2019年初旬に公開される見逃せないロシア映画5作

Vladimir Nikolaev/Wizart Animation, 2019
 今年初旬、ロシアの監督たちはドストエフスキーと「アメリカン・サイコ」を融合させ、その成果を巨大スクリーンに映し出す。

 1.To save Leningrad (レニングラードを救え)

 レニングラードの包囲はロシア人の集合的記憶の中のもっとも暗い出来事の一つである。ソ連の映画監督たちもまた、2年半に及んだこの歴史的な出来事を作品にしようとしてきた。しかし「レニングラードを救え」は悲劇的な歴史的事実に基づいた数少ない近代映画の一つであり、きわめて興味深い。

 若い恋人たちが包囲されたレニングラードから脱出する道を見つけ、市民たちを救おうと荷船に乗り込む。しかし嵐に遭遇したことから、救出のためのミッションは頓挫する。さらにナチスドイツ軍が瓦礫と生き残った市民たちに爆撃を開始する。

 トレイラーは、ジェームス・キャメロン監督の「タイタニック」を思わせる。この2つの難破事故の背景にある歴史的な出来事はまったく異なるが、それでもこのロシアの新作映画は一見の価値がある。

公開予定:2019年1月31日

 2.The finale ordeal(最後の試練)

 この映画が2002年にモスクワで発生した劇場占拠事件を下敷きにしたものかどうかについて明確に言うのは難しい。

 最初の脚本は、170人を超える人命を奪った悲劇の劇場占拠事件発生直後に、この事件に触発されて書かれた。脚本を執筆したアレクセイ・ペトルーヒン監督は、元々はアメリカ映画ダイ・ハードシリーズのようなストーリーにする計画だったという。元警官が適した時間に適した場所に現れ、人質となっている人々の命を救出するために戦うのである。

 しかしこの計画はペトルーヒン監督のデビュー作「教師」が発表されたあと変更された。この作品は、危険を冒して、自らのクラスを人質に取るという教師を主人公にした物語であった。監督は観客らのリアクション(けして一義的なものではなく)にインスピレーションを受けて、この「教師」の主人公を新たな作品でもメインの人物として扱い、物語も2002年に想定していたものを2019年に変えたという。

 しかしながら歴史的な事件の意味は非常に強く、事件を想定することなく作品を観ることはできない。しかし何れにしてもスクリーン上のアクション、緊張感、臨場感が計り知れないものであることだけは確かだ。

公開予定:2019年2月7日

3.Wolves and sheep(狼と羊)

 ロシアのアニメは、記録を幾度も塗り替えるほど大ヒットした驚愕のアニメ作品「マーシャと熊」で世界を席巻した。この新しいロシアのアニメも見逃すわけには行かない。この作品が世界をまたもや制する可能性は十分にある。

 狼と羊は仲良く暮らしていた。しかし、この暮らしは北極キツネと小さな羊が現れたことにより突然危機となる。

公開予定:2019年1月24日

4.Sunriseand the rest of Russian horror films(夜明け)

 ロシアの近代ホラー映画はルネッサンス期を迎えている。2019年前半には、いくつかのホラー映画が公開される。「クリーチャー」、「サンライズ」、「スペードの女王」、「ゲスト」などがその一例であるが、中でも「サンライズ」は最も注目すべき一作で、予告編を見ると、冷酷でスリルに満ちた強烈な恐怖の映像にあふれている。もしこの作品が皆の期待に添わないものであったとしても(そういうこともあるかもしれない)、ロシアのホラー映画が今後注目すべきであるのは間違いない。

 ある女性が現実感溢れる悪夢に悩まされている患者を救うための実験に参加し、他の参加者とともに、明晰夢を共有することになる。この実験は失敗し、彼らはどんな悪夢よりもひどいまったく別の現実の中に目覚めることになる。

公開予定:2019年1月31日

5.Russian Psycho (ロシアの悪霊)

 この映画はすでに2018年のキノタヴル映画祭で「最優秀監督賞」を受賞し、2019年の上半期に公開されることになっているもの。ドストエフスキーの小説を、暴力的な作品として知られる「アメリカン・サイコ」風に仕上げたものだと指摘する評論家もいる。この比較だけでも、作品を鑑賞するれっきとした理由となるだろう。

 若いアーティストが裕福なビジネスマンの娘に恋をし、娘の父親から敬意を勝ち取るために独自のビジネスを始めなければならなくなる。しかし彼はそのビジネスが誰かに邪魔されているばかりか、自分の命を狙われていることに気づく。特定できない敵を見つけ出すための挑戦において、彼の人間性が試され、心の闇が開かれていく・・・。

公開予定:2019年1月31日 

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