ナタリヤ・ノソワ、オリガ・コニナ
ロシア犬保護団体連合のウラジーミル・ウラジェフスキー会長は「1990年代、大きな闘犬が非常に人気でした。家や家族を犯罪から守ろうとしたからです。とりわけロットワイラー、ブルマスティフ、ナポリタンマスティフ、コーカシアン・シェパードなどが人気でした」と話す。
しかし状況は変わり、最近は小型犬や中型犬の人気が高い。小型や中型の犬は長生きし、世話も楽で、賢く、のんびりしていて、スポーツしたり、子供たちと遊ぶのにも適している。
ロシアの人気犬種に関する正式な統計はなく、犬の登録を行っている3つの団体は人気犬についてそれぞれの見解がある。この登録は任意であるため、自分の犬の登録をすべての団体で行っている人もいれば、まったく登録していない人もいる。
ロシア犬学連盟とロシア犬保護団体連合が人気の犬種に関するデータを提供してくれたが、そのうちロシア犬学連盟のデータには2017年の正確な数値が示されていた(犬保護団体連合のデータもほぼおなじような数値ではあった)。
ではどんな犬が人気なのか見てみることにしよう。
2017年にロシア犬保護団体連合に登録されたジャーマン・スピッツの数は70,000匹。キツネに似た小さくてかわいいジャーマン・スピッツはすべての人を魅了し、どんな家族のメンバーにも愛される犬で、1位に輝いたのもうなづける。しかしながらこの犬の性質は常に快いとは言えない。
トイドッグのもう一つの人気犬種は43,000匹も登録されている。この犬は、自分で歩き回るよりも、飼い主のバッグの中に入っているのがお好みのようだ。
心を奪われるような小さな靴や、着物、飾り物など、この犬のための用品のビジネスはとても大きくなってきている。
この世界最小の犬の登録数は41,000匹。外見と大きさだけ見ると太ったネズミと見間違うが、この犬の特徴は、健康的で、知能やコミュニケーション能力が高く順応力に優れていることである。この犬がロシアで人気なのは、狭いマンションの部屋でも飼いやすいことは言うまでもない。
この犬がロシアで人気で、24,000匹も登録されているのは、警察や軍、レスキュー部隊などで活躍しているからである。
この犬の行動は安定しておりかつ機動力が高いのが特徴で、いろいろなタイプのトレーニングにも向いており、また飼い主が変わっても適応できる。知能が最も高い犬種の一つであり、スタンリー・コレン博士の犬の知能力ランキングでは、ボーダーコリー、プードルについでランクされている。
22,000匹の登録があるこの犬は、プーチン大統領の愛犬でもある。なぜ人気があるのか説明するまでもないだろう。
もともとはロシア極東部の犬ぞり用の犬であった。ロシアでは20,000匹が登録されており、世界で最も古い飼い犬であるとともに家族の一員でもあった。2011年に人気TV番組、ゲーム・オブ・スローンズが放映されてからはその人気は高まりった。この犬はスターク・ファミリーの象徴である、ダイアウルフに似ている。
2017年には17,000匹が登録されたこの犬はアラバイとも言われる。名前が示す通り、中央アジア原産であり、家畜保護や作業用犬であった。この犬は4,000年以上前から人間とともにあり、最も古い犬種の一つである。
イギリス原産の小型の狩猟犬。狩猟では他の犬とタンデムで行動し、小動物の掘った穴に潜ったり、キツネを探し出したりする。昨年、犬保護団体連合に登録されたジャック・ラッセル・テリアは14,000匹。一方、ロシア犬学連盟のデータでは人気第1位となっている(正確な登録数は記録されていない)。
しわと短鼻と巻き尾が特徴的なこのパグは古代中国原産の小型犬で、豪奢な家に暮らす貴族の間で非常に人気があった。後に、パグはフランスやヨーロッパに広まり、そこでも貴族たちの間で愛されるようになった。ロシア人も貴族的な気分を味わいたいのだろう。昨年、ロシア国内で登録されたパグの数は12,000匹以上であった。
ロシアでフレンチ・ブルドッグが登場したのは20世紀初頭。上流階級の間で人気があり、声楽家のフョードル・シャリャーピンや詩人のウラジーミル・マヤコフスキーもフレンチ・ブルドッグを飼っていた。フレンチ・ブルドッグはロシア帝国のインテリゲンツィアの時代を思わせることから、第二次世界大戦終戦ごろにはほぼ消滅していたが、最近になってまた人気が復活し、昨年は11,000匹が登録された。
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