秋の定期徴兵始まる

PhotoXpress 撮影

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ロシアでは10月1日より、18歳から27歳の青年を対象とする、秋の定期徴兵が始まった。これは義務であり、また国民の80%が男性は兵役すべきだと考えている。しかしながら若者は、1年兵舎で過ごすよりも、別の形で祖国に貢献することを好んでいる。

 秋の徴兵キャンペーンが始まった。招集期間はこれまでと同じ101日から1231日まで。教育者と多産家族の父親は、これまでと同様、対象にはならない。農作業をしなければならない農村の住民の招集期間は、1015日から1231日までと少し遅れる。 

 軍事委員部が健康診断を含む招集活動を行えるのは、この期間中だけである。期間外の活動は違法であり、実施すれば裁判所に訴えられる可能性もある。 

徴兵人数の減少

80%が「兵役に就くべき

「全ロシア世論研究センター」は今年2月、国内42地域で徴兵に関する世論調査を行った。80%の回答者が男性は兵役に就くべきだと考え、42%がこれを名誉なことだと考えている。「回避すべき無駄なこと」だと考えている人は16%で、2000年の25%と比べて減っている。

 ロシア連邦国防省は今秋、15万人の青年を招集することを計画している。省の関係筋によると、これほどの大人数を招集するのは今年で最後だという。これは徴兵人数削減・契約軍人順次採用計画の第2弾を始めたことに関係している。

 削減人数は数万人規模。主な理由はセルゲイ・ショイグ国防相の新路線。標準的な徴兵構図から離れ、契約軍人の人数を拡大しながら、コンパクトで動きの軽いプロフェッショナルな軍隊を編成することを提案している。

 徴兵期間はこれまでと同じ1年。ショイグ国防相の考えによれば、期間を延長したからといって、専門的な人員育成の問題が解決するわけではない。軍備が複雑になってきているため、たとえ3年兵役しても完全に習得できない。 

従軍が嫌な理由

 慣れた環境から離れたくないというのは、徴兵年齢に達した若者が兵役を嫌がる主な理由。

 「兵役はロシアの若者の義務というだけでなく、1年間の苦しみと無意味な時間。『クラスメート』(交流サイト)で兵役から戻った人を見るけど、就職意欲もないし、まわりで起きていることもまるで理解できてない」と、モスクワ物理工科大学(MFTI)卒業生で、ロシア科学アカデミー研究生および有限責任会社「子供の世界」のアナリストを務めるアンドレイ・サフォノフさんは話す。

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名誉か辛い義務か

 ロシアには「兵役してなきゃ男じゃない」という表現があるが、これは戦時中に机の下に隠れ、祖国を守るという義務を友人や同僚に押し付けた人に対するものだという。「仕事をして、税金を収め、科学に関わり、息子がいて、だけど1年兵役していない人間が、男じゃないというのは、よくわからない。5年かけて覚えたことすべてが消えるような1年を過ごしたところで、男にはなれない」

 サフォノフさんは健康問題を理由に兵役を免れたが、健康診断の時に、自分の病気の重さを若干誇張しなければならなかったという。「賄賂を支払ったり、知り合いのお偉いさんの力を借りたりしたわけじゃない。兵役をまっとうできないような悪いところが実際にある。すべてを少し着色しなければならなかっただけ」 

従軍を望む人

 ロシア科学アカデミー・アメリカ・カナダ研究所で英語を教えているダニール・ルツコイさんによると、若者は自分の人格形成のために従軍するという。

 「大学院での勉強を続けず、軍人手帳を買ったりまたは隠れたりせずに、兵役に就くことを決意した理由は2つ。大学院の勉強で社会に役立つことは何もなかったこと、人格形成が必要だったこと。成績は悪くなかったし、多くの先生に学業継続をすすめられたけど、これでかえって変化と従軍の必要性を感じた」

 兵役に就いたのはあくまでも自分の意志で、誰かに説得されたわけではないという。「これが必要なんだと考えた。最初にクラスノダル、次にモスクワ郊外で従軍した。通信兵をやっていた。自分は変わらなかったし、目標も達成できなかったけど、124時間自力で課題を解決し、数十人のリーダーという経験を得て、AK-74Mも使うことができた」

 新兵イジメにもあわなかった。年上の兵士がクラスノダルでもモスクワ郊外でも、休日に兵舎を掃除しなかったことで、制限があった程度だという。

 「一般的にイメージされるような、軍が少年を男にするというのはない。自分でいろいろ決めることによる成長は可能。このぐらいの成長なら、普通に仕事をしながらでもできる。従軍経験がなくても私より大人な人をたくさん知っている」