世界の高齢化

=マリウス・バラナウスカス撮影

=マリウス・バラナウスカス撮影

今世紀末には、世界の平均で、1人の年金生活者に対し、2人以下の納税者しかいなくなるという予測がなされた。あくまでも平均だが、どの国も似たり寄ったりの状況になりそうだ。

インドや中国でも急速な高齢化は見られる。ワシントン州シアトル市の大学の社会学者が、過去60年間の人口学データにもとづいて、独自の数学モデルを用いながら将来の世界の人口を計算したところ、2100年までに85歳以上の人が世界で今の数倍に増加するという結果が出た。

また、この予測によると、アメリカでは、1人の年金生活者に対し、1.8人の納税者、またヨーロッパ諸国、中国、ロシアでは、現在の8人の納税者から、1.6人の納税者に減る。インドでは、今の20人から2人の納税者になる。

学者らは、各国がこの研究結果を参考にして、社会政策、人口政策、年金政策の最適な戦略を作成し、実現してくれればと願っている。

ロシアの専門家はこの結果に同調し、ロシアでも、今世紀末までに、年金受給と定年退職の年齢の引き上げが起こると予測した。

負の連鎖 

人口社会経済問題研究所の専門家、マイラシュ・トクサンバエワさんは、「ロシア、中国、インドでは、若年層不足の問題が、近々深刻になります」と言う。

また、独立政策研究所の主任研究員であるダリア・ポポワさんは、こう述べた。

世界で65歳以上の人の占める割合(%)

「現在、ロシアの労働人口は、老齢者に対する大変な負担を負っていて、自分たちの子供以外に、年老いた親戚を援助しています。ロシアは、老齢者に対する福祉サービスや制度の発展が遅れているため、負担が丸ごと家族にのしかかり、結果として、1人しか子供を持てなくなるのです。世論調査を見ると、子供を2人以上持ちたがっている人が多いのですが、現実的にはそれが無理なのです。現代女性は、新しい時代に自分を合わせていかなければなりません。生活を良くするために、勉強して、キャリアを積まなければいけないので、第一子出産平均年齢が30歳近くにまで遅れてきています」。

ポポワさんは、今回の予測は、かなり信頼性が高いと強調した。生活の経済状況や価値観の変化が、一家の子供の数の減少につながり、同時に、医学の発展により、寿命が伸び、生活の質が高くなっている。世代バランスは老齢者の方に傾きつつある。

どの国でもこの傾向が確認されているが、程度は異なる。北欧の先進国は、1970年代初めにこの段階に突入したが、BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国の新興4カ国)は1990年代に入ってからだし、ヨーロッパ諸国の女性一人当たりの出生率は1.2~1.3人だ。ロシアの出生率は若干多い1.4~1.5人だが、出生率が死亡率を上回るには足りない。したがって、労働人口が急激に減少しており、増えているのは移民労働者だけだと、ポポワさんは説明する。

一部の国はすでに定年退職の年齢を引き上げ 

これは一国だけの問題ではないため、今世界が、起こり得る深刻な状況に対して準備をしなければならないと専門家は警告する。一部の国は、すでに年金対策として、定年退職の年齢を引き上げた。西側諸国では、企業年金と積立年金の差が非常に大きいため、労働期間は根本的に重要なのだ。ロシアでは、この問題が始まったばかりだ。現在、年金を受け取るには、5年働くだけで十分である。先進国では、年金受給権は30年以上の勤続がないと与えられない、とトクサンバエワさんは言う。

IMF(国際通貨基金)は、ロシアに幾度となく年金受給開始年齢を引き上げるように、説得をしてきた。IMFの計算によると、すでにGDP(ロシアの国内総生産)の8%が年金に流れていて、さらに人口問題により、2050年までに国の年金に割り当てられる予算が、二倍に増加するという。

しかしながら、ロシア政府は目下のところ、年金受給年齢の見直しは計画していない。ロシアの多くの専門家も、これで根本的に問題を解決できるとは考えていない。

年金改革の新たな構想は、関連省庁が9月には政府に提出しなければならない。

*元記事:http://rg.ru/2012/08/23/pensia1.html