ダゲスタンに来る前に知っておくべき5つのこと

観光・自然
ニコライ・シェフチェンコ
 チェチェンと国境を接するこの南部の共和国では、なによりもまず安全第一だ。しかし、チェチェンとは違い、カスピ海沿岸に位置するこの場所のルールはかなりゆるやかだ。

1.どうすればダゲスタンに行ける?

 この南部の共和国へ向かう主な出発点となっているのは、首都マハチカラから25キロ離れたところにあるウイタシ空港だ。この空港はいくつかの都市へ行く便が発着している。そのなかでもっとも人気なのはモスクワだ。その他にも、サンクトペテルブルク、カザン、ロストフ・ナ・ドヌー、スルグト、さらには、カザフスタンのアクタウ市という珍しい便もある。

 モスクワからマハチカラへのフライトは安価で飛行時間も短く、わずか2時間半だ。 飛行機は、ロシア国内の他の場所へ飛んでいるものと同様に快適だ。

 車でダゲスタンに向かうことも可能だが、この共和国に近づいてくるにつれ言語力が大いに必要となってくるため、ロシア語(他民族のダゲスタンでの共通語)が話せない観光客にはお勧めできない――車は、ロシアの諸都市よりもかなり頻繁にセキュリティチェックのために止められ、保安官などとコミュニケーションをとらなければならなくなる。時には、車のナンバープレートだけでなく、あなたの素性までチェックされることもある。

2.ダゲスタンに行くのは安全なの?

 ウイタシ空港からマハチカラ(ダゲスタンの首都)へ向かう途上では、車両は路上バリケードに沿って進むことになる。そこでは、武装した警察官が、指名手配中の犯罪者のデータベースと照らし合わせて運転手と乗客をチェックし、車のトランクに武器類がないかを確認している。

  過度のセキュリティ対策に慣れていない訪問客は、ひと目見て、こうした生活のあり方に少し恐怖心を持つかもしれない。逆説的に言えば、わずか20年前には政府軍とイスラム系のテロリストらの間で起こった紛争の戦場となったことを考えれば、こうした厳しい対策はダゲスタンが比較的安全な状態を保つためには当然のことなのだ。

 この共和国の一部の地域は、警察当局にとって問題を抱えたままとなっている。2018年もなお、殺されたテロリストや強盗、あるいは警察官を襲った武装集団に関する特別報告が引き続き出されている。 

 しかし、マハチカラの中心部では、普通の生活を送っている地元の人々にとって、テロリズムはすでに過去の遺物だ。市内には軽犯罪もないと言っていいくらいで、現地の人たちはこの事実にかなり誇りを感じている。

 つまり、マハチカラはダゲスタン共和国の他の発展した場所と同様、比較的安全だ。観光客に見えると騙されるんじゃないかなんて心配しないで――そういうことはダゲスタンでは絶対に起こらない。でも、現地のガイド無しで人けのないところへふらりと行ったりするのは控えよう。

3.現地の人たちとはどうやってコミュニケーションをとればいいの?

 ダゲスタンの人たちはかなり親切で寛大、もてなし好きで心を開いてくれる。ただ道を尋ねただけなのに、ただで車に乗せてくれたり、食事をふるまってくれたりしても驚くことじゃない。よその土地から来た人に親切に接することはダゲスタンの信条だ。ここは小さな共和国で、現地の人たちは、多くの同国人たちの名前を知っており、お互いに密接な絆を築いているようだ。だから個人的に、あるいはビジネスで誰かを探しているのなら、ネットのつながりで時間を無駄にしないようにしよう――ダゲスタンでは、地上のネットワークがうまくいく方法だ。

4.ダゲスタンのエンターテイメントはどうなんだろう?

 ここはロシアでいちばん観光地化されている場所であるとは言えない。そのため、マハチカラの人たちに、この街にどんなエンターテイメントがあるかと訊くと、困っているように見えることも多い。彼らのほとんどは、カスピ海と中央公園を教えてくれるが、後者は公園というよりは小さな並木道だ。カスピ海は美しいが、はるかに多くの観光客が訪れるソチを利用できる黒海に比べると水が冷たい。

 都市的な観光スポットに焦点を当てるのではなく、旅行客たちにはダゲスタンの田舎を散策することをお勧めする。岩山や山並み、古代のモニュメント、山間の村などが、静けさと平穏を求めて自然に融け込みたいというビジターに素晴らしい景観を見せてくれることだろう。

 最高の観光地はマハチカラから車で2、3時間ほど行ったところにある。普通、ガイド付きの日帰りツアーでは、ある特定の場所を訪ねるというプランになっている。ネット上にはこうしたことについての情報はほとんどない――どんなツアーなのかを知る最良の方法は、ホテルのスタッフに尋ねることだ。訪問すべき場所としては、ダゲスタンのジュエリーメーカーの工房で知られるクバチ村や、古代のカラ・コレイシ要塞、見事なサルィ・クム砂丘、一部が古代でロシア最南端の街でもあるデルベントなどがある。

5.ダゲスタンにはナイトライフはあるの?

 小さな都市は言うまでもないが、マハチカラにもナイトクラブはあまりない。豪華なレストランがあるにはあるが、数は少なく規模も小さくて、みずぼらしい地元の店がメインだ。

  少し驚きだが、人口の大部分がイスラム教徒であるこの国にもバーがある。酒を見つけることは難しくないが、現地の人たちのほとんどがスポーツに熱中し、アルコールを控えているなかで、自分一人だけ飲んでいるという心づもりでいこう。とはいえ、ビールを飲んでいる人がいても眉をひそめたりはされない。

 現代のダゲスタンの女性たちは、男性が紳士的に接すれば、普通は気分を害したりはせず、ロシア連邦の南部の諸共和国をめぐるもうひとつの神話は偽りであることを証明してくれる。しかし、このルールは場所や家族によって異なっている。常識に従って現地の人たちには親切に接するようにしよう。そうすれば、いかなるトラブルも避けられるだろう。

 良い旅を!