ロシア人が復活大祭パスハのために用意する料理4品

Legion Media
ソ連時代の宗教が弾圧されていた時でさえ、ロシアの各家庭ではこれらの料理なしでは復活大祭を迎えることが出来なかった。

 復活大祭の主な食事は、教会で成聖された彩色卵、パスハ(カッテージチーズで出来たケーキ)、そしてクリーチ(円筒状の甘食パン)である。

 昔の裕福な信者たちは、復活大祭までの斎戒の日数に合わせた48品を用意していたが、いまではそれを知るロシア人は少ない。ロシア料理の歴史研究家ウィリアム・ポフレブキン氏は、彼の著書「世紀の台所」の中で、伝統的な復活大祭の料理として次のものを挙げている。ひき肉詰めの子羊、そばの実入り豚肉、七面鳥のポテト添え、ブジェニーナ(ハムと野菜の料理)、塩漬けきゅうり、ザワークラウト、そして、塩漬けきのこだ。

 テーブルの上には、こけもものジャム、西洋ワサビ、マスタードが調味料として用意され、卵には木曜日に作られた特別な黒い岩塩も用意される。ウォッカを飲んで、辛口の赤ワインやカオールワインも飲む。お母さんたちがクランベリーのゼリーやマーマレードのババを持ってくると子供たちは大喜び。それでは改めて、復活大祭の料理を紹介しよう!

1/ パスハ

 パスハは祝日の名前だけでなく、トヴォーログ(ロシアのカッテージチーズの様なもの)で出来た一品だ。これは頂点を切り取られたピラミッドの様な形をしていて、聖墳墓を象徴している。パスハに刻まれている“ХВ”という文字は、聖日曜日に正教徒の信者たちが交わす言葉「ハリストス復活!」を意味している。

 パスハの主な材料は、トヴォーログ、バター、生クリーム又はスメタナ(ロシアのサワークリーム)、そしてレーズンだ。それにナッツや砂糖漬けの果実も加える。トヴォーログと卵を練ったものを鍋で加熱して作るものと、加熱せずに作る方法がある。詳しいレシピはこちら

2/ クリーチ

 クリーチは聖なる土曜日に教会で祈りを捧げた後に信者たちに配られる発酵パンの“アルトス”を模した手作りケーキだ。“アルトス”はハリストスの身体を象徴していると考えられている。また、このケーキの形は、春の播種シーズンの前に焼くスラブの伝統的な発酵生地で作るパンに影響を受けているという意見もある。今でこそ、クリーチは、復活大祭の祝日ととても強い繋がりがあるが、歴史家のポフレブキン氏によると、初期のクリーチは、季節の変わり目に関する祝日に併せて、一年に何度も作られていたそうだ。

 さらに、19世紀には、このケーキは斯様な形には焼かれておらず、もっとパンの様な形だった。今のような形になったのは19世紀の中頃になってからである。そして“クリーチ”という言葉自体も17-18世紀になって初めて登場し、それ以前は、ロシアでは中が詰まったオープンパイの様なものを焼いていた。これは今でもフィン族の食事として受け継がれている。現在のクリーチはイースト生地を背の高い円柱の型に入れて作られ、表面に、アイシングやナッツ、または生地から作ったものでデコレーションする。詳しいレシピはこちら

3/ 固ゆでたまご

 伝統的な復活大祭の彩色卵は、復活やハリストスがもたらした新しい命の象徴と関連づけられている。今日では、沢山の染料が売られているが、昔のやり方で卵を彩色する方がずっと楽しいだろう。玉ねぎやビーツのむいた皮をいれたお湯で卵を茹でる。パセリの葉をつけたり、簡単に紐で縛ることで模様をつけてもいい。驚きの効果があるから。詳しいレシピはこちら

4/ けしの実のパイ

 他の復活大祭のお菓子とともに、けしの実パイは復活大祭のテーブルを彩る。いや、けしの実パイはテーブルをもっと華やかにしてくれるだろう。けしの実パイは家族に平穏と富をもたらすと考えられている。普通のケーキのように焼き、けしの実を生地全体にまんべんなく入れて作る人もいれば、ある者は、けしの実をロールして端を切って最終的に花の形に似せて作る。詳しいレシピはこちら

 もし、復活大祭の後、食べていない卵が沢山残っているのならば、それらを使って“コクルキ“を作ってみよう。

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