ロシアの街角の共産主義モザイク

 ソチにあるウラジーミル・レーニンのモザイク。

 ソチにあるウラジーミル・レーニンのモザイク。

Legion Media
 伝統的なモザイクの物語とは、アンティークや宗教的なモチーフとの触れ合いだ。だがソ連時代、各地のさまざまな建物に施されていたプロパガンダのモザイク画は、アイデアやスローガンを広めながら、新しいソ連の男を描いていた。
 ソ連時代の1970~1980年代、新たに建設される建物にモザイク画が施されることが多かった。優秀なピオネールのモザイクのある学校、五輪メダリストのモザイクのあるスポーツ・センター、幸福な労働者のモザイクのある工場など。一般的なアパートのモザイク画のモチーフは、共産主義の歴史やウラジーミル・レーニンが主流で、共産主義の建設者としてあらゆる年代と性別の人々が描かれた。/アンガルスク市
 「母なる祖国が呼んでいる!」は第二次世界大戦中の主要なソ連プロパガンダの絵であった。戦後はボルゴグラード市(1961年にスターリングラード市から市名が変更された)の「スターリングラードの戦い」に捧げる巨大な銅像(母なる祖国像)へと変貌した。当時、絵にはレーニンの言葉が引用されていた。「権力をソヴィエトに!土地を農民に!パンを飢餓者に!平和を諸国民に!」/アンガルスク市
 ソ連時代、モザイク芸術には豊富な資金が与えられた。8階建ての建物の壁画もあった。/イワノヴォ市の鉄道駅の壁に描かれた赤軍兵士、女性労働者、医師、第二次世界大戦の兵士
 モスクワ中心部の建物のモザイク壁画「我々は共産主義を築く」。
 モスクワ地下鉄に降りると、たくさんのソ連モザイクを目にする。環状線のキエフ駅のモザイク(写真)には、ソ連国旗、ピオネール、平和を象徴するハトを含む、幸福な人々が描かれている。マヤコフスキー駅、ベラルーシ駅、チェーホフ駅などにもモザイクがある。
 サンクトペテルブルク地下鉄のモザイク(写真)には、別のレーニンの言葉がある。「共産主義とはソビエト権力プラス全国の電化である」
 ソ連の労働者、科学者、鉱夫、製鋼工、搾乳者、そして(その後)宇宙飛行士を称えるモザイクも登場した。/ノヴォシニコヴォ村の農業大学のモザイク壁画
 科学、知識、ソ連を一つにした大きく鮮明なモザイクが、モスクワ国立大学の講堂にある。優等卒業生のセレモニーや、ヒラリー・クリントン氏などの重要な賓客との会合がここで行われる。
 ロシアの多くの街に、いまだにソ連時代に建設された映画館が残っている。1917年の革命にちなんだ「10月」という名称が多い。ニジニ・ノヴゴロド州ボル市の映画館(写真)には、「共産主義の輝かしい未来」に向かって突き進むレーニン、赤軍兵士、労働者の描かれた大きなモザイクがある。
 1993年まで「ソ連軍博物館」と呼ばれていた、モスクワの「中央軍事博物館」の内部。モスクワのソ連軍通りに位置している。いまだにソ連時代との強いつながりのある場所だ。
 赤い旗を持って共産主義のために闘う労働者のモザイク。ペンザ市。

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