あらゆるお菓子の中で、トリュフチョコレートより人気があって、おいしいものを想像するのは難しい。ソ連も例外ではなかった。ソ連時代のトリュフチョコレートは独特な円錐型をしていて、固くて濃厚なチョコレートにおいしいココアパウダーがたっぷりとコーティングされていた。わたしの祖母はソ連時代もっともおいしいお菓子といえばトリュフチョコレートであったのは間違いないとよく言ったものだった。しかし、このトリュフチョコレートはけして安くはなく、誰もが買えるわけではなかった。
そこでソ連の主婦たちの間で、家庭でトリュフチョコレートを作ってみるという試みは非常に一般的なものであった。多くの食材が品不足だった何年もの間、主婦たちはココアパウダー、ドライミルク、赤ちゃん用の粉ミルクを使って、トリュフのようなお菓子を作った。またトリュフチョコレートから、いわゆる「トリュフ・クッキー」を作ろうと思い立つ人も多かった。この「トリュフ・クッキー」は自家製の「ピーチ」や「キノコ」などの人気のお菓子と同様、本物風に作るショートクラストクッキーの一つである。
このクッキーが面白いのは、トリュフチョコレートのような形をしていることだが、それに加えてちょっと変わった生地のお菓子であるからだ。というのも、主な材料の一つがゆで卵の黄身なのである。わたしのパティシエ人生の中でも、初めて出会ったユニークなレシピである。多くの専門家が、このゆで卵の黄身をベースにしたこのお菓子は、焼きあがるととても柔らかくなると大絶賛してくれている。
1. ボウルにゆで卵の黄身を細かくする。砂糖、バニラシュガー(またはバニラエッセンス)、塩ひとつまみを加えて、混ぜる。
2. 柔らかくして冷ましたバターを加え、なめらかになるまで混ぜる。
3. 小麦粉とベーキングパウダーをふるい、すべて合わせる。小麦粉の量は、質によって増減する。
4. スパチュラで混ぜた後、手でこね、柔らかくて、手にくっつかない状態にする。一般的なショートクラストクッキー生地と同様にする。
5. 生地を小さく切り分け、それぞれ丸める。
6. 丸めた生地を「トリュフチョコレート」のような円錐型にする。円錐型にしたら、お皿に並べ、冷蔵庫に入れ、20分休ませる。冷蔵庫で冷やすことにより、焼いても形が崩れない。
7. パーチメント紙を敷いた天板に並べ、200℃のオーブンで15〜20分焼く。
8. 「トリュフチョコレート」独特のコーティングを作る。ボウルにココアパウダーとアイシングシュガーを入れて混ぜる。ココアが足りなければ、足す。
9. クッキーが焼きあがったら、オーブンから取り出し、まだ温かいうちにココアパウダーをくぐらせる。コーティングをもっと厚くしたい場合は、クッキーが冷めてからもう一度、ココアパウダーをまぶす。
10. クッキーが完全に冷めたら、ソ連風ショートクラスト「トリュフ」の完成。プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)
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