「戦略2030」で経済はこう変わる

「ルサル」の所有者であるオレグ・デリパスカ=

「ルサル」の所有者であるオレグ・デリパスカ=

アルチョーム・コロタエフ撮影/タス通信
経済フォーラムで示されたロシアの未来像

 ロシアでは今夏、国の今後の15年を定める「戦略2030」が完成する。シベリアで開催された「クラスノヤルスク経済フォーラム」で、この戦略の作成者、ロシアの主要な経済学者などが、ロシアの主な将来の特徴を示した。

 

首都のかわりに地方

 2000年代より、ロシアではすべての税収配分が首都モスクワ経由で行われている。その結果、モスクワが国内でもっとも急速に成長する都市となった。

 今後はすべてが変わる。モスクワの経済は主に、サービス分野の発展によって成長した。だが原油安にからむGDPの落ち込みで、潜在性がすでに枯渇している。今後はサービス分野から他の経済の分野に人を動かすための刺激策が必要になってくる。

 最も厳しい立場を取っているのは、ロシアの大富豪の一人(経済誌「フォーブス」によると資産は62億ドル≒6820億円)で、アルミ生産世界最大手「ルサル」の所有者であるオレグ・デリパスカ氏。「モスクワから人を移住させる必要がある。毎回モスクワに来るたびに、一体皆ここで何をやっているんだろうと驚く」と、シベリアに主要な資産を集中させているデリパスカ氏は話す。

 

ITのかわりに農業

 18世紀に最も進んでいた分野は農業であったが、19世紀と20世紀、農業は時代遅れの象徴になった。1920~1960年代にソ連経済が急成長したのは、農村部から都市部の仕事へと人を大量に動かしたためである。現代の経済は違った動き方をしており、農業はITに劣らない技術の源となり得る。

 次の技術革命は、未来学者の予測によると、食糧分野で起こり、ロシアが資源型経済から食糧型経済へと適時に移行できるようにしてくれるのが農業への転換だという。ロシアは面積で世界第1位の国であるため、農業技術の発展の真の試験場となり得るのだ。誰よりもこれを鮮明に訴えていたのは、アルカジー・ドヴォルコヴィチ副首相。「ロシアは今すでに世界を温めており、食べさせることもできる」と述べた。

 

もっと大手民間銀行を

 ロシアの主要な開発機関は国が保有する銀行である。国内最大手のズベルバンク、その競合の「VTB」、インフラ・プロジェクトの資金調達のために創設された「対外経済活動発展銀行」。2014年ソチ冬季五輪に融資を行ったのが、この3行だ。欧米が対ロシア経済制裁を発動した結果、これらの銀行は世界の資本市場から切り離された。デリパスカ氏によると、銀行数行で「ロシア経済をけん引することは不可能」であり、8行以上は必要だという。

 大手銀行創設の主導者となるべきは資金力のある実業家で、国家機関の縮小化によって職を失う元官僚にそのような銀行を経営させれば良い。これに続いて、国家機能の完全なアウトソーシングが必要である。例えば、教育分野と社会分野では、NPOが大きな役割を果たすべきだ。

 

*ロシア経済・国家行政アカデミーのウラジーミル・マウ学長、アカデミー会員アレクサンドル・クレショフ氏、作家アレクサンドル・アルハンゲリスキー氏、オレグ・デリパスカ「ルサル」社長、アルカジー・ドヴォルコヴィチ副首相の報告を参照。

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