カルーガ地方にある村、ニコラ・レニヴェツ(モスクワから220キロ南方)では一見バラバラのものを眼にすることが出来る。近代芸術のオブジェ、草原が広がるロシアらしい風景、川や農地、それに、信じられない程のオフロード・ドライブが経験出来る。
ウグラ国立公園内には森林や草原に見事にとけこんだ芸術的なオブジェが30以上もある。2006年に催された議論の余地がないほどに素晴らしいアルフスタヤーニエ・フェスティバル以来夏の暑さ、激しい雨、それに雪に多くのものは耐えてきたのである。いくつかの木製オブジェは徐々に自然に帰っているのもあるが。もちろん、毎年、夏になると新たなものが敷地内に作られている。
980平方キロに及ぶ地域には多くの芸術作品がある。ここで紹介しているのは、その中で最高の7つのオブジェで、ここに旅の計画するのに役立つ情報もある。
セルゲイ・ベレズツキーとイワン・ベレズツキのダイナミックな兄弟は、モスクワのツインズ・ガーデン・レストランで新しいロシア料理を開拓しているのだが、良質の食材を探すのに行き詰っていた。そこで、チミリャーゼフ農業アカデミー(ロシアで最も敬意を表される学校の1つの考えられている)と組んで、モスクワからわずか数時間クルマを運転すれば来れるもっとも環境が良い場所の1つであるカルーガ地方に50ヘクタールの土地を購入した。今では、ツインズ・ガーデン・レストランで料理に使われる、野菜、果物、乳製品、肉、魚、ハーブの70%はこのカルーガの農場のものだ。そのおかげでこの兄弟はレストランで使う食材を自分で管理できるようになった。
セルゲイとイワンはカルーガで自分の農場からアグロ・ツーリズムを始め大きくしたいと考えている。現在、いくつかのゲストハウスやその他のインフラ施設が建設中である。カルーガ地方の旅行を考えているのなら収穫期(通常9月の初め)にするのが良い。何故なら、この双子の兄弟が年に一度のガーデン・レストランの美食パーティーを農場で行うのがこの時期であるからだ。招待された、流行を創り出しているロシアや外国のシェフが採られたばかりの産物を使って何か美味しいものを素早く作り、季節に即したものを食べることの素晴らしさを参加者に体感させてくれるのである。シェフたちが調理している間、参加者は農場を見て回り、収穫を手伝い、釣りをしたりして雄大な自然を味わうことが出来る。
1967年にカルーガにつくられた、宇宙探検の歴史に特化した世界で最初の博物館で、今日までロシア最大の博物館。偉大な科学者であるコンスタンチン・ツィオルコフスキーが最も活躍した年月を過ごし、多段ロケット建造の必要性を説いてそれを証明したのはまさにこの町であった。
博物館の建物自体が記念碑的な建造物で、宇宙船を模っているようにも見える。ここでは宇宙探検の発展に関するユニークな展示物が多くある。あの伝説的なミール宇宙ステーションの試作品も展示されており、ボスホートロケットの複製品-最初に人類を宇宙に送ったロケットと全く同じもの-を実際に見ることができる。プラネタリウムに行くことも忘れてはいけない。外観が巨大な鋼鉄の球体が地中から突き出ており、まるで地上に衝突したUFOのようである。
2018年には、この博物館は大規模な改修、拡張が行われた。博物館の建物は丘の上に建設されており、ここからは、オカ川、貯水池、見渡す限りの松林がよく眺望できる。
もし、ロシアのおとぎ話に出てくるような自然の森を見たことがないのであれば、ここを訪れるべきである。カルーガの森は17世紀以降開拓されておらず、平均樹齢は180‐200年である(中には300年になるものもある)。森林の片側は貯水池に面しており、それと一緒になった素晴らしいレクレーションエリアとなっているのがユニークである。
伝説によれば、遠い昔、皇帝の王冠に目を付けた詐欺師、偽ドミトリー2世がこの森に身を潜めたが、ウサギ狩りの最中に殺害された。
今では、ここは散歩したり、サイクリングをするのに最適の場所である。いろいろな距離や難度のルート、4キロ、10キロ、16キロなどがある。自分にあったルートを見つけて、探検をスタートしよう。信じられないほど澄んだな空気を吸って、リスや鳥の鳴き声と出会う。多忙な都会の生活から体と心を開放するにはこれほど良い方法はない。徒歩で探検をするのはお勧めしない。自転車を借りれば、100ルーブル(およそ160円)でそっくり探検が出来る。もっとアドレナリンを出したいと思う人は森をはずれて350メートルばかしのところに、5月初めから10月終わりまではウェイクボードが出来るところがある。必要なものは波を切って進みたいという気持ちだけで、あとのものは全部レンタルできる。
カルーガでは簡単にタイムトラベルが出来る。市の中心部には18世紀に作られたゴスティヌィ・ドゥヴォール(ロシアの伝統的な市場)が残っており、ロシアの所謂ナルィシキンバロック建築が現存している。数ブロック先にはヴォスクレセンスカヤ通りという、小さくてかわいい通りがあり、商業が栄えてカルーガの全盛期であった20世紀の初めに連れて行かれたようだ。ここでは近代的建築やソ連時代の建物でさえ1つも目にしない。1983年以降、市の「レッド・ライン」(建物の正面部分)は厳しく保護されており、建造物の修繕は歴史的な外観に戻すためだけに許されている。18世紀と19世紀には、裕福な商人や貴族が瀟洒で華美なこれらの邸宅に住んでいたが、今日では、教育機関が入っている。春になると、リンゴや梨の花が中庭で咲き誇り空気が特に甘くなる。
21世紀に戻って、町で最もトレンディな飲み物や食べ物を出す場所のある邸宅に足を踏み入れよう。チャスナヤ・プラクチカ・レストラン・バーである。ここをつくった人は、古い邸宅にかっこいい近代的な内装を施した。料理とカクテルはどうかというとーぜひ自分自身で試してみて欲しい。
オカ川から戻る途中、市中心部の反対側に、最近オープンしたバイオスフェラがある。この公園には、動物園、遊園地、レストランがある。動物たちは檻に入れられておらず、あたりを自由に歩き回っている。訪れた人は、リャマ、ラクダ、バイソン、ダチョウ、孔雀その他の動物を空中歩道を歩きながら上方から観察できる。これだと、動物たちを刺激せずに近づくことが出来るのだ。またここは、ロシア最大の鷹・ハヤブサ園でもあり、30羽もの猛禽類が飼われている。
つい最近、アザラシやアシカが特設プールにやってきて、訪問客に愛嬌を振りまいている。また、巨大観覧車も公園内のつくられ、わずか200ルーブル(およそ320円)払えばカルーガを掌に載せるように見ることができる。最後に、すぐそばのプールや小さな野原にいる白鳥やフラミンゴを見ながらレストランで食事をとってエネルギーを充電しよう。
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