ソビエトのバス停:ソ連の創造的な10の光景

 200以上の写真を掲載した一冊の本が、ソビエト時代のバス停という隠れた建築の至宝に光を当てている。実用的なものが、美しく詩的で、並々ならぬものへと姿を変えた。

エチミアジン、アルメニア

 クリストファー・ハーウィグさんは広く認知された写真家で、国連の平和維持活動に貢献し、GEO、CNN Travelerといった雑誌に寄稿してきた。

 

ファレシュティ、モルドバ

 2012年、ロンドンからサンクトペテルブルクまでバイクの旅をしていたとき、ポーランド国境を越えてリトアニアのカウナスの南に出たクリストファーさんは、風変わりなバス停を目にした。「それは静かな田舎の道端での嬉しい驚きでした。その時私は確実にそんなものを予期していませんでしたし、探してもいませんでした。」彼はロシア・ビヨンドにそう話した。

ガグラ、アブハジア

 それからクリストファーさんは道中の特別なバス停に注意し、特にスタイリッシュなものをカメラに収めた。「その後私はカザフスタンに3年いましたが、そこで旅をする間にわたしはもっと多くのバス停に出会いました。当時はそれらを探し求めていたわけではなかったのですが、出会ったときは嬉しかったです。」

 

イヴァノヴォ、ロシア

 数年後クリストファーさんは活発に旅をし始め、こうしたバス停を探し始めた。それらを見つけ出すことが唯一の目的となった。今のところ、彼は旧ソ連の13の国々を訪れ、3万キロメートル以上の距離を車、バイク、バス、タクシーを使って旅している。

 

リウネ州、ウクライナ

 2015年には出版社フューエルからクリストファーさんの写真集『ソビエトのバス停』(Soviet Bus Stops)が出た。最も風変わりなデザインのバス停を写した200枚近い写真を収めた第1巻は世界のメディアの注意を引いた。ガーディアンやニューヨーク・タイムズといった新聞でも取り上げられた。

 

オムスク、ロシア

 この本は、黒海沿岸からカザフの果てしないステップまでのソビエトのバス停のデザインを、最も包括的かつ多様に収集したものだ。「これらの並外れたバス停は、ソビエト時代のパブリック・アートの幅広さを示し、当時の創造精神を垣間見る貴重な機会を与えてくれます。」

 

サランスク、ロシア

 第1巻の成功の後、クリストファーさんは2017年に、さらに200枚の奇抜なバス停の写真を収めた2冊目の本を編んだ。ジョージアやウクライナの僻地の魅力溢れる例を見出すと同時に、ハーウィグさんは第1巻では取り上げなかったロシアへカメラを向けている。

 

サラタク、アルメニア

 多様性を誇る奇妙なバス停の中から最も信じ難いものを選ぶことは不可能に近い。いくつかは辺鄙なところにあるようだ。「完全に孤立したバス停は、発見の体験という意味では私にとって最も特別なものです。どうして、またなぜここにあるのか、多くの質問を投げかけてきます。」クリストファーさんはこう話す。「構図の清潔さの組合せとバス停と風景の調和は、写真家としての私を、バス停の地位を高めたいと思う私を本当に興奮させました。」

 

シュリャフチンツィ、ウクライナ

 もちろん、バス停で最も風変わりなのは、クリストファーさん自身も夢想だにできなかったという、その形やデザインだ。しかし他にも興味深い要素が見られる。例えば、あるバス停には馬がおり、他のいくつかには牛がいた。「しばしばビールやウォッカの瓶が隅に寂しく転がっていました。」

 

スタールイ・オスコル、ロシア

 バス停の本は出版社のお気に入りの一つだ。「これらの本は、ソビエトのバス停というあまり知られていない建築の至宝に光を当てています。」こう話すのはフューエル社のデイモン・マリーさん。「ソビエト帝国の辺境地を写すものでありながら、これらの本はバス停がどれほど創造的で多様なものになり得るかを示してくれています。」

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