ターニャ&ミーシャ・レーピン夫妻のデザインに基づき、モミの木の枝で作られたパネル。エコスタイルのデザインで、ポルトガルのコルクのようなものを作った。壁を作ることもでき、音響のためのパーテーションとして使うこともできる。針には防火剤が塗布されており、最近の「環境に優しい」コンセプトの商品となっている。パネルは音を吸収してくれるだけでなく、針葉樹に含まれるテルペノイドにより、モミの木の森にいるかのような効果があり、心地よい気分にしてくれる。
デザイナーのオレグ・ソロコは一風変わった家具をデザインするため、パラメトリック様式(ある種のパラメーターを分析するソフトウェアによるアルゴリズムドリヴンな設計)を採用している。設計の段階で、3D画像と具体的な課題のために書かれたスクリプトを使用する。それからパーツを切断していく(オレグは合板を使っている)。そして最後に手作業でそれらを組み立てていくと魅力的で一風変わった製品が出来上がる。オレグのコレクションの代表作はAfter-Formというブランドネームで作られているパラメトリックの椅子。コレクションにはテーブルやラックなどが含まれている。After-Formの家具は都市計画プロジェクトに使われることが多い。
アンナ・チトワはロシア・アヴァンギャルドの創作と、カジミール・マレーヴィチが舞台制作を手がけた有名なオペラ「太陽の征服」をテーマにしている。アンナのコレクションはこの舞台にインスピレーションを得たものであり、コレクションは、オペラの登場人物のひとりひとりをテーマにした8つの椅子「労働者」、「敵」、「悪意ある人」、「臆病者」、「新しき者」、「太っちょ」、「ケンカっ早い人」、「多くとひとり」から成る。
サンクトペテルブルク出身のナーシャ・コプテワとサーシャ・ブラウロフ(Studio 52 FACTORY)はロシアの大地の美しさを感じさせるポエティックなものを作っている。そんな一つが花瓶コレクション「聖堂」である。ロシア北方の教会建築と木造建築をテーマにしている。形を変えることができる花瓶はピラミッドの原則に基づいていくつかのパーツから作られている。パーツはアクリルガラスを切ったもので、組み立て部分を入れ替えることが可能となっている。ロシア正教建築の原型となる教会、鐘、小礼拝堂を模した作りのものもある。
ヤロスラフ・ミソンジニコフのコレクション「カテリーナ」は自身の祖母に捧げられている。祖母はヴォログダ州出身で、ヤロスラフはヴォログダの伝統とそのユニークな工芸品、特にヴォログダのレースに目を向けた。コレクション「カテリーナ」は鏡、扇子、コームなどの婦人用品を含む。鏡は編み棒で編まれたレースで飾られている。ヴォログダでは1世紀以上にわたって作られている製法である(ヤロスラフはこの原型を地元のレース博物館で見つけたと言う)。編み目の異なる編み方が組み合わされていることで、色や模様がまるで流れるように移行しているような印象を与える。
トムスク出身のでデザイナー、タラス・ジェルティシェフは医科大学とデザイン大学を卒業している。そこで彼のデザインする家具は人体にインスピレーションを受けたものとなっている。タラスは数年前にMicroWorldというコレクションを発表したが、今年は初の「一品物」となるリンパ球チェアを発表した。リンパ球は免疫を司る細胞である。椅子はフェルト張りになっていて、必要に応じて、取り外して洗濯することができる。タラスは「椅子は変わったデザインだけでなく、 内科治療的な効果があることが大きな特徴だ」と話す。触角に訴えるフェルト張りと球形のフォルムが人間の温かみと相互理解を思わせる。
アナスタシア・コシェーエワは白樺の表皮で作られたインテリア資材のコレクションを発表し、一躍有名になった。もうひとつ、面白い製品となっているのがステッチウッドである。曲線形の木の板を、接着剤など使わず、キルティングのブランケットのようにステッチで縫ってあり、それがひとつの大きな布となっていて(好きな大きさとして使える)、柔らかくて頑丈である。アナスタシアはインテリア用のテキスタイルや壁紙、家具のデザインに使ってもらいたいとしている。
サンクトペテルブルク出身のグラフィック画家、ナタリヤ・ピフコは驚くほど美しいプリントが入った手作りの壁紙を作る。タブレットを使った特別なプログラムで図柄を描き、それを紙に印刷する。評論家たちはその製品にはルネッサンスとヒエロニムス・ボスの絵に影響を受けていると指摘している。最初の壁紙はMethamorphozez Pornbachcontemporaryプロジェクトのためにババリアの古城の狩猟の戦利品をイメージした作品を考案した。最近、ナタリヤはボール紙にプリントし、何かを形を模したフレームや自身のデザインの中に織り込んでいる。魅力的なレリーフ、ベースの上の絵柄はゴムを使ってつけられる。
ロシア人デザイナーたちで立ち上げられたブランドTapisRougeは最近、パタンナー、アンゲリーナ・アスケリのデザインを用いたシリーズものの絨毯を発表した。アヴァンギャルドとロシア構成主義の時代にインスピレーションを受けたもので、アンゲリーナはマレーヴィチやアレクサンドラ・エクステルの創作に関連づけることができる12のデッサンを描いた。最近流行のパステルカラーの彩り。どのモデルもネパールで手紡ぎされた。
プロジェクトFORSFURNITUREは立ち上げられてまだ1年だが、ロシアデザインの隙間に入り込むのに成功した。プロジェクトは珍しい素材から製品を作る伝統を守り続けているフランスの「artisanat」集団と比較される「マエストロ」というコンセプトに注目した。プロジェクトの立役者はワレリー・トリプタ、ソーニャ・フェセンコ、そしてイワン・バソフ。昨年、彼らはイワンのデザインでSmoothと言う衝立を作った。衝立はサーフィンボードできたカラフルないくつかのセクションから出来ており、色々な形に組み合わせることができる。素材となっているのはウェンジとカエデの大型木材とコントラストのきいた突き板。コレクションSmoothはまだ発展を続けており、現在はテーブル、コンソールテーブル、ラックなどがある。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。