ビーフストロガノフはとても一般的なロシア料理ですが、実は民衆に受け継がれて来たものではなく、19世紀になって初めて考案されたものである。スメタナソースに浸った細切れのビーフはアレクサンドル・ストロガノフ伯爵の名に因んでこう名付けられた(フランス語のBœufStroganoff「ストロガノフ風ビーフ」から)。伯爵は、軍人としての功績の一つとして、1812年のパリ攻略戦に参加した。パリは彼にとって素敵な街で、後に1841年から1842年までこの街に住んで学問に励んだのも、だてではなかった。この時パリ大学で解剖学などを学んでいる。
一説によれば、ビーフストロガノフは伯爵のフランス人料理人アンドレ・デュポンが考え出したと言われている。この料理は、ひと切れの牛肉を噛むのが辛かった老齢の伯爵にとってはまさに理想的だった。私たちのアカニシ・ビーフストロガノフのレシピも、きっと伯爵のお口に合うはずだ。
より可能性の低い別の説では、この料理はストロガノフによるオデッサでの"おもてなし"のために考案されたという。ビーフストロガノフはフランスの技術(肉を軽く焼き、ソースを添えて提供する)とロシア料理の伝統(肉とソースを別々に出すのではなく、肉の下にソースを敷いて提供する)を融合したものだった。さらに、細切れの肉は人数分に分配するのにも便利だった。分配というのもまたレストランの業務だったのだ。
そのままのレシピは現存していないので、レシピは常に変更され、新しい具材を加えられている。私たちが皆さんにご紹介するのは一風変わったレシピ、先祖代々料理人のシェフ、ヴラジミル・ムーヒン氏の手になる、アカニシのビーフストロガノフのレシピである。
ムーヒン氏の作る現代ロシア料理にはソヴィエトの名残がない。彼の料理のおいしさときたら、世界中の料理専門家がその腕前に称賛を惜しまないほどだ。ロシア・ビヨンドは、貝とジャガイモピューレのビーフストロガノフのレシピを彼から教えて頂いた。
材料:
ブイヨンの作り方
エシャロット、ニンニク、タイム、五味子をオリーブオイルでさっと炒める。ワインを注ぎ、半分になるまで煮込み、ブイヨンを入れる。弱火で15分間煮込む。ピューレ状にすりつぶしたアンチョビを加えてかき混ぜ、15分間よく味を染みこませる。こして水気を切る。
みじん切りにしたエシャロットとニンニクをさっと炒め、アンチョビ入りのブイヨンを注ぎ込み、バターを伸ばす。スメタナを加え、塩を加え、火から下ろす。熱いブイヨンに千切りにしたアカニシとみじん切りしたシブレットを入れ、混ぜ合わせる。アカニシのビーフストロガノフをジャガイモのピューレに載せる。上から菜種と豚皮チップスをまぶし、周りに炒めたパースニップを並ぶ。コショウソウで飾り付け、オリーブオイルをかけたら出来上がり。
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