在、動物園と希少動物繁殖センターの公式シンボルとなっている。ノヴォシビルスクで生まれたマヌルネコは現在、チューリッヒ、ポズナン、タリンに住んでいる。

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