ハリウッドのクラシック映画で、レフ・トルストイの小説を基にした最初のトーキー映画の一つ。すでに無声映画「愛」でカレーニナ役を演じていた比類なき女優グレタ・ガルボが主役を演じた。息子セリョージャに対するカレーニナの母性愛とヴロンスキーに愛されたいという思い、そして彼への情熱が主なテーマとなっている。最後は、原作と同様、悲劇的に幕を閉じる。
こちらもグレタ・ガルボ主演の作品であるが、作品はエルンスト・リュビチのコメディである。社会的な諷刺も盛り込まれているものの、ソ連の人々やすでに人々が「15年も眺め続けている」5ヵ年計画の結果をやさしく嘲笑する。ガルボは難攻不落のボリシェヴィキ女性、ニーナ・ヤクショワを演じている。ソヴィエト当局はパリに3人の役人を派遣したが、仕事が遅延し、なかなか戻らない3人を連れ戻すため、彼女をパリに向かわせる。しかし、鋼鉄の女性も少しずつ、軽くてロマンティックな雰囲気の漂うパリに馴染んでいく。
批評家の間でも観客の間でも賛否両論を呼んだトルストイの小説の映画化作品。オードリー・ヘップバーンがナターシャ・ロストワを演じ、また年齢的には、この役よりかなり上であったヘンリー・フォンダがピエール・ベズーホフを演じた。この作品は、衣装が時代にそぐわないこと、ヘップバーンのあまり良いとは言えない演技力、作中の歌がロシア語でなく、英語で歌われている点などが批判された。
しかし、他でもないこの作品がセルゲイ・ボンダルチューク監督にインスピレーションを与え、後に大規模な素晴らしい映画で、アカデミー賞最優秀外国語映画賞を受賞した「戦争と平和」を作るきっかけを作った。
ドストエフスキーの小説「カラマーゾフの兄弟」がソ連で初めて映画化される10年も前に、ロシア移民出身のアメリカ人監督リチャード・ブルックスが、ユル・ブリンナーをドミトリー役に配した独自の「カラマーゾフの兄弟」を制作した。
ブルックス監督はドストエフスキーの哲学的・神学的解釈はほとんど無視し、作品を愉快な推理ドラマに変え、カンヌ国際映画祭に出品した。
その年の映画祭では、ソ連映画「鶴が飛ぶ」が「パルム・ドール」を受賞した。
スタンリー・キューブリックの不条理コメディは本物の反戦讃歌と名付けていいだろう。映画は戦争を始める、あるいは終わらせようとする核を保有する大国にスポットを当てている。アメリカの将軍は秘密計画「R作戦」を使い、核兵器を搭載した爆撃機を出動させるが、ソ連には報復攻撃を行うことができる装置が配備されていることを知る。大使や首脳らはショックを受け、ストレンジラヴ博士はナチス式の敬礼をしてしまう義手をこすり合わせ、米国の将軍たちはガムをかみながら、共産党主義者が理由もなく飲まない水をウォトカの代わりに飲むソ連の代表との間でなんとか共通の言語を見出そうとする。
20世紀のアメリカの主要なメロドラマの一つで、記録的な興行収入をあげた作品。ソ連では長期にわたって禁止されたものの西側では人気のあったボリス・パステルナークの小説を下敷きに制作された。デヴィッド・リーン監督の作品は、あまりにも単純な解釈がなされ、スクリーンに映し出された革命も安っぽいと批判された。しかし、映画は、ユーリー・ジヴァゴの複雑な愛についての素晴らしいメロドラマ作品として映画史に刻まれている。ジヴァゴ役を演じたオマル・シャリフは、この映画の公開をきっかけに真の世界的スターになった。
コメディと道化芝居の重鎮メル・ブルックスは、ロシアでしか理解されないジョークと機知に富んだ詐欺師オスタップ・ベンデルの冒険を描いたイリフとペトロフの小説の映画化に果敢に取り組んだ。映画の制作にあたり、ブルックスはほぼすべての脇役を排除し、宝物を探す詐欺師に焦点を当てたコメディに仕上げることに集中した。雪のシベリア、妄想的なドストエフスキーの引用、そしてブルックス本人が、スラヴの諺「最善を望み、最悪に備えよ」をモチーフに書きあげたエネルギッシュな歌が挿入されている。
アメリカ人ジャーナリストとオクチャブリーナという愛国主義的な名前を持つロマンティックなソ連のバレリーナの恋愛を描いた素朴なメロドラマ。冷戦時代のアメリカ映画に特徴的な紋切り型の手法が多く見られ、それに対しては、西側でも批判された。というのも、当時は、ニクソン大統領がソ連との関係を改善しようと尽力していたときだったからである。とはいえ、映画はロシア人の闇屋のコースチャを演じるアンソニー・ホプキンスの魅力的な演技で記憶に残る作品となっている。
自身のほぼすべての作品でチェーホフ、トルストイ、ドストエフスキーの暗示を感じさせるウッディ・アレン監督によるロシアの古典文学の最良のパロディ。この作品でアレンは主役のボリス・ドミトリエヴィチ・グルシェンコを演じている。グルシェンコは、死刑を前に、幼年時代、少年時代、青年時代、そして家族を思い出す。映画では、ロシアの古典文学のように、生、神、死の意味についての議論が描かれている。
ロビン・ウイリアム演じる茫然自失のソ連のインテリを描いた陰鬱な物語。主人公はモスクワのサーカスで働き、小さなソ連のアパートで大家族とともに生活し、生活必需品を手に入れるため長蛇の列に並んでいる。そんな主人公がよりよい生活を求めてニューヨークに移り住み、偶然出会ったアメリカ人に助けられながら、小さな幸せと自由を手に入れる。
映画では世界的に有名なバレエダンサー、ミハイル・バリシニコフがまるで自分自身と重なるような、ソ連から亡命してきたダンサー、ニコライ・ロトチェンコ役を演じている。とはいえ、作品の中のダンサーには厳しい運命が待ち受けている。亡命後、ロトチェンコはさまざまな国で問題なく公演を行っていたが、あるとき乗っていた飛行機がシベリアで事故に遭ったことから、祖国に帰国させられ、KGBの厳しい監視を受けることとなる。
ロッキーがソ連の将校イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と対決するこの作品は、シルヴェスター・スタローンのシリーズ映画の中でもっとも大きな成功を収め、素晴らしい興行収入をあげた。しかし、批評家からは不評であった。その理由の一つは、陰鬱なロシア人の描き方である。しかし、そんなロシア人も、最後には感情を表に出し、何度も立ち上がるロッキー・バルボアを全力で応援し始める。
ソ連がネガティブな取り上げ方をされていない最初のハリウッド映画の一つ。アーノルド・シュワルツェネッガーが、アメリカに向かうロシアの犯罪者を追跡するソ連の警官役を演じている。当時はペレストロイカ時代で、いま思えば、東西関係が信じられないほど良かったときである。しかしそれでも、制作チームは、赤の広場での撮影の許可を得ることができなかった。それで、警官の制服を着たシュワルツェネッガーのホームビデオを撮っているふりをした。
アレク・ボールドウィン演じるCIA分析官ジャック・ライアンを主人公にしたトム・クランシーの初の映画化は、時期的にやや遅かったようにも感じられる(小説は1984年に出版された)。ソ連の大佐マルコ・ラミウス役を演じたショーン・コネリーは、冷戦はすでに終わったとして、最初は出演を断っていたが、制作側が歴史を伝える映画だからと説得した。コネリーもボールドウィンも実に素晴らしい演技を見せている。
ただ、この映画で驚かされるのはこの点ではない。ラミウスの裏切りの計画を知っていた「レッド・オクトーバー」の唯一の乗組員がプーチンという苗字で登場することである。イギリスの俳優ピーター・ファースが演じている。
ショーン・コネリーとミシェル・ファイファーが出演するスパイ映画『ロシア・ハウス』のプロデューサーらはモスクワとレニングラードでの撮影を何ら問題なく行うことができた。『レッド・ヒート』のすぐ後に制作されたこの作品は、ソ連で撮影された二つ目のメジャーハリウッド映画となった。
ショーン・コネリーはこのとき2度目のソ連訪問を果たした。ショーン・コネリーはこの20年前に、有名なソ連の監督ミハイル・カラトゾフの『SOS北極・・・赤いテント』に出演している。
アメリカのコメディ、ポリス・アカデミーシリーズの7本目、最後の作品では、ロシアのエピソードが描かれている。モスクワで武装蜂起が起き、ボリス・エリツィン大統領派が勝利を収めたモスクワ騒乱事件があった1993年の秋に撮影された。これらの出来事により、撮影は短縮させられた。ちなみに、作品の中では、砲撃を受けた議会の建物を見ることができる。
冷戦ではなく、長きにわたりセックスも性犯罪も存在しないと主張していたソ連の現実である犯罪をテーマにした珍しいアメリカ映画。アンドレイ・チカチーロは世界の映画界の中で、異常犯罪者のプロトタイプとなった。映画は、チカチーロという人間を描いているだけでなく、当時の社会政治体制など、この事件の背景を掘り下げるものであった。
ピアース・ブロスナンがボンド役を演じた最初の作品は、サンクトペテルブルクの通りでのカーチェイスシーンが見どころである。奪った戦車T–55に乗るボンドは、敵を追い、敵は軍用列車で命を落とす。
グリゴーリー・ラスプーチン役を演じたアラン・リックマンは、シベリアの治療師になったところから、血友病になった皇太子アレクセイを救い、皇后アレクサンドラ・フョードロヴナの友人となるまでの道のりを演じた。映画はラスプーチンの狂気と死で幕を閉じる。これはロシアの歴史の教科書にほぼ合致する。作品では、リックマンだけでなく、ニコライ2世役を演じたイアン・マッケレンも注目に値する。
音楽ファンタジーアニメ「アナスタシア」は、皇帝一家の中でただ一人生き残ったと言われるロマノフ王朝の皇女アナスタシアを描いたもっとも美しいもっとも心動かされる映画の一つ。生き生きとした登場人物とオリジナルソングはもちろん、クリストファー・ロイドが声を演じる邪悪な魔法使いラスプーチンも印象深い。
カザフスタンの指導者と称し、ソ連復活を目論み、第三次世界大戦開戦を望む独裁者ラデク将軍に対抗する米国とロシアの友情という珍しいテーマを描く作品。映画は冒頭、モスクワのシーンで始まるものの、主要な登場人物として描かれるのは、ロシア語を話すアメリカの大統領ジェームス・マーシャル(ハリソン・フォード)である。ミハイル・ペトロフという単純な名前を持つロシア大統領は、すべての計画において、ただジェームス・マーシャルを支持するだけの役どころとなっている。
レフ・トルストイの有名な小説を下敷きにしたアメリカのドラマは、ソフィー・マルソー主演で、ロシアで撮影された。映画はメル・ギブソンが部分的にプロデュースしている。撮影は主にサンクトペテルブルクで行われたが、いくつかのシーンはモスクワで行われた。たとえば、ある美しいシーンには、ノヴォデーヴィチ修道院の中世の建築アンサンブルが使われている。
ファンタジー映画のクラシックとなったこの映画は地球を救うことができるのはブルース・ウィルスだけだということを改めて証明するものになった。しかし、「ダイ・ハード」は一人ではなく、仲間と共に登場している。ロシアのレフ・アンドロポフ大佐に、燃料の切れた「ミール」ステーションから救われるもっとも若い仲間をベン・アフレックが演じている。
アンドロポフは酩酊状態で、ウシャンカ帽を被り、「USSR」と書かれたTシャツを着てアメリカ人の前に現れるが、いくら酒を飲んでも、職業的な技能というものはけして失われない。アメリカのシャトル「フリーダム」から有益なものをすべて手に入れることにも成功したアンドロポフがいなければ、ミッションは脅威にさらされ、世界終末を迎えただろう。
キャスロン・ビグローは、アカデミー賞受賞作「ハート・ロッカー」を撮影する前に、あらゆる意味において、ロシアの物語に入り込んだ。この映画は1961年に起こった実際の出来事を基にしている。ソ連の原子力潜水艦が事故に遭い、船内にいた多くの人々が犠牲となったのである。
詳細を正しく描こうとしたビグローは、制作の準備期間に、事件の目撃者らに取材しただけでなく、ロシア海軍の北方艦隊訪問の許可まで得た。その甲斐あって、映画は最初のシーンから、船のディーテールから乗組員の顔に至るまで、非常に真実らしく描かれている。
実際に船に乗り込んでいた船員たちは最初こそ、公開書簡を書くまでになり、シナリオに猜疑的な見方をしていたが、最終的に作品はほぼ90%、船員たちを満足させた。
ボリス・エリツィンが支持率を落とし、共産党のジュガノフ党首や自民党のジリノフスキー党首と激しい競争を繰り広げた1996年のロシアの選挙をテーマにした政治的な諷刺映画。実際の出来事を主題としたこの映画は、選挙事務所を率いていたオレグ・ソスコヴェツとアナトーリー・チュバイスの元に、アメリカからポリテックの専門家が助けにやってくるという物語である。映画作品として、高く評価されるものではけしてないが、ロシアの選挙における国際的なポリテックの行動を記録した唯一のアメリカ映画である。
ボーン・シリーズの後半の最後、そして有名なカーチェイスのシーンはモスクワで撮影された。マット・デイモンは、敵から逃げるために使おうとしていたロシアのタクシーを完全に破壊し、その過程で多くの自動車を壊し、街の中心部で大混乱を引き起こす。二人のスタントマンがこのシーンで、2005年のトーラス・ワールド・スタンド・アワードを受賞している。
ロバート・デ・ニーロの監督第2作目で、CIA誕生の秘話を大スケールで描いたもの。マット・デイモンがCIAの創設者を演じ、ソ連の仲間から、「マートゥシカ(母)」のあだ名を付けられる。当然ながら、映画全体に散りばめられた彼の人となりは、ソ連との対立や第二次世界大戦、冷戦の話なしにはあり得ない。しかし、これはデ・ニーロにとって、重要なことではない。彼は一見、普通に見える諜報員の中にも、複雑で真実味のある内なる生活を見つけ出そうとしている。これは主人公だけでなく、脇役のソ連の「スパイ」に対してもそうである。
クローン兵器をテーマにした人気ゲーム「ヒットマン」の最初の映画化作品では、ロシアの大統領ミハイル・ベリコフの殺害が題材となっている。しかし、大統領には分身だけでなく、弟ボリスがいることが分かる。CIA、インターポール、さらにはFSBの助けもほとんど役に立たない。しかしそこで主人公のエージェント47を助けるのが、ロシアの売春婦ニカ・ヴォロニナである。モデルで女優のオリガ・クリレンコの初めてアクションものに挑んだ作品である。
ジョージ・ルーカスのアドベンチャーシリーズの中で、もっとも政治的な作品の一つ。狂気の学者、イリーナ・スパリコ(ケイト・ブランシェット)が、ハリソン・フォード演じるとにかく自由な主人公を自分のために働かせようとし、それが原因で主人公をソ連の諜報員とされてしまうという話は、冷戦真っ只中に制作されたもので、驚くべきことではない。10年以上にわたり制作されたエキセントリックな考古学者の旅を描くスティーヴン・スピルバーグ監督の「インディ・ジョーンズ」シリーズの最後の一作となった。
人気映画の続編で、スカーレット・ヨハンソン演じる諜報員ナターシャ・ロマノフの登場だけでなく、ミッキー・ローク演じるロシアの悪人イワン・ヴァンコが記憶に残る作品。いかにもロシア人らしい、力強く、物静かで、田舎育ちの、飲んだくれの父親である物理学者。スターク・インダストリーズの真の後継者だと信じ、シベリアでの貧困生活を恨んで、アイアンマンの復讐に向かう。
アンジェリーナ・ジョリーは、ロシアのチムール・ベクマンベトフ監督の「ウォンテッド」に出演した後、もう失うものは何もなくなった。そこでその2年後、彼女は、CIAとKGBの二重スパイであるソルト役を演じることになった。そしてアンジェリーナ・ジョリーこそがこの映画の1番の見どころである。ジョリーは金髪でも、栗毛でも、そして毛皮の帽子をかぶっても、同じように調和の取れた姿を見せている。さらには議会の中でも、モスクワのグレーがかった方郭でも、同じように素晴らしく調和している。
ロシアのプロデューサーで監督のチムール・ベクマンベトフがSFに挑んだ作品。ハリウッドでの成功の波に乗ったベクマンベトフは、大規模なスタジオの協力を取り付けただけでなく、マックス・ミンゲラとエミール・ハーシュをモスクワに行かせることに成功した。彼らはスタートアップに挑むが、ロシアの首都で彼らのアイデアを盗む人物と出会うだけでなく、真の侵略者に遭遇する。そして、ロシアの新たな知り合いと共に戦う。
映画の舞台はほとんどがモスクワという設定だが、モスクワのシーンはプラハで撮影された。たとえば、テロリストらがクレムリンを爆破するシーンや、トム・クルーズが赤の広場から必死に逃げ出すシーンはモスクワで撮影されたものではない。これらのシーンを本物らしく見せるため、モスクワ中心部のワイドショットを複数入れ込んでいる。
近未来的なホラー作品の一部をロシアで撮影するというアイデアは、女優のミラ・ジョヴォヴィッチの提案によるもので、最終的にロシアの極東カムチャツカとモスクワで撮影が行われた。メディアの報道によれば、赤の広場での撮影は数時間かけて行われたが、その間、関係者以外は立ち入り禁止となった。映画の中でジョヴォヴィッチはクレムリンの近くで、恐ろしい突然変異体と戦い、エスカレーターを滑り降りて、地下鉄に乗り込む。
ブルース・ウィリスをはじめとしたアメリカの年金生活者の激しい生活を描いたコメディの2作目は、その舞台を地理的に大きく広げ、ほとんどがモスクワを中心に描かれている。しかし、撮影はこちらもロシア国内ではなく、ロンドンの撮影スタジオのパビリオンで行われた。ストーリーでは、他でもないそこに、冷戦時代の危険な原爆の残骸が保管されているということになっており、恐れを知らない年金生活者たちがそこに向かう。
ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコルと同様、映画のストーリーはロシアを舞台としているが、ほとんどのシーンはブダペストで撮影された。しかし、ブルース・ウィリスによれば、モスクワの有名な高層建築のシーンはロシアの首都で撮影され、そのうちの一つで、ヘリコプターが無慈悲にも、モスクワ大学の本館を機関銃やミサイルで砲撃する。
クリス・パインは、この役作りのために、モスクワを短期で訪れている。しかし、主な撮影はアメリカで行われた。撮影現場で、クリス・パインは、ほとんど行方不明となったオリガルヒのチェレヴィン(監督のケネット・ブランが出演もしている)、その数えきれないほどの愛人、そして最近、「ストレンジャー・シングス」でついに人気を獲得したアレク・ウトゴフ演じる息子とともに本物のロシアの世界に入り込んでいる。個人と社会の秘密を暴く試みに、誰もが代償を支払うことになる。
冷戦が再び激しさを増したが、ここでの対立はスパイ同士の戦いではなく、チェスの勝負である。しかも、ここでスポットが当てられているのは政治ではなく、ボビー・フィッシャーとボリス・スパスキーという2人の強烈な個性である。2人がポーンを犠牲にするとしたら、それは自分自身のためであり、国のためではない。もっと知的なスポーツをテーマにしたインパクトのある心理ドラマで、彼らにとっては自身の技能や力の方が、党の方針よりも遥かに重要なものである。
ガイ・リッチー監督が作った冷戦時代のスパイ映画のパロディー作品は、1960年代のイギリスの同名のドラマを下敷きにしている。ただし、リッチーは主人公たち2人の諜報員―CIAのナポレオン・ソロとKGBのイリヤ・クリャキンに新たな雰囲気を加えている。これほどスタイリッシュで、アイロニカルな諜報員は当時、映画の中ではほとんど描かれなかった。
スティーブン・スピルバーグ監督のスリラー映画。冷戦をテーマにした珍しいタイプの作品で、監督はどちらの側にもつかず、CIAとKGBとシュタージの諜報員に同じくらいの注意を割き、「戦いを俯瞰」している。これは多くの点で、ソ連の諜報員ルドルフ・アベル役に、舞台俳優のマーク・ライランスが演じていることによる。ちなみにマーク・ライランスはこの役で、アカデミー賞を受賞している。ストーリーは、アベルとソ連に捉えられたアメリカ人パイロット、パワーズとの交換が行われた実際の出来事に基づいたものである。
ソ連の移民一家に生まれたゲイブ・ポルスキ一監督による魅きこまれるようなノンフィクション映画。ストーリーは、ソヴィエトのホッケーと、地元体制の基盤や道徳との関係を描いたもの。たとえば、「偉大な5人組」と呼ばれたマカロフ、ラリオノフ、クルトフ、カタソノフ、フェティソフ、そしてゴールキーパーで監督のウラジスラフ・トレチャコフとのインタビューで、ポルスキーは、有名なソ連のホッケーのあり方を描くだけでなく、当時まだ若かった選手のそれぞれが、氷上で、自分自身のためだけでなく、国のために戦っていたことを伝えている。
キャプテン・アメリカの続編で、彼の宿敵であるウィンター・ソルジャーは、あらゆる境界を越える。そして、シベリアの施設「ギドラ」に冷凍保存されていた過去についても知ることになるのである。作品では、ワンダからスパイダーマン、アントマンまで、マーヴェルのすべてのヒーローが団結し、どこがワカンダ王国でどこがシベリアかという地理的な説明は特にはなされていない。
ロシアのみならず、世界的に高い人気を誇るチェーホフの戯曲をうまく映画化した作品。主に演劇を中心に演出を行なっているマイケル・メイヤー監督(ブロードウェイやメトロポリタン歌劇場で作品を上演)のこの作品では、チェーホフの戯曲が世界の映画界に火をつけた。
映画は、終わりのない冷戦についての命題を面白く描いたもの。モスクワの郊外に暮らすボリショイ劇場のプリマ、ドミニカ・エゴロワは、事故で負傷し、国家安全保障機関の職員である叔父のワーニャと特別部隊に入り、祖国はもちろん、敵をも愛することを学ぶ。ジェニファー・ローレンス演じるヒロインが、あるとき、ロシアとアメリカの二重スパイになるのも偶然ではない。
キアヌ・リーヴス演じるアメリカの宝石商ルーカス・ヒルは、ある契約を結ぶためペテルブルクにやってくる(実際にロシアで撮影された)が、ビジネスパートナーのピョートルを見つけることができない。エルミタージュをバックに殺されないため、ヒルはピョートルを見つけようとシベリアの町ミールヌィに向かうが、そこで新たな奇妙な友人と出会い、また地元のカフェを経営する運命的な女性に恋をする。新たなロシアの友人たちは、犯罪にかかわる旅とはいえ、薄いコートで、雪のシベリアではなく、美しいペテルブルクに向かうヒルを温めてくれる。シベリアの風景は、カナダで撮影された。
キーガン・アレンが率いるロシアの首都でのクエストをテーマにした思いがけず愉快なホラー映画である。アメリカのブロガーグループがモスクワにやってきて、素晴らしいものを見せてやろういう謎めいた若い金持ちと知り合う。その後、あまり現実のモスクワとは似ても似つかないロシアの首都の生活が映し出され、危険なサプライズが起こる・・・。ホラーとしてはお勧めできないが、ロシアを旅する外国人についてのクラシカルな映画として楽しむことができる。
エストニアで一部撮影されたこの作品は、もし時間を操ることができる人間がいれば、第三次世界大戦や起こりうる悲劇を防ぐことができるということを描いている。オペラ劇場が占拠される最初の場面は、2002年の秋にモスクワのドゥブロフカでミュージカル「ノルド・オスト」上演中に発生した劇場占拠事件をヒントにしたもの。ロシアのオリガルヒで武器商人で、シベリアの架空の都市スタリスク出身のアンドレイ・サトル(ケネス・ブラナー)が主要な悪人になっていく。
ヨーロッパの主要な歌謡コンクールをテーマにした諷刺コメディ。映画はこうしたコンテストの形式と主にスポットが当てられているスカンジナヴィア人やロシア人の民族的特徴を嘲笑うものである。もっとも目を引くのが、実際に何度もロシア代表としてコンクールに参加したフィリップ・キルコーロフやジーマ・ビランを思い起こさせるアレクサンドル・レムトフである。
ボブ・オデンカークが演じる暗い過去を持つ会計士を主人公にしたアクション・スリラー映画。監督はイリヤ・ナイシュレル。というわけで、これに対する悪役に、「裁かれるは善人のみ」で記憶に残るアレクセイ・セレブリャコフ演じるユリアンを長とするロシアン・マフィアという設定がなされているのも驚くべきことではない。いずれもカリスマ俳優であるオデンカークとセレブリャコフの対立、そしてクリストファー・ロイドの登場で、映画は海を挟んだいずれの国の観客をも魅了した。
「アベンジャーズ」のもっとも謎めいた女性、ナターシャ・ロマノフについての映画で、もちろん、ソ連での過去についても触れられている。ナターシャの両親はロシアのスパイで、何年も前に、娘を妹のレーナと共に、スパイを養成する秘密基地「レッド・ルーム」に送り込む。組織は今も存在しており、それを率いているのは、世界をなんとかして征服しようとする悪の将軍ドレイコフである。ナターシャはこうして家族のことを思い出し、特に、典型的なロシア人のイメージにぴったりのアルコール中毒で背中に丸屋根のタトゥーを入れた父親のことを語っている。
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