世銀が国家債務GDP250%を予測

ロイター通信
 2050年までに、原油安と人口の高齢化という組み合わせが、ロシアの国家債務を現在のGDP比12%から250%まで膨張させる可能性がある。「世界銀行」モスクワ事務所の専門家が、このような見通しを示した。ただ、どちらのリスクも予測が難しいと、専門家は説明する。ロシア政府は国家債務を増やすことに一貫して反対している。

  世界銀行モスクワ事務所によると、2050年までに、原油安と人口の高齢化が、ロシア経済の長期的な停滞と最大GDP比250%の国家債務を招く可能性がある。また、ロシア経済は、ここ15年で最も過酷な試練に直面しているという。特に、ロシアの個人消費の落ち込みは、1998年以来最速だった。

 ロシアの監査・調査・コンサルティング会社「フィンエクスペルティザ・カピタル」のエミリヤ・シビリョワ副社長によると、1990年代のように、原油安が続いている期間、国家予算の赤字を補てんするために内債などが発行され、国内債務が増える可能性があるという。しかしながら、このシナリオには政府が大きく反対している。国が1998年に短期債のデフォルトを宣言した後、現代ロシア史上最悪の経済危機が国を襲った。

 

可能なシナリオ

 世界銀行によると、政府の輸入代替プログラムにもかかわらず、2014年末のルーブル安は、農業や加工産業を含む商品取引部門の多くに、国内外の市場で価格の競争優位性を活用する可能性を与えなかった。リーマンショック後の2009年の経済危機の時には、政府が予算歳出を増やして民間消費の落ち込みを補った。だが今回の危機はそれを許さなかった。その結果、貧困率は10年前の水準に戻った。2013年の10.8%に対し、2015年上半期は15.1%。世界銀行によると、ベースラインシナリオでGDP比の債務は、2050年までに最大116%に高まり、原油価格が下落して人口の高齢化が継続した場合は、250%まで高まるという。

 「リスク(原油安と高齢化)の予測は難しい。石油がどうなるのかを、事前にはっきりとは言えない。他の燃料のために石油をやめるかもしれないし、石油・ガス輸出への依存度が低減するかもしれない、という憶測もある」と、元ロシア中央銀行副総裁のロシア経済・国家行政アカデミー株式市場・金融工学講座のコンスタンチン・コリシチェンコ主任は話す。高齢化の予測にも違いがあるという。「ロシアで起こっている移民プロセスを例にあげるなら、昨年はウクライナ難民を数十万人受け入れた。難民の多くは労働可能な市民」とコリシチェンコ主任。

 

国家債務の問題

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 原油価格の低水準が続いた場合、国家債務が増える可能性もロシアの専門家は排除しない。「理論的には、長期的な原油安と、国による年金受給年齢引き上げ部分の構造改革の欠如という組み合わせは、GDP比の国家債務の短期的増加を招きかねない」とシビリョワ副社長。状況が必ずこのようなシナリオをたどるという確定的なものはないという。ただ、シビリョワ副社長によると、ロシアが超債務国になる可能性は低いという。このシナリオには、原油安と低い労働生産性という組み合わせだけでなく、10年間の構造改革の完全な欠如もともなうため。また、ロシアの国家債務は現在、記録的に低いGDP比12%である。ちなみに、アメリカの国家債務はGDP比101%。