モスクワからの日帰り旅行:自動車旅の5つのプラン

Legion Media
 高い飛行機代を払ったり、数日間列車に揺られたりしなくても、旅行はできる。首都の近くにも興味深い場所は目白押しだ。

1. アブラムツェヴォとセルギエフ・ポサード

アブラムツェヴォ貴族屋敷

 アブラムツェヴォ貴族屋敷(モスクワからわずか60キロメートル)は、ロシア芸術が好きな人なら絶対に訪れるべき場所だ。実業家サヴァ・マモントフの呼び掛けで、ここに19世紀末から20世紀初めに活躍したロシア屈指の画家と建築家たちが参加する芸術サークルが作られた。屋敷の風景は多くの画家の絵に描かれているため、ロシア人なら幼い頃から誰でも知っている。ワレンチン・セローフが『桃を持った少女』を描いた際には、屋敷の主の娘が食堂でポーズを取った。ヴァシリー・ポレーノフは何度もアブラムツェヴォの池を描き、ヴィクトル・ヴァスネツォフはアブラムツェヴォに『勇士たち』の背景を見出した。画家たちは屋敷にあるモダニズム様式の教会の設計にも携わった。

セルギエフ・ポサードの至聖三者聖セルギイ大修道院

 アブラムツェヴォから車で30分ほどの所にセルギエフ・ポサードがある。ここはロシアで最も正教会的な街だ。ここでは多くの博物館を回ったり、古い街路を散歩したり、ロシア料理店で食事をしたりできる。しかしもちろん、ここで必見の名所は至聖三者聖セルギイ大修道院だ。ガイドツアーを利用するか、あるいは修道院の寺院と博物館について自分で予習しておこう(宗教的に重要な祭日には普通の客は行かない方が良い。人が多すぎる)。セルギエフ・ポサードで何を見るべきか、詳しくはこちら

2. コロムナとコンスタンチノヴォ

コロムナのクレムリンの景色

 モスクワから100キロメートル離れた所に、美しい商人の街コロムナがある。ここには中世のクレムリンの堅固な城壁、そしてもちろん古い大聖堂や修道院も残っている。コロムナを散策するなら、ロシアの伝統的なファストフードであるカラーチを食べてみるべきだ。ここのカラーチは由緒あるレシピに従って作られている(昔はカラーチの「取っ手」部分は食べなかった。その理由はこちら)。コロムナを代表するもう一つの食べ物がリンゴ味のパスチラだ。こちらも古くから伝わるレシピに従って作られている。コロムナのパスチラ博物館を訪れたら、いくつかの種類を味見してみよう。そして友人全員に買って帰ろう。最高のお土産だ。

セルゲイ・エセーニンの故郷であるコンスタンチノヴォにて

 コロムナから車で1時間半の所にコンスタンチノヴォ村がある。詩人セルゲイ・エセーニンの故郷だ。彼の木造の生家の窓から外の景色を見渡せば、彼がなぜ詩人になったのか分かるだろう。黄金の丸屋根の教会、オカ川の湾曲、黄金のライ麦畑と緑の森が点在するロシアの果てしない空間。美しいとしか言いようがない。村の博物館では詩人の死の秘密を知ることができる。彼が自殺したのか、それとも誰かが彼の死を「幇助」したのかという重大な謎に対する答えが見つかるだろう。

3. セルプホフとポレーノヴォ

セルプホフの至聖三者大聖堂

 モスクワから車で1時間半の所に、もう一つ古い町がある。かつてはここにもクレムリンがあった。現存するのは城壁の一部とソボールナヤ丘(「大聖堂丘」)だけだ。丘の上には16世紀に建立された至聖三者大聖堂が現存するが、これは19世紀に古典主義様式で改築されたものである。近年、セルプホフの中心部は大いに変貌を遂げ、現代的な都市空間と歩行者天国、あらゆる好みに応える雰囲気の良いレストランが現れた。

ポレーノヴォにて

 セルプホフから車で40分の所にもう一つ、絵のように美しい貴族屋敷、ポレーノヴォがある。名称はここの主人だった画家ワシリー・ポレーノフに因む。屋敷は19世紀末にポレーノフ自身の設計で建てられた。タイル、ステンドグラス、そして家具も、ここにあるものすべてに巨匠の手が関わっている。この屋敷には有名な画家や作家が通い、家庭劇場も作られた。ポレーノヴォの邸宅の窓からは信じがたいほど美しいオカ川の眺望が見渡せる。屋敷にはタルーサという街から出る船で行くこともできる(一枚のチケットに往復料金と屋敷内のガイドツアー料金が含まれている)。同時にタルーサを散策し、この街とマリーナ・ツヴェターエワやコンスタンチン・パウストフスキーとの関わりを知ることもできる。

4. モジャイスクとボロジノ

ボロジノ戦いが行われた平原

 「ロシアは無駄に覚えるにあらず、ボロジノの日のことを!」というのはミハイル・レールモントフの1837年の詩の一節だ。ナポレオンによる1812年のロシア戦役の一幕、ボロジノの戦いは、レールモントフの詩の通り、今でも全ロシアが覚えている。そんなわけで皆さんも、高速道路のミンスク街道を1時間半走り、ロシアの勝利を決定付ける戦いが行われた平原に行ってみよう。ボロジノでは毎年9月初めに見応えのある戦いの再現が大々的に行われる。観衆が押し寄せるため駐車に苦労するかもしれないが、それだけの価値はある。普段の何もない日に訪れて、ただ博物館を見学し、クトゥーゾフが自軍と戦局を見守った場所に立つだけでも良いだろう。

 帰り道には13世紀に創建された街モジャイスクにも立ち寄ろう。美しい丘陵の風景が特徴的なこの街にも、かつてはクレムリンがあった。過去の威光をとどめるのは城門とゴシック様式のニコリスキー大聖堂だけだ。もう一つモジャイスクで必見なのが、モスクワ川の岸辺に立つルジェツキー修道院だ。まさに絶景!

モジャイスクのルジェツキー修道院

 体力と時間が残っていれば、帰り道に古いモジャイスク街道に入って、アレクサンドル・プーシキンが幼い頃に祖母を訪ねて通ったザハロヴォ貴族屋敷や、ミハイル・クトゥーゾフとモスクワに襲来したナポレオンが一晩違いで泊まったというボリシエ・ヴャジョームィのゴリツィン公家の屋敷を覗いてみよう。

5. ノーヴイ・イエルサリム(新エルサレム)

復活新エルサレム修道院

 モスクワからエルサレムまで車で行くのは至って現実的だ。ミニチュア版の聖地がモスクワから約50キロメートル離れたモスクワ州イストラ市にある。主要な名所はもちろん17世紀に総主教ニコンが建てた復活新エルサレム修道院だ。修道院が立つ丘はシオン、イストラ川はヨルダン川と改称された。主要な大聖堂は聖墳墓教会をモデルに作られている。

ノーヴイ・イエルサリムの歴史芸術博物館

 修道院を訪れたら、川の対岸にある歴史芸術博物館に必ず立ち寄ろう。ここにはロシアの教会芸術と世俗芸術の作品が常設展示されている。著名な画家たちの大展覧会も行われる。

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