高齢者向けオンライン・サービス

=イゴリ・ザレンボ/ロシア通信撮影

=イゴリ・ザレンボ/ロシア通信撮影

高齢者向けのオンライン・サービスに未来はあるのだろうか。多くの投資家が懐疑的な見方をしているなか、高齢者向けのサイトを立ち上げる人々がいる。

 今から2年前、イワン・オサドチーさんがニューヨークに住んでいたとき、70歳の自身の父親がモスクワの病院に入院した。この時の経験で、高齢者世代がインターネットをうまく使いこなせないことにより、家族から完全に孤立してしまうことを実感した。 

 「連絡も取れないし、状況も聞けないので、とても心配になりました」とオサドチーさんは当時の心境を語った。そこで、高齢者がオンラインのコミュニケーションを簡単に利用できるような、サービスを始めようと決意した。

 

お年寄りも子供も数分でマスター

 オサドチーさんは、主旨を理解してくれる投資家を見つけ、プログラマーを雇い、2012年初めに「ファミリー・リボンR」(FamilyRibbonR)というプログラムを作った。初心者でも数分でスカイプやフェイスブック、オンライン・フォトサービスを使えるようになるサービスだ。

 プログラムは、あらゆる年齢層の人が家族と会話するのに向いているが、特にお年寄りと子供に向いていることにオサドチーさんは気づいた。単純化されているインターフェイス、リモート操作やリモート管理によって、誰でも使えるようになった。

 

本物の“孫”

 サービスには、お薬を飲む時間や誕生日を知らせるオプションもある。セキュリティーの設定では、オンライン担当者が不慣れなユーザーの管理を手伝い、ネット上で送金させようと企てる詐欺師や「偽物の孫」が現れると、それを警告する。

 オサドチーさんは、投資家の多くが、50歳以上の世代が社会的にも経済的にも活発ではないと考え、このような市場に懐疑的であることに気づいた。しかしながら、高齢者は家族ともっと多く連絡を取りたいと望んでいる。「ファミリー・リボンR」プログラムはそういった希望をかなえようとした。

 

60歳以上のネット利用者うなぎ上り 

 「高齢者をインターネットにアクセスさせると、若者よりも長い時間使うという統計結果があります」とオサドチーさんは説明する。

 自分の子供や孫、ひ孫たちと話をしたいという強い気持ちは、技術の進歩をも克服してしまう。80歳でもインターネットの使い方を覚えてしまうのだ。

 ロシアではここ数年、ソーシャルネットワークにアクセスする60歳以上のネット利用者の数が、3倍以上に増加した。全ロシア世論調査センターのデータによると、2011年2月では15%だったのが、1年後には47%に急増している。

 

年金旅行 

 既存の分野でも、年金生活者を対象としたサービスや、専門の企業まで創設されていて、例えば1年前には、50歳以上の旅行企画を専門とした、旅行会社「フォーラ・ファーム・トラベル」が立ち上げられた。

 こういったツアーは、市場価格より10%以上安く、医師やガイドが同行するのが一般的だ。

 

格安で医師同伴 

 「当社では、ツアーを高齢者の需要に合わせています。交通機関での移動時間は短く、観光は負担がかからないような内容で、ツアー・グループは年齢ごとにわけています」と、「フォーラ・ファーム・トラベル」のPR責任者であるイリーナ・ソロビヨワさんは語った。

 年金生活者は通常、1年に1回から2回ほどしか旅行できないため、それ以外の時に旅仲間と会えるような、顧客向けのクラブ「秋季」もこの会社は企画している。

 昨年秋、世界中から200社ほどの新会社が参加したコンクールで、「ファミリー・リボンR」プロジェクトが受賞し、アメリカの企業創業支援機関の一つ、「プラグ・アンド・プレイ」技術センターに登録された。これはアイデアの価値が認知されたということだ。