このスマホAYYA T1はカメラとマイクを手動でオフにすることができるのが特徴。開発したのはロシアの国営企業「ロステフ」の子会社である「スマルトエコシステマ」。このスマホについて、「スマルトエコシステマ」のウラジスラフ・イワノフ社長は、次のように述べている。「スマホの横に特別なスイッチがあり、押すとカメラとマイクをオフにすることができ、これで誰かに監視されたり盗聴されたりすることを防ぐことができます。つまりどんなことも、気にせず話せるというわけです。また検索エンジンやソーシャルメディアがあなたの話した内容に基づいて広告を送ったりすることもなくなります。加えて、ハッカーの侵入や盗聴されることもなくなります」。
この機能について、イワノフ氏は、スマホには、カメラがオンになっていることを知らせる光によるインジケーターもついていると付け加えている。
スマホには、台湾のメディアテックが製造したオクタコアプロセッサHelio P70とリフレッシュレート60Hzの6.5インチの画面がついている。RAMは4GB、ROMは64GB。スマホには2つのカメラが搭載されていて、それぞれ12メガピクセルと5メガピクセルで手ぶれ補正機構もついている。またスマホには近距離無線通信、指紋認証も搭載されている。バッテリーの容量は4000mAhで急速充電が可能だという。
コメルサント紙が、情報筋からの情報として伝えるところによれば、「スマルトエコシステマ」社は500台を国防省に供給することで合意したが、今後、この数は50万台にまで増加する可能性があるとのこと。イワノフ社長は、この情報を確証することはできないとしながらも、ロシアのオペレーションシステム用のスマホは実際、軍や国家機関に供給されることになるのは事実だと付け加えている。
国家機関と軍のためのスマホはロシアのオペレーションシステムで機能する。「スマルトエコシステマ」は、「ロステレコム」が開発したロシアのOSアヴローラでの作動をテストしているとイワノフ氏は言う。
「アヴローラ」は、2019年にフィンランドのOS、セイルフィッシュをベースに開発された。セイルフィッシュは、企業や組織が、職員の監視をしたり、スマホを使って遠隔で動かしたりすることができる。またこのプラットフォームを使えば、発注者は職員、パスワードを更新したりすることができるほか、人員の動きを追跡することができる。
スマホは、ウイルス対策ソフトの開発で有名な「カスペルスキー・ラボ」が手がけたOSカスペルスキーなど、別のオペレーションシステムでもテストされている。
OSアンドロイド11を基にした一般のユーザー向けのAYYA T1はすでにロシアのインターネットショップで販売されている。電化製品チェーンの「Mビデオ」や「エルドラド」で販売されている。スマホのカラーはブラックとグリーン。保護ガラスとシリコンカバーがセットされ、値段は19,000ルーブル(およそ29,000円)。
イワノフ社長は語る。「わたしたちの目的は質のよい、保護されたロシアのモバイル機器を作ると言うこと。わたしたちのスマホは高質の撮影はできませんが、このスマホには別の目的があるのです。わたしたちは、機密性、秘匿性を大事にする幅広い人々に親しまれる有益なブランドになりたいと思っています。それで購入しやすい値段設定にしたのです」。
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