Lori/Legion Media 撮影
「リンゴの救世主」
なんと言ってもロシアのリンゴづくめの休日といえば、8月19日の「ヤブロチニィ・スパス」(リンゴの救世主)だ。キリスト教におけるイエスの変容のお祝いと融合した、この生命力と色彩に満ちた収穫祭の起源はキリスト教よりも古く、晩夏の収穫の恵みに感謝することが主な目的となっている。
キリスト教の伝統では、変容は、イエスがタボール山の頂で預言者モーセとエリヤが立ち会う中、使徒ペテロ、ヤコブとヨハネに対し、自身が神の息子であることを明かしたという重要な瞬間を祝うものである。マタイによる福音書は、次のように記している。「また天から声があって言った、『これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者である』。」これは、キリストの人生において、推移と変化、そして賛美と成就の瞬間を意味する重要な転機である。これを祝うのに、1年のうちでも収穫期となる季節の合間の時ほど適した時期があるだろうか?二つの祝日がどういう経緯で一つの祭日に融合されたのかは想像に難くない。
中サイズのしゃっきりとしたリンゴ、8個
レモン1個分の汁
粉末ショウガ、45 ml(大さじ3)
粉末クローブ、45 ml(大さじ3)
粉末シナモン、45 ml(大さじ3)
黒砂糖、120 ml(½カップ)
小さめに角切りした無塩バター、60 ml(¼カップ)
アップルジャック、サイダー、カルバドス、ラム酒またはコニャック、60 ml(¼カップ)
乾燥チェリー、120 ml(½カップ)
乾燥リンゴ、120 ml(½カップ)
刻んだクルミ、120 ml(½カップ)
刻んだ砂糖漬けショウガ、60 ml(¼カップ)
3つの味を完璧に融合
ヤブロチニィ・スパスには、養蜂のカレンダーの頂天となる「濡れた」あるいは「はちみつ」のスパスが先行する。その後に「ナッツ」スパスが続くが、これは欧州側のロシアで地元のナッツを収集するのに適した時期である。こうした機会には、祝福を受けるために収穫された食品が礼拝堂に持ち込まれ、特別なレシピの料理が作られ、地域全体が縁日のような雰囲気で活気に満ちたものになる。この時期こそが、メドヴーハやクヴァスといった、搾りリンゴに蜂蜜を加えたロシアで人気の蒸留酒を作る季節である。
ヤブロチニィ・スパスのほか、蜂蜜とナッツのスパスを記念して、私は伝統的な人気料理に手を加えて3つの味を1つに組み合わせることを考えついた。オーブンから漂う焼きりんごの香りほど「これぞ秋」と言い張るするものはない。このシンプルだが非常に満足のいく料理は、幸福感で満たしてくれる究極の食べ物といえるが、私としては、リンゴの風味をもっと引き立てる必要があると感じる。りんごに自然に合う食材でいろいろ試してみた結果、私はツンとくるような酸っぱくて甘い、完璧な風味の組み合わせを考案することができた。
調理法:
1.オーブンを350℉(180℃)に予熱する。ラックの位置をオーブンの中央部に調節する。浅めのオーブン皿にベーキングペーパーをしく。
2.ステンレス製の刃がついたフードプロセッサーの中に乾物の材料、アルコールおよびバターを入れて一緒にプロセスする。しっかり混ざるまで5分間攪拌する。置いておく。
3.小型のとても鋭いナイフを使ってリンゴの芯を慎重に取り除き、穴の底部よりも上部がより大きくなった円錐形の空洞を作る。リンゴの種をすべて慎重に取り除くが、リンゴの底部はそのままにしておく。
写真提供:Lori/Legion Media |
4.茶色に酸化するのを防ぐために、レモン汁をリンゴの露出した部分にブラシで塗る。
5.それぞれのリンゴの空洞部分にフィリングを詰め、山盛りにする。
6.鍋の底に 1.3 cm の水をしく。
7.35〜45分間、蓋
8.温かい状態で食卓に出し、スプーンで上に残った汁をかける。ホイップクリームとバニラアイスクリームの両方とも、この料理に見事にぴったり合う。をせずに調理するが、この間に底にたまった汁を3〜4回リンゴの表面に塗る。これにより、リンゴの素敵なカラメルコーティングができる。リンゴに火が通ったかどうかを確認するには、鋭いナイフの先端を表面に挿入する。すんなりとなめらかに刃が刺さるはずだ。調理時間は、使用するリンゴのサイズと種類によって大幅に左右されるので、注意する必要がある。
プリヤトノヴォ・アペティータ(おいしく召し上がれ)!
ジェニファー・エレメーワはモスクワ在住歴20年のアメリカ人作家。著作に著作にLenin Lives Next Door: Marriage, Martinis, and Mayhem in Moscow(隣人のレーニン:モスクワでの結婚、マティーニと大騒ぎ)とHave Personality Disorder, Will Rule Russia:A Concise History of Russia(人格障害があればロシアを統治できる:簡要ロシア史)がある。 彼女はロシアの歴史、文化、日常生活やユーモア、そして食べ物に関する著作を http://jennifereremeeva.com で公開している。
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