手のない少年の優しいピアノの音

アレクセイ・ロマノフさん(16)は、両手の手関節のない障がいをもって生まれたが、ピアノの音色を美しく、見事に奏でる。=

アレクセイ・ロマノフさん(16)は、両手の手関節のない障がいをもって生まれたが、ピアノの音色を美しく、見事に奏でる。=

アルトゥール・レヴァチコフ撮影
 アレクセイ・ロマノフさん(16)は、両手の手関節のない障がいをもって生まれたが、ピアノの音色を美しく、見事に奏でる。アレクセイさんの演奏は、客席のスタンディング・オベーションを呼び、インターネットのユーザを感動させている。

 ロシア連邦タタールスタン共和国のボルガ川沿岸の街ゼレノドリスク出身のアレクセイさんが音楽を始めたのは、2年半ほど前。モーツァルトやヴィヴァルディなどのクラシック音楽を聴いたことからすべてが始まった。ある時、ふと自分でも演奏してみたくなった。

 まず、学校の音楽の先生に、ハリウッドの人気映画「トワイライト」や「タイタニック」のサウンドトラックの中から、好きなメロディーの曲のピアノの弾き方を教えてもらった。このような勇ましい試みを、先生だけでなく、友だちも応援した。

アルトゥール・レヴァチコフ撮影アルトゥール・レヴァチコフ撮影

 「特に僕を助けてくれたのが、2人の女子の友だち。音楽の基礎、楽譜の読み方を教えてくれた。今でも総譜表を送ってくれるから、それを学んで、良いものをお気に入りにしておく」とアレクセイさん。

 

この子はできる

 アレクセイさんは現在、タタールスタン共和国の行政中心地カザンにある、筋骨格系の障がいを持つ児童のための第4寄宿養護学校で学んでいる。最近、里親家族を持つことになった。里親は、ウラジーミル・レヴァチコフさんとルイーザ・レヴァチコワさん夫妻。

 夫妻は息子になったアレクセイさんの芸術への傾倒に気づき、シンセサイザをプレゼントした。アレクセイさんは練習を重ね、音楽コンクールに参加するようになり、また優勝するようになった。

アレクセイ・ロマノフさんが映画「トワイライト~初恋~」の、韓国のピアニスト、イルマのサウンドトラック「リバー・フローズ・イン・ユー」を奏でる。

 本人によると、地元の室内オーケストラ「ラ・プリマベーラ」と大舞台で共演した後、音楽学校に入ることをすすめられたという。さらに、ラ・プリマベーラの首席指揮者から、テレビ番組「明日からの来客」に招待された。ここで映画「トワイライト~初恋~」の、韓国のピアニスト、イルマのサウンドトラック「リバー・フローズ・イン・ユー」を奏で、マスメディアおよび世間に広く注目されることになった。

アルトゥール・レヴァチコフ撮影アルトゥール・レヴァチコフ撮影

 「オーケストラと共演した時、緊張で震えてしまった。あまり思いだせないぐらい。逃げることもできないし、ステージにでて、座って、演奏を始めた。膝がガクガク震えるのを感じた。しばらく時間が経過して、うまくいってるとわかって、あとはメロディーが自然に流れるような感じがして、落ち着きを取り戻せた」とアレクセイさん。

 

インスピレーションの源

 アレクセイさんの活躍は、若者にインスピレーションを与えるだけでなく、モチベーションを与えるものだと言ったところ、本人は恥ずかしがった。

 「僕自身はどこからともなくインスピレーションを受けてる。時々、目に見えない無限の霊魂の源が、僕にエネルギーを与えてくれてるような気がするんだ」とアレクセイさん。