ソ連のアニメ映画『チェブラーシカ』が日本で初公開されたのが2001年。3年前には、ロシアのアニメ主人公たちの冒険を題材にしたテレビアニメ作品が日本で製作された。=タス通信撮影
チェブラーシカは、日本人にも知られるようになったのでは。
日本でのキャラクターの認知度を調べる専門会社がありますが、その調査によると今の認知度は約80%です。詳しいことはわからなくても少なくとも姿と名前は知っている、という人が8割に達する。これは例えば「ムーミン」と肩を並べる水準です。
日本での展開の経緯は?
私たちが版権を得る前の2001年に単館系の映画館で旧作の上映があって、単館としての動員記録を作ったことがありました。その時が実質的に日本初上映だったようです。その後我々が版権を得て、2008年にジブリ美術館などと一緒に旧作のリバイバル上映をやりました。当時の認知度は20%ぐらいでしたが、上映後には約50%に上がりました。
いくつかの大企業がCMに採用しているほか、グッズを作る企業も多いですね。
現在40~50社が関わっています。CMなら企業の業種、グッズなら商品ジャンルがあって、チェブラーシカを採用する企業同士で競合が生じてはいけないので、そう簡単には増やせません。グッズの数は、これまでの累計では2000種類以上出ています。ただ改廃もありますから、今流通しているのは500種類ぐらいですね。
2010年に公開された、日本人監督による映画「チェブラーシカ」も話題になりました。映画の海外展開はどうなっていますか。
多くの国で映画祭には出品しましたが、一般上映はフランスだけです。我々としては本国のロシアで興行して、それからグッズを含めて世界展開していきたい。でもロシアではモスクワで試写会を開いただけで、一般上映はできていません。
ロシア国内でのキャラ認知度はほぼ100%で、数十年ぶりの新作。ヒットが見込まれる分、興行を巡ってさまざまな人たちとの話し合いが必要で時間がかかっています。
ロシアの国民的キャラクター、チェブラーシカのスケッチや映像、童話の挿絵原両などによって、キャラクター誕生からその変遷、アニメーション映画の創作過程などを多面的に紹介するほか、現在活躍中の新進気鋭のロシア・アニメの作家たちの原画なども紹介します。
会場:高松美術館
日時:2013年4月6日〜5月19日
何が原因ですか。
ロシアは実態として著作権制度がしっかり機能していない面があって、それが原因ですね。我々がロシアで興行することは、当然ビジネスでもありますが、ロシアの状況を改善することにもなると思っています。
チェブラーシカという最も知られたキャラクターで、著作権処理を明確にする。そうした意味でも、今年こそロシアでの上映を実現したいです。
著作権ビジネスの環境としては、ロシア本国よりむしろ日本の方がよいのでしょうね。
日本では2001年からのスタートと考えれば、さまざまな形での露出が進み、比較的短期間で認知度は高まったかもしれません。
一方で難しさもあります。すっかり浸透して「誰でも知っているキャラ」になると、今度は特別な感じがしなくなって、グッズ販売が伸び悩むことにもなりかねません。だから、何かを仕掛けなければいけない。
2013年は何を仕掛けますか。
今年は春以降、美術館でのチェブラーシカ展が本格化します。4月に高松市、夏が八王子市、その次が兵庫県豊岡市です。CMタイアップもあります。春から夏にかけて、テレビCMなどにまたチェブラーシカが登場する予定です。
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