5月9日、ロシアの多くの街で、戦争に参加した親族の写真を持ちながら、数千人の人々が通りを歩く。=
ロイター通信大祖国戦争の退役軍人および傷痍軍人の人数は、ロシア政府によれば、今年4月の時点で180万人。だがこの戦争で直接戦った兵士は、このうち20万人以下。残りの100万人以上の軍人は後方支援者である。
退役軍人および傷痍軍人はどんどん減少している。それでも、戦勝記念日前になると、幼稚園や小学校で会うことができる。子どもたちに70年前の体験について話しているのだ。
5月9日、多くの退役軍人が、当時同じ部隊にいた仲間たちと会う。ロシアで最も有名な大祖国戦争の戦友との再会の場は、モスクワのボリショイ劇場の噴水付近である。この日、勲章つきの昔の軍服を身にまとう、老いた戦争参加者を見ることができる。
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近年で最も規模の大きい、戦争世代の功績を称えるプロジェクトは、「不滅の連隊」運動である。5月9日、ロシアの多くの街で、戦争に参加した親族の写真を持ちながら、数千人の人々が通りを歩く。この運動はロシア国外でも行われており、昨年は世界40ヶ国で行われた。
「不滅の連隊」は当初、シベリアのトムスク市のジャーナリストのグループが、戦争に参加した親族の写真を記念施設に持ってくるというソ連の伝統を受け継ぐ、極めて社会的な活動として始めた。2012年5月9日、グループの呼びかけに応じ、トムスク市の中心部の通りに数千人の市民が集まった。市民は、大祖国戦争に参加した親族の写真や写真つきのプラカードを手にしていた。
この運動はすぐに知られるようになり、翌年、ロシアの100以上、2014年には500以上の市町村で行われた。2015年、国から承認を受け、さらに盛大になった。モスクワの中心部や赤の広場に参加者が集まり、ウラジーミル・プーチン大統領が行進を率いた。プーチン大統領は、前線に赴いた自身の父の写真を手にしていた。この年の運動には、モスクワだけでも約500万人が参加した。
「不滅の連隊」運動は全国的な運動となり、戦争に参加した親族の話を伝えることのできるウェブサイトも立ち上げられた。ここには現在、数十万件の話が集まっている。
大祖国戦争の話を知ることのできる場所は、このウェブサイトだけではない。ロシアで最も有名なウェブサイトの一つは、作家で脚本家のアルチョム・ドラプキン氏が15年前に創設した「私は覚えている」。退役軍人のインタビューが数百件掲載されている。ここにはロシアだけでなく、セルビア、ブルガリア、ルーマニア、ポーランド、フランス、ドイツなどの他の国の軍人の話もある。ドラプキン氏によれば、インタビューは第一に、戦争に関する知識を補完し、第二に、歴史の作業にはない新たな感情をこの戦争史にもたらすという。
「戦勝ボランティア」運動の参加者も、退役軍人の記憶を記録している。大祖国戦争戦勝70周年記念に合わせて始まり、約20万人の参加者がいる。この運動の目的は、退役軍人探しとその支援。
退役軍人らもそのネットワークを全国各地に広げながら、互いに支援している。このような退役軍人組織は、地方の行政府や連邦政府にしっかりとサポートされている。
大祖国戦争の退役軍人のアントニナ・コロリョーワさん(94歳)、5月9日2016年=P
社会運動以外にも、ロシアには戦勝記念の国家プロジェクトが多数ある。ロシア連邦国防省は2年前、ウェブサイト「国民の功績」を立ち上げた。ここでは、親族の受勲やそれにいたった経緯について知ることができる。
国防省には別のウェブサイト「国民の記憶」もある。ここには受勲、埋葬場所、赤軍兵士の軍事作戦などに関する文書50万件ほどが掲載されている。私はここで、開戦時に北西戦線で戦っていた自分の祖父の受勲について、簡単に知ることができた。
最近の戦勝記念日では、ゲオルギー・リボン(戦勝記念リボン)をよく目にする。ロシアの街の通りですでに12年、リボンが配られている。
リボンの色(オレンジと黒)は戦時中のソ連親衛隊(大祖国戦争で著しい戦功をあげた部隊に与えられた名誉称号)のリボンをほうふつとさせるが、名称は女帝エカチェリーナ2世がロシア帝国の最高勲章として授与していた聖ゲオルギー十字勲章のリボンからきている。
ゲオルギー・リボンは今や、ロシア国外でも配られている。ニューヨークでは今年、1000本ほどのリボンが配布された。
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