ロシアのヤンキーとして知られるゴプニクは絶滅危惧種だ。貧困、無教養、文化性の欠如から生まれた半犯罪的サブカルチャーは、若者を娯楽や情報の海へのサーフィンに誘うインターネット革命の煽りを受けて風前の灯火となっている。今や喧嘩、犯罪、ザポイ(酒乱)は概してフォークロアかフィクションとなってしまった。我々は典型的なゴプニクの技と特徴とをピックアップし、アディダスの服を着て路上生活を送るごろつきをテレビゲームのキャラクターに変えてみた。
初級:しゃがみ込み
中級:足の裏をぴったり地面につけてしゃがみ込み
上級:空席がある時でさえしゃがみ込み
ゴプニクのしゃがみ込みスタイルは、実質ソビエトの刑務所で生まれた。自由時間(例えば刑務所の中庭での日課の散歩の時間など)も囚人に座る場所やリラックスする場所はなかった。そのため彼らはしゃがまざるを得なかった(地面に座ることは無作法と見なされた)。こうしてついに、非常に長い時間足を痺れさせずにしゃがみ込む能力が、犯罪者らの際立った特徴となった。そして若きゴプニクたちが、自分の経験値を高く見せるためにこれを真似たのである。正しいしゃがみ込みは、足の裏をぴったり地面につけて行われる。
初級:両手でヒマワリの種を食べる
中級:片手でヒマワリの種を食べる
上級:手を使わずにヒマワリの種を食べる
ヒマワリの種(セムキ)は、ゴプニクにとって何を飲むにも究極のチェーサーであり、(例えばゴプニク仲間を待っている間の)絶好の暇つぶしだ。セムキを長い間食べてきた者は、手を使わずに殻を剥く方法を知っている。こうして空いた両手にはビールとタバコが握られている。
初級:ライターでビール瓶を開ける
中級:歯でビール瓶を開ける
上級:眼窩でビール瓶を開ける
以前筆者の友人は工場で働くためロシア極東へ行った。彼がそこで出会った同僚たちはかなり田舎臭かった。彼らは極東のゴプニクで、モスクワっ子を警戒しながら観察していた。友人はグラスと王冠のついたミネラルウォーターの瓶を手に取ると、それをライターで開けた。これで彼らは打ち解け、以後ゴプニクたちは彼を同類と見なすようになった。
瓶の蓋をライターで開ける方法を習得するには時間がかかる。適切な支点を探し出せるようにならなければならない(その過程で数十個のライターを壊すことになる)。しかし、歯、ましてや眼窩で瓶の蓋を開けるのは極めて危険だ。そのためゴプニクの間ではこの能力を持つ者が非常に崇拝される。こんな馬鹿な真似を家で試さないように! フォークロアはフォークロアのままにしておこう。歯と眼窩の健康のためにも。
初級:冬に先の尖った靴を履く
中級:冬にボマージャケットを羽織り、先の尖った靴を履く
上級:冬にボマージャケットを羽織り、先の尖った靴を履き、帽子をかぶらない。
ゴプニクにとって、外見は最重要事項だ。冷徹で威圧的、凶暴な様相に、素朴な民衆は怯え、金や携帯電話などの持ち物を出してしまう。大抵の場合ゴプニクの正しい服装は、先の尖った革靴と合成素材でできた軽いボマージャケットだ。外が凍える寒さであろうと、真のゴプニクは自分のスタイルを曲げたりしない。デミシーズンの服を着ることで、ゴプニクは己のタフさを見せつけるのだ。
初級:ズボンの裾を靴下にしまい込む
中級:プルオーバーの裾をズボンにしまい込む
上級:ジャケットの裾をズボンにしまい込む
ソビエト連邦で育ったほとんどの男児が、(学校と家で)見苦しくない格好をする、つまり裾という裾をしまい込むように教わる。どちらかと言えば俗物的で、洒落ているとは言い難い姿だが、少年たちはそんな格好で歩いていたのだ。成長しても、大半の少年はすべての裾をきちんとしまい込んでいた。皆かなりださかった。
初級:道行く人誰からでもタバコをせびることができる
中級:タバコを丸々一箱せびることができる
上級:タバコを自分で買うことがなく、常にせびったタバコを吸う
「おいお前、タバコ持ってるか?」 ゴプニクにとって、タバコをせびることは単にただで喫煙をするという以上に、力関係を示すという意味合いを持つ。というのも、威圧的な顔付きのヤンキーを前にして、タバコ程度を出し惜しみする人などまずいないからだ。
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