ロシアにしかない晩生種リンゴ5選

 おいしいリンゴは国で愛され、スラヴの伝説や民話に登場する。5種類のロシア・リンゴをここで紹介する。

 秋が深まり、冬リンゴの季節がやってきた。熟していないリンゴを取って集め、保存しながら熟すのを待ち、冬の保存食にする。木から取ったばかりのリンゴは、酸っぱくてなかなか食べられない。だが2~3ヶ月保存すれば、甘く、おいしくなる。ロシアの庭園や市場には、どんなリンゴがあるのだろうか。

  1. アントノフカ~国民的なリンゴ

 ロシア西部で最も食べられているであろう古種アントノフカ。原生はわかっていないが、高度な選抜技術が発達する前に、一般の栽培者が栽培したものと考えられている。

 アントノフカは大き目で、熟すと黄緑色になる。独特な苦みと甘みのある香り豊かなリンゴであるため、好まれている。派生種はたくさんある。たとえば、アントノフカ・ディセルトナヤは赤く、アントノフカ・カメニチカは甘い。

 さまざまな料理の材料としても使われており、家庭の主婦はケーキ「シャルロットカ」に入れたり、子どもにそのピューレをつくったり、ジュースを絞ったりしている。ハチミツ、ナナカマド、またはハーブを加えた塩漬けアントノフカもおいしい。アントノフカは新年を過ぎるとやわらかくなってしまうため、その前に食べた方がよい。

食べごろ:熟したアントノフカの皮は薄くてベタベタし、良い香りがする。

  1. ボガトィリ~ソ連の農学者が選抜

 ボガトィリとは、ロシア語で勇士、豪傑を意味する。どの気候帯でも育ち、5月下旬まで保存可能。選抜したのはソ連のイワン・ミチューリン研究所の農学者。取る時は薄緑色で、次に黄色になって、保存が進むと赤くなる。味はアントノフカに似ているが、もう少し甘い。コンポート、塩漬けに向いている。煮ても形を保っているのが特徴。

食べごろ:「尻」が赤くなる。

  1. シミレンコ~ロシア版グラニー・スミス

 形がゴールデン、味がイギリスのグラニー・スミスと似ている。色は明るい緑色。実は柔らかくて果汁たっぷり。ワインのような、スパイシーな後味がある。ボガトィリと同様、春まで保存可能。

 サラダに適している。切っても色が暗くならず、他の材料の味を引き立てる。緑色の時、鉄分とビタミンが豊富。

食べごろ:明るい緑色で実がしっかりしている。

  1. アニス~ボルガ川流域の古種

 ボルガ川流域で栽培されたもの。アニスには派生種がたくさんあり、色、味、また季節が異なる。

 苦みと甘みのあるアニス・ジムニーは深紅で、やや小さい。深紅になるのは、木から落ちてから、または保存中。その前は薄緑色。アニス・ジムニーは11月になると食べることができる。地元では、デザートだけでなく、ワインやリキュールの材料にも使われている。

食べごろ:まんべんなく真っ赤になっている。

  1. モスコフスコエ・ジムネー~モスクワで冬に

 明るい赤色の帯の入るリンゴ。1960年代にモスクワ国立大学で、アメリカン・ウェルシーとアントノフカを交配させてつくった。寒さに強く、ロシア中部だけでなく、北部でも育つ。マイナス35℃にも耐えるのが特徴。

 1個約300㌘で、3月末まで保存可能。苦みのある味は長期保たれる。とてもジューシーなリンゴ。ジャムに適している。

食べごろ:大きくて、赤い縞模様の入った薄緑色である。

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