レーニンの死から今年で90年

赤の広場のレーニン廟から改葬すべきか否かという問題がしばしば提起されるのも、そうした状況の反映だ=AFP/EastNews撮影

赤の広場のレーニン廟から改葬すべきか否かという問題がしばしば提起されるのも、そうした状況の反映だ=AFP/EastNews撮影

「ボリシェヴィキ革命の父」に対する現代のロシア人の見方は一様ではない。赤の広場のレーニン廟から改葬すべきか否かという問題がしばしば提起されるのも、そうした状況の反映だ。とはいえ、古い世代にとっては依然として「歴史的人物」だが、子供はしばしばコミックスのキャラクターと混同したりする。

破壊者か天才政治家か 

 ヴィクトリアさん(50歳くらい)の意見では、レーニンは、この巨大な国を破壊した人物であり、したがって、ロシア史における肯定的な人物とは考えない。一方、ユーリアさん(35歳)は、彼は天才で天与の政治家だと言う。「レーニン廟の彼の遺体は、展示物じゃなくて、伝説です。まあ、エジプトのファラオみたいなものですね」

 アンナさん(20歳すぎ)の考えでは、レーニンは、完全に過ぎ去ってしまった歴史的過去にすぎず、したがって赤の広場に廟を残しておく必要はない。「この廟は、歴史的に見ても、建築としてみても、面白いとは思いません。例えば、ユニークな救世主大聖堂などとは全然違います。あの廟にいまだにミイラがあるのは、多くの理由で極めて不愉快なことです。だいたい、こういうことは、死者に対する冒とくであって、何の必要もない宣伝だったのではないでしょうか」

 アレクサンドルさん(30)によると、レーニンは、クーデターをやった人物で、それ以上でもそれ以下でもないという。

 概して、レーニンは歴史的人物の一人にすぎないと、そっけない調子で言う人が大半だった。 

 

アンケートでも賛否両論 

 世論調査機関「レバダ・センター」の、昨年5月に実施されたアンケートによると、どちらかといえば肯定的と答えた人が40%、どちらかといえば否定的という人が18%、肯定的という人が15%、「分からない」が16%、レーニンが誰か知らない人が1%、という結果だった。

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ソ連博物館

 ちなみに、他の政治家と比べてみると、最も肯定的な評価を得たのが、70年代にソ連の指導者だったレオニード・ブレジネフで、逆に最悪の評価は、ソ連の最初で最後の大統領、ミハイル・ゴルバチョフだった。

 レーニンに関するアンケートは、2011年にもレバダ・センターで行われている。そのときの結果は、34%が、「レーニンは歴史に記憶されているが、もはや誰も彼には追随しない」と回答し、5%だけが、「彼の思想には将来がある」と答えた。改葬の問題では、40%が「改葬は必須」とした。

 

「単なる過去のシンボル」 

 ロシア民族友好大学のボリス・ヤケメンコ准教授は、レーニンの歴史上の意義は低下し続けていると確信する。

 「今では、レーニンという人物は、大多数のロシア人のものの考え方や価値観に影響を及ぼしていない。彼は、並の歴史的人物に成り下がってしまった。確かに、彼を研究するのは面白いけれど、その結果は、この現代という時代にいかなる波紋も呼び起こさない。それというのも、私は大学で働いているので分かるのだが、この人物は、私の学生達にとってはもはや何者でもないからだ。なるほど、彼は革命を起こし、ソ連を創ったが、だから何なのさ、というわけだ。スターリンとは違って、その後のソ連の悲劇的事件と結び付けようともしない」

 ヤケメンコ氏によると、小学生はしばしば、レーニンをコミックスのキャラクターと混同したりするという。「彼らにとっては、もう歴史的人物でさえないということだ。なるほど、もっと上の世代は、彼の意義について、際限なく抽象的な議論を続けているが、だからといって、自分の精神的バックボーンを擁護しているわけではない。お年寄りにとっては、彼らの生涯における最良のものの象徴だ。要するに、古き良き時代のシンボルだから、それを今さら拒否することはできない相談なのだ」

 

改葬の問題 

 レーニン廟の遺体の改葬問題については、これまた際限なき議論が続いているが、ヤケメンコ氏の考えでは、これには政治的決定が必要であるものの、古い世代が完全に世を去ってからにすべきだろうという。

 「将来的には、レーニンの別荘があったゴールキに廟を移築するのが適当だろう。そこで、いわば、博物館または歴史的遺産として保存されるわけで、そうなれば、改葬をめぐる議論は止む。ただ、いずれにせよ、これは、レーニンを象徴として受け止めている古い世代が完全に世を去ってからの話だ。今のところ、改葬問題は政争の具になってしまっている」。ヤケメンコ氏はこう結んだ。