魚のラステガイ:ロシアの食卓を飾る主要な前菜(レシピ)

Victoria Drey
 帝政時代、魚をたっぷり入れて焼いたイースト入り生地のパイは、パンの代わりとして、スープとともに食された。

 ラステガイはスラヴの魚のスープ「ウハー」にぴったりな前菜として知られた、もっとも人気のある伝統的なパイである。他のイースト入り生地のパイとの違いは、舟のような独特の形をしていること、そして真ん中に穴が開いていて、魚のブロスを入れる点である。「ラステガイ」という名前は、ロシア語の「ボタンを外す」という動詞に由来すると考えられている。つまり、パイを成形するときに、真ん中に穴を開けて「ボタンを外す」という意味だろう。

 帝政ロシア時代、そしてそれから長い間、魚のラステガイは高級料理と考えられていた。というのも、パイの具にはチョウザメが使われたからである。それでも、ラステガイはそれほど裕福でない家庭でも人気があった。高級な魚の代わりに、マッシュポテトやキノコ、野菜、卵、塩味のおかゆなどを詰め、シチー(ロシアのキャベツスープ)やビーフやチキンのブイヨンスープなどと一緒に出されたのである。

 その後、ラステガイの中にはそれほど高級でない白身や赤身の魚が詰められるようになった。つまりラステガイは、どんな魚を使っても作ることができるというわけである。とはいえ、どちらかというと、赤身の魚の方がより味わい豊かなラステガイになる。

 一見、難しい料理に見えるラステガイであるが、実はとても簡単に作ることができる。シンプルなイースト入りの生地と2種類の材料でできるフィリングがあれば、柔らかい生地の中に、さらに柔らかい具の入ったおいしいラステガイが出来上がる。

生地の材料

  • 小麦粉 330g
  • 牛乳 200ml
  • 植物油 大さじ2
  • ドライイースト 大さじ1
  • 砂糖 大さじ1
  • 塩 小さじ1

フィリングの材料

  • サーモンまたはマスまたはカラフトマス 450g
  • タマネギ 2個
  • 油(調理用)
  • 塩 適宜
  • コショウ 適宜
  • 卵 1個(つや出し用)

 

作り方

1. イースト入り生地のベースを作る。大きめのボウルに室温に戻した牛乳、砂糖、ドライイースト、ふるった小麦粉大さじ4を入れ、混ぜる。砂糖とイーストを完全に溶かすこと。暖かい場所に20分ほど置いておく。

2. 空気を含み、2倍の大きさになったら、残りの小麦粉をふるったもの、植物油、塩を加えて、しっかりこね、のびのある生地にする。最初はフォークを使い、それから両手を使って、少なくとも5分から7分こねる。

3. 生地を丸くまとめ、少量の油を塗った大きなボウルに入れ、ラップで閉じたら、40分ほど発酵させる。

4. その間にフィリングを作る。タマネギはみじん切りにし、油をひいたフライパンに入れ、柔らかくなるまで弱火で炒める。

5. 魚は小さな角切りにし、炒めたタマネギと合わせる。魚は新鮮な赤身の魚ならなんでもよい。あるものを使う。ここではカラフトマスのフィレを使う。

6. フィリングができたら、生地を成形する。膨らんだ生地をやさしく拳で押して空気を抜き、10から12等分する。

7. それぞれを丸いボール状にし、延ばす。スプーン山盛り1杯のフィリングをそれぞれの中央に置き、丁寧かつしっかりと端をつまんで止めていく。真ん中に小さな穴が開いたままにして、小さな舟型のパイに成形する。残りも同じようにする。

8. ラステガイはパーチメント紙を敷いた天板に並べ、キッチンタオルで覆って、15分ほど発酵させる。表面に卵液(卵1個に牛乳またはお湯大さじ1を混ぜたもの)を塗り、180℃のオーブンで20分から30分焼く。

9. 焼きあがったら、それぞれのパイの穴にバターをおき、さらにジューシーにする。ラステガイは温かいままでも冷めてもおいしくいただける。魚のスープと食べてもよい。プリヤートナヴァ・アペチータ!(どうぞ召し上がれ!)

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