ホンモノそっくりのショートクラストの「マッシュルーム」を作ろう

ヴィクトリア・ドレイ
 このキノコの形をした焼き菓子は皆の期待をいい意味で裏切るものだ。ぜひ作ってみてはいかが?

 ソ連時代のレシピを知れば知るほど、その時代の名物料理はほかでもない家庭で生まれ、店では長い間売られていなかったのだということが分かる。この「マッシュルーム」クッキーもまさにそういったものだ。このお菓子、ロシアでは“グリボーチキ”と呼ばれているが、意味は文字通り「小さなマッシュルーム」だ。

 祖母が言うには、“グリボーチキ”は祖父の好物であったという。その理由は、このお菓子を作るのに使われた焼き型のせいだったという。とてもの重い2つの鉄製の鋳型でマッシュルームの形の窪みがある。それをガスコンロに置いて焼くのだ。よく使われていた「ナッツ」の型とよく似ている。当時この型を手に入れるのはとても難しくて、祖母はそれを持っていたために友達に追い回されたことをよく覚えているという。しかも、ショートクラスト・マッシュルームはどこにも売っていなかったため、食べたければ家で作るしかなかったのである。

 しかし、母はこのクッキーを型なしで作っていた。手を使ってキノコの形にしていたのである。現在、わたしも型は持っていないが、型で作った“グリーボチキ”よりもっと驚くほど本物っぽいものを作ることができると自負している。わたしがこのレシピが好きなもう一つの理由は、普通のショートクラストのレシピにサワークリームを加えることで、とても柔らかくしつつもカリカリ感は残せるというところである。というわけで、あなたが焼きあがった「マッシュルーム」クッキーをすぐに全部食べてしまいたいという衝動に駆られたとしても驚くべきことではないのである。

生地の材料:

  • バター 200g
  • 砂糖 150g
  • サワークリーム 100g
  • 薄力粉 400g
  • 卵 1
  • ベーキングパウダー 小さじ1
  • 塩少々 

シロップの材料:

  • 砂糖 100g
  • 水 大さじ3
  • ココアパウダー 小さじ1
  • ケシの実 装飾用

作り方:

1. ショートクラスト生地を作る。常温に戻したバター、卵、クリーム、砂糖、塩を大きめのボウルに入れる。すべての材料を室温に戻しておく。

2. すべての材料が均等になるまで泡立て器で数分間、混ぜる。そこにふるいにかけた薄力粉とベーキングパウダーを加える。薄力粉の種類によって量は変わるが、まず300gほどを加え、その後、必要に応じて、足していくとよい。

3. 手につかず、十分に柔らかく、それでいて形にしたときに崩れない状態になったら、丸めて、冷蔵庫で40分冷やす。

4. その後、生地を2等分し、まず片方を使う。片方はキノコの傘の部分にする。打ち粉をした手とナイフを使って、生地を20個から22個に分ける。それぞれを丸めて、パーチメント紙を敷いた天板に並べていく。

5. 丸めた生地を少し潰して傘らしい形に整える。また小さめに丸めたパーチメント紙かアルミホイルを傘の真ん中につけていく。これは柄をつける部分の穴を作るためである。

6. 傘は底を下にして190℃で12分から20分焼く。薄っすら茶色に色づいたら、傘を底から外して、完全に冷ます。

7. 生地のもう半分で、傘と同じ数だけ柄を作り、パーチメント紙の上に並べる。

8. 柄を10分から15分ほど焼く。オーブンから取り出し、冷やす。

9. その間にシュガーシロップを作る。これは傘と柄をくっつける“糊”のようにして使う。鍋に砂糖と水と入れ、中火にかけ、沸騰させる。5分ほど火にかけ、火から下ろす。

10. 傘と柄でキノコを作る。柄を熱いシュガーシロップにつけ、傘に作っておいた穴に軽く差し込む。砂糖が落ち着くまで数秒、固定する。

11. すべての傘に柄をつけていく。シュガーシロップはかなり熱いので、十分気をつけること。

12. ケシの実を小さなお皿に入れる。柄の底にシロップをつけ、ケシの実をまぶす。これでキノコの柄に“土”が付いているように見せる。

13. 最後に傘をデコレーションする。ココアパウダーと大さじ12を残ったシュガーシロップに加え、なめらかになるまで混ぜ、1分か2分煮立てたら、火から下ろす。

14. 傘をホットココアのグレイズに浸し、余分な水分を落としたら、お皿にそっと置いておく。

15. 出来上がったらすぐに食べてもよいし、冷蔵庫で保存してもよい。プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)

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