濃厚な発酵生地を使ったふわふわのスラヴのクリーチは、もっとも重要な(そして正直言ってもっとも美味な)正教会の祝祭の象徴である。多くの人に好まれるお菓子はどれもそうだが、イースターのクリーチのレシピは種々あり、材料、生地の発酵のさせ方などに違いがある。しかし、もっとも注目すべきものは、クラフィン・クリーチと呼ばれるものである。このレシピは数年前にインターネットで紹介されると、瞬く間に広まった。このユニークなレシピの考案者は、オーストラリアとアメリカのお菓子作りのコミュニティから10年ほど前に伝わった現代的なクラフィンの形にヒントを得た。
正直言って、幾層にも重なったこの復活大祭のお菓子は、見た目も味も良いのは疑いようがない。基本的な考え方は、スラヴのクリーチの生地の作り方に、ヨーロッパのブリオッシュの技術を合わせたものである。こうすることで、お菓子の中に美味しい生地の層を作ることができる。
最初にクラフィンの形をしたクリーチを見たとき、伝統的なクリーチの味をさせずにどうやって濃厚なおいしいお菓子を作れるのか疑問に思った。しかし、幸運にもそれは間違いだった。このクラフィンはわたしが記憶している伝統的なスラヴの復活大祭のお菓子の味を見事に残している。さらに、クリーチの形を作る段階でバターを惜しみなく加えることで味と食感がさらによくなっているのである。
このクリーチの良いところのひとつは、文字通りどんなものを中に詰めても、完ぺきにマッチすることだ。一般的な乾燥ベリー類、フルーツの缶詰、ナッツ、シナモン、チョコレート、柑橘類の皮など、なんでもお好みのものを入れて良い。ここでは、もっとも伝統的なもの―レーズンと森で採ったベリーの乾燥させたもの―を入れる。しかし、基本的には好きなものを入れてよい。
生地:
フィリング:
1. フィリングを作る。ドライフルーツとベリーに熱湯をかけ、10分ほど置く。ここでは黄色のレーズンと黒のレーズン、乾燥クランベリーを同量ずつ混ぜる。水を切り、ペーパータオルの上に乗せ、余分な水を取る。
2. イーストを活性化する。ボウルに温めた牛乳、ドライイースト、砂糖大さじ1を入れる。10分ほど待ち、2倍くらいに膨らんでいれば、イーストが正しく活性化している証拠。これでスターターが完了する。
3. その間に、きれいなボウルに、卵、砂糖の残量、塩、バニラエッセンスを入れ、ミキサーで泡立てる。白っぽく、ふわふわにする。
4. ふるった薄力粉、冷ました溶かしバター、スターターを加え、スパチュラで混ぜ、それから手、またはスタンドミキサーでこねる。薄力粉の量は色々な要素によって変わってくるので、まずは350gほどを加え、それから必要があれば、大さじ1杯ずつ加えていく。
5. 柔らかく、べたつかず、ツヤが出るまで10分ほどこねる。きれいな大きなボウルに入れ、ラップで覆い、暖かい場所に置き、1時間半ほど発酵させる。
6. 2倍から3倍に膨らませる。
7. そっと押して空気を抜き、3等分したら、それぞれを丸める。
8. 一つずつ、薄くのばし、長方形にしたら、溶かしバターを塗り、表面に乾燥ベリー1/3を広げる。
9. 生地をくるくると巻いたら、ぴったりラップで包み、次の生地に取り掛かる。
10. 残り2つも同じようにし、5分ほど休ませる。
11. 最初にのばした生地を取り出し、ナイフで縦半分にカットする。最後まで切り離さず、2センチほど残しておく。
12. 一方を、中の層がすべて見えるよう巻いていき、もう片方はその周りに筒状に巻いていく。
13. 巻き終わりを結び目のようにしたら、そっと型に入れ、もう2つも同じようにする。
14. もう一度クリーチをラップでくるんで、さらに1時間発酵させる。200℃に予熱したオーブンで5分焼き、その後、温度を180℃に下げて、30分から35分焼く。表面が焦げてきたら、上をアルミホイルで覆って焼き上げる。
15. クラフィン・クリーチの表面はとても美しいので、伝統的なクリーチに施されるメレンゲやシュガーグレーズはつけないでおく。クリーチを完全に冷まし、パウダーシュガーをたっぷりかけて、召し上がれ。楽しい復活大祭を!
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