1.「チェブラーシカとは、オレンジをエサとする科学では未知の動物で、性格は感動屋。毛がフワフワしていて、耳が大きい。か弱いが、とても積極的」と、1966年に考案した架空のキャラクターについて、エドゥアルド・ウスペンスキー氏(2018年8月に死去した童話作家)が説明。長い年月が経過したにもかかわらず、現代ロシアのすべての子どもが、チェブラーシカと友だちのクロコダイルのゲーナを知っている。
2. ウスペンスキー氏によると、オレンジ箱に入って熱帯雨林からやってきたこの不思議な動物の名前は、偶然に浮かんだのだと。「知り合いが『チェブラフヌツァ』という動詞を使っているのを聞いた。『倒れる』、『つまずく』を意図していた。その言葉が頭に残り、主人公の名前になった」
3. 広く知られている今のチェブラーシカのイメージができたのは、1971年のことである。描いたのは芸術家・アニメーターのレオニード・シュヴァルツマン氏。「本には耳のことが書いてなかったから、他のすべての動物と同じく、上に立った耳を最初に描いた。それから大きくするようになり、動物ではなく、人間のように頭の両側まで耳を『降ろした』。撮影前、人形には短い足がついていて、人形使いが苦労していた。だから足関節から下の部分だけを残したら、キャラクターの不思議さが増した。尻尾も取ったら、人間の子どもようになった」と、シュヴァルツマン氏は「ロシスカヤ・ガゼタ(ロシア新聞)」に話している。
4. 本とアニメの第2キャラクターは、「動物園でクロコダイルとして働いている」クロコダイルのゲーナ。「穏やかな性格で、外見は緑色」のこのキャラクターは、最初の本「クロコダイルのゲーナとその友だち」では主人公だった。
5. ウスペンスキー氏の本は、すぐに外国語に翻訳されるようになった。チェブラーシカとゲーナの冒険は、英語、ドイツ語、イタリア語、日本語など、20ヶ国語以上に翻訳されている。チェブラーシカの名前がそれぞれの国で違うのはおもしろい。イギリスではトップル、ドイツではプルンプス、スウェーデンではドルッテン、フィンランドではムクシス。
6. 日本では特にチェブラーシカが愛されている。「2000年代初めに日本の人が来て、独自のチェブラーシカのアニメの制作権を買った。今でも承認を求めてシナリオを送ってくるが、私が自分なりの意見を言うと、とても喜んでくれる。現在、日本のあるテレビ局が、私についてのドキュメンタリー番組の撮影を行っていて、4月末までモスクワを出ないでほしいと言われている」と、ウスペンスキー氏はロシアNOWに話していた。
7. チェブラーシカは、ロシアの国民的キャラクターになった。ラメンスコエとハバロフスクには銅像もある。2004年からは、ロシアのオリンピックチームのマスコットになっている。選手のユニホームの色に合わせて、チェブラーシカの毛色も変わっている。また、ブリュッセルの小便小僧もうらやむほど、コスプレのバリエーションのあるロシアのお土産になっている。
8. ソ連では、「チェブラーシカ」という言葉は普通名詞になっていた。航空機AN-72や自動車「ザポロージェツ」からフルサイズのヘッドフォンまで、似ているものはすべてチェブラーシカと呼ばれた。
9. キューバの革命家「チェ・ゲバラ」の画像の人気の波に乗り、ロシアの2000年代のポップカルチャーでは、パロディ版「チェ・ブラーシカ」が誕生した。トレードマークのベレー帽をかぶったチェ・ブラーシカがプリントされたTシャツは、当時大量に出回った。
10. ウスペンスキー氏はこう話していた。「チェブラーシカに関する話を聞くのはつかれたね。インターネットで見つかるチェブラーシカについてのすべての話は、真実であり得る。架空のキャラクターなのだから!」
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