よく使われるけど発音が難しい…そんなロシア語の語句をどうやってマスターするか

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 よく使われるけど発音が難しい。そんな単語やフレーズがロシア語にはけっこうある。でも、そういう語句の発音や語源に関するめんどくさい説明をいちいち読むのはおっくうだ。しかし!である。他の単語に共通する語根を知っていると、より速く簡単に覚えることができるし、しかもその過程で多くの新しい単語を学べる。

Здравствуйте(ズドラーストヴイチェ)――こんにちは

 多くの人は、はるかに簡単な「привет プリヴェート」(こんにちは、やあ)だけで済むと考えている。しかし、覚えておいてほしい。高齢者や見知らぬ人に挨拶するときは、正式バージョンの「здравствуйте」がやはり推奨される。

 この単語は「здравый ズドラーヴイ」に由来する。これは、スラヴ諸語でさまざまな肯定的な意味をもっている。ロシア語では主に、「健康または状態が良い」ことを意味する。だから、このように挨拶するときは基本的に、相手に健康と繁栄を望んでいることになる。

 ここにいくつかの発音上のヒントを示そう。これはさらに他の多くの単語にも適用できる。 

  • 「здравствуйте」という綴りの中央に「в」の文字があるが、これは発音しない。       
  • 「й」という紛らわしい文字がある。これは「и イー」という音ではなく、例えば、「yoga ヨガ」の最初の音のように、短く発音する。
  • ストレスは第一音節にある。語の真ん中にはない。だから、「zdrаА́-stvoo-tyeh」と発音しよう。

 

Приятно познакомиться(プリヤートナ・パズナコーミツァ)――お会いできて嬉しい

 挨拶を交わした後で、当然、こういう応答になるわけだが、これも長すぎて発音できないように思えるかも。ただし、2つ目の単語を音節に分割すると、もっとはっきりした分かりやすいものになる。

 「по」は接頭辞であり、動作の完了を示す。「знаком」は、「знать」(知る)から派生している。「ить」は、動詞の典型的な語尾だ。「ся」は、いわゆる再帰動詞の語尾。つまり、この行為が相互的なものであることを示す(お互いに会う→知り合う)。そこで発音は次のようになる。

「pri-yat-na pa-zna-kО́-mitsa」

 

Путешествовать(プチシェーストヴァヴァチ)――旅行する

  「Путешествовать」は、ロシア人の会話のなかによく自然に出てくる。とくに誰かが旅行者としてどこかの国を訪れた場合は、当然そうなる。

 この単語は、二つのより短い単語から形成されている。「путь」(道)と 「шествие」(行進、前進)だ。後者は 「шёл」(行った) または 「идти」(行く)に由来。

 この単語は、「o」を除くすべての文字を明確に発音しなければならない。「o」は、ストレスがない場合は、ほとんど「ah」のように聞こえる。すなわち、「poo-tyeh-shest-va-vА́t’」

 

Использовать – Пользоваться(イスポーリザヴァチ―ポーリザヴァツァ)――使う、利用する

 「Ees-pО́l’-za-vat’」と 「pО́l’-za-vat’-sa」は、共通の語根 「польза」(利益)をもっており、意味もほとんど同じだ。両者の違いは主に、それぞれが特定のフレーズを形成する点にある。しかし、そこにはパターンのようなものがある。道具、手段、ツールとして(文字通り、および比喩的な意味で)考えられるような、比較的小さなモノを使うときは、「использовать」を用いる。

 “я использую оливковое масло для салата” (私はサラダにオリーブ油を使う)

 “oна тебя использует!”(彼女は君を利用しているんだよ!)

 一方、長期的な目標のために必要な、もっと大きなモノについて話すときは、「пользоваться」と言う方が自然だ。例えば、「пользоваться услугами фирмы、транспортом、парковкой」(会社のサービス、交通機関、駐車場を利用する)。 

 

Достопримечательности (ドストプリメチャーチェリナスチ)――ランドマーク、観光名所、旧跡

 この伝説的なやたらと長い単語は、ロシア語ではごく一般的に使われる。論理的に単語を分割すると、「достоин」(価値がある)と「примечать」(気付く)に由来することが分かる。これらの単語の語源を見ると、「достоин」は「стоить」(価値がある)から派生し、「примечать」は「метить」(目印にする、印をつける)から生まれたと分かるだろう。

 だから、あれこれの場所、記念碑、建造物などが「до-сто-при-ме-ча-тель-но-сти」と見なされる場合は(発音は「da-sta-pri-mye-chА́-tel'-na-stee」)、それは、注目に値し、記憶にとどめる価値があるもの、ということになるわけだ。

 

Пожалуйста(パジャールスタ)――どうぞ、どういたしまして

 「пожалуйста」は、ロシア語で最も頻繁に使われる単語のTOP3に入り、発音はそれほど難しくない。それでも、ネイティブでない人にとっては、複雑怪奇な文字の組み合わせのせいで、発音を間違えかねない。

 一つ良いニュースがある。「пожалуйста」の「й」は発音されないので、ただ「po-zhА́-loo-sta」と言えばいい。決して「po-zha-lО́О́i-sta」と言わないように。 

 この単語に2つの意味がある理由を説明するために、その語根を見てみよう。現代ロシア語の「пожалуйста」の、「どうぞ」の意味は、「жалеть」(哀れむ、慈悲を与える)に関係する。一方、「どういたしまして」、「you’re welcome」の意味は、「жаловать」(好意をもつ、尊敬する、贈る)に関連。

 

Следующий раз(スレードゥユシー・ラス)――次回、今度

следующая остановка(スレードゥユシャヤ・アスタノーフカ)――次の駅

 ロシアではどこで公共交通機関を使っても、こんなアナウンスが聞こえる。

  “Острожно, двери закрываются, следующая станция…”(ご注意ください。ドアが閉まります。次の駅は…)

 この不可思議な音の寄せ集めのなかから、タイムリーに降りるために、「slЕ́А́-doo-scha-ya」(次の)という言葉と、駅の名前を聞き取らねばならない。

 この単語に限らずすべての形容詞は、形容する名詞の性に応じて語尾が変わる(ロシア語の文法には3つの性があることに留意してほしい)。

 

Двоюродная сестра(ドヴァユーラドナヤ・シストラー)/двоюродный брат(ドヴァユーラドヌイ・ブラート)――従姉妹/従兄弟 

 ロシア語の親類を示す言葉は奇妙にこんがらがっており、ロシア語のネイティブも混乱するほどだ。

 「いとこ」は、「кузен(クゼン〈従兄弟〉)」、「кузина(クジーナ〈従姉妹〉)」を使ってもいいが、これらの単語はロシア語ではあまり一般的でない(たいていの場合、ハリウッド映画をロシア語に吹き替えるときに、あまり優秀でない翻訳者が使用する)。

 しかし、常にこの面倒な言葉を使わねばならぬというわけではない。最初にまず、「dva-YU-rad-niy brat」(従兄弟)あるいは「dva-YU-rad-na-ya sestra」(従姉妹)と言って紹介すれば、その後は、単に「ブラート」(兄弟)または「シストラー」(姉妹)でさしつかえない。

 「двоюродный」(ドヴァユーラドヌイ)という語には、「два」(2つ)と「род」(家族、部族、系統)という2つの語源があり、2つの家族を通じてその人と関係があることを意味するわけだ。

 

Чувствовать себя(チューストヴァヴァチ・セビャー)――感じる、…な気分だ

 そう、奇妙に聞こえるかもしれないが、ロシア語のネイティブはこういう言い方をする。

 “Я плохо себя чувствую”(私は自分を悪く感じる→私は気分が悪い)

 “Ты чувствуешь себя хорошо” (あなたは自分を良く感じる→あなたは気分が良い)

 「чу-вств-овА́ть」という風に、子音をすべて発音してはいけない。さっきもこういうケースがあったが、単語の最初の「в」を抜いて、「choo-stva-vА́t’」と発音しなければならない。

 また、「stva」の部分は、3つの子音が続くが、その間に母音を挟んではならない(多くの英語のネイティブが母音を挿入しがちだ)。これらの子音をいわば1つの短い音として発音してほしい。

 既にお気づきのとおり、これらの単語の綴りはあなたを誤った方向に導き、実際の音よりも複雑に見せる。しかし、ネイティブスピーカーとの会話でそれらを練習すると、ロシア語の他の長たらしくて混乱させる言葉をすべてマスターする助けになる。

 Держитесь! (がんばれ!)、そしてСчастливо! (じゃあね!)

 

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