ノスタルジックなデザート、レニングラード・ペストリーの作り方(レシピ)

ロシア料理
オリガ・ブロフキナ
 戦後の焼き菓子であるレニングラード・ペストリーはもっとも繊細なデザートの一つとして定評がある。そう、レニングラード・ペストリーは口の中でたちまち溶けるベルベットのような一品である。4口でパクッと食べられてしまうこの小さな焼き菓子は、長期間にわたって飢えと苦しみを味わった人々に、もう一度、人生を楽しんでもらおうと考案された。

 ソ連時代、モスクワの人々は製菓店「プラハ」で作られたケーキに憧れ、一方、レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)の人々は「セーヴェル」(北の意味)で作られたお菓子の詰め合わせやおいしいデザートに釘付けになった。

 872日におよぶナチス・ドイツによる封鎖が続く間、「セーヴェル」は営業を停止していたが、1944年から1946年にかけて焼け跡からよみがえった。この復興を支えたのが才能溢れる食品生産エンジニアのヴィクトリヤ・タタルスカヤである。彼女はその知識と専門性を活かして、新しい平和な時代における製菓店の再興を助けたのである。

 タタルスカヤのリーダーシップと並外れた能力の下、「レニングラツキー」、「白夜」、「ルナ」、「ノルド」、「スラヴィック」、「オーロラ」といった伝説のケーキが生み出された。そしてそれと共に作られたのが「レニングラード・ペストリー」、そして同じくペストリータイプの「セーヴェル」、「ネフスコエ」である。これらはすべて戦後、レニングラードの人々に、ナチス・ドイツからの解放後の明るい未来と早期復興への期待を抱いてもらおうという願いを込めて発売された。

 では、甘いもの好きにとって、このレニングラード・ペストリーのどんなところが特に魅力的なのだろうか?第一に、これはよく知られている、チョコレートとヘーゼルナッツを使ったショートブレッドケーキ「レニングラード・ケーキ」とはまったく違ったものであるという点。レニングラード・ペストリーはシュー生地とカスタード生地という2種類の生地が複雑に組み合わされたものである。その中にたっぷりのクリームを詰めるとそれはほぼアイスクリームのようになる。そして結果として、真ん中にアイスクリームのようなフィリングの入った、シュークリームを思わせる洗練されたペストリーができるのである。繊細でとてもおいしいデザートを家庭で再現してみよう。ここでは18個(!)分のレシピを紹介する。

レニングラード・ペストリーの材料(18個分):

カスタード生地:

下層生地:

クリーム:

作り方:

1. クリームのカスタードのベースから作る。鍋に牛乳を入れて火にかけ、沸騰寸前まで温める。

2. 別のボウルに卵、砂糖、バニラシュガーを入れて泡立てる。

3. 小麦粉をダマにならないように加える。

4. 温めた牛乳をゆっくりと卵に加える。絶えず混ぜ続ける。

5. 牛乳を加えた卵を鍋に戻したら、中火にし、沸点に達するまで混ぜ続ける。沸騰後1分熱し、火から下ろす。

6. 鍋ごと水につけて、クリームを冷やす。粗熱が取れたら、ラップで覆い、冷蔵庫に入れる。

7. カスタード生地を作る。鍋に牛乳、水、塩、バターを合わせ、沸騰させる。

8. 小麦粉を加え、なめらかになるまで混ぜる。

9. 火を弱め、生地がひとまとまりになり、底に薄く膜がはるようになったら火から下ろす。5分間冷ます。

10. 卵を1つずつ加え、艶と光沢のある生地にする。

11. シューのベースを作る。シュー生地を30センチ角にのばし、端を切り揃えたら、10センチ角にカットする。

12. 天板に乗せ、四角い生地の中央に、カスタード生地を大さじ1杯ずつ乗せる。

13. シュー生地の四隅を持ち上げ、カスタード生地を少し押すようにして中央で合わせる。180℃のオーブンで40〜50分焼く。焼いている間、オーブンの扉は開けないこと。焼き上がったら粗熱をとる。

14. クリームを作る。よく冷やした生クリームを泡立てる。よりふわっとしたテクスチャーにするため、途中で粉砂糖を加える。

15. カスタードのベースを少しずつ加え、低速でしっかり混ぜる。こうすることでベルベットのようなアイスクリームっぽいクリームができる。

16. ペストリーを形成する。生地の真ん中に小さな穴を開け、絞り袋(あるいはその代用になるもの)を使って中にクリームを詰める。 

17. 仕上げに粉砂糖をふりかけたら、レニングラード・ペストリーの出来上がり!

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