ロシア南部のヴォルゴグラード市で連続テロ

鉄道「ヴォルゴグラード1」駅で29日、爆発が発生し、少なくとも17人が死亡した。当局は自爆テロと断定している。30日朝のラッシュアワー時には、トロリーバスが爆破され、現時点で約15人が死亡、20人以上が負傷。こちらは、遠隔操作による爆破テロと推測されている。

 ヴォルゴグラード市はロシア南部の 都市。紛争地域あるいはモスクワ市、サンクトペテルブルク市からは遠く、冬季五輪が開催されるソチ市からは700キロメートル離れている。10月21日に 同市でテロが発生したばかりで、今回は2度目となる。「ヴォルゴグラード1」駅では安全対策が講じられていたため、被害をある程度抑えることができた。ロ シア国内の駅と空港では現在、安全対策が強化されている。

 「雷は同じ場所に二度落ちない」と言われるが、紛争地域から遠く離れたヴォルゴグラードは、これを打ち消した形だ。前回はダゲスタン共和国出身の30歳の女が、路線バスの車内で自爆テロを起した。今回は市の中心部に位置する鉄道駅の駅舎内で爆発が起きた。

 ワシリサ・ワシリエワさんは、駅の向かい側にある建物内のデリカテッセンで働いている。「爆発はうちの建物全体が揺れるほど激しかったから、うちで爆発 が起こったんだと思って、びっくりして外に出たら、駅だった。中央口の階段には人々が横たわっていて、建物の窓は全部割れ、中央部の2階の窓からは黒煙が 上がってた。駅の時計は爆発が起こった13時7分で止まってた。私の彼氏の友人が駅の警察官だから、彼氏がすぐに電話をかけたら、今ケガをしていて話がで きないって言われて、これは大変だと思った」

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駅では17人死亡、負傷40人超 

 この爆発によって、少なくとも17人が死亡、40人が負傷した。負傷者の多くが中傷から重傷だという。負傷者には9歳の少女も含まれている。

 爆発が発生して数分後には、最初の救急車と消防車が現場入りした。警察は現場を封鎖し、捜索犬と爆発物処理班も来た。

 目撃者の証言によると、1人の女が他の駅の利用者と同様、駅の入り口に設置されているX線機器にカバンを置き、金属探知器を通過したという。爆発はこの 時に起こった。10月のテロ以降強化されていた同市の安全対策は、すでに緩和されていたものの、警戒は続けられ、X線機器も単なる見せかけの抑止力ではな く、しっかりと機能していた。だがこれでは不十分で、街は依然として脆弱であることが判明した。

 爆発場所付近にいた人が死亡または負傷した。全国テロ委員会は発生直後に、女の自爆テロ犯が関与した可能性があることを指摘。その後、連邦捜査委員会 は、犯人が男である可能性も浮上したことを伝えた。ロシア連邦刑法典の条項「テロ」と「違法爆発物所持」にもとづいて、この一件が刑事事件として立件され た。

 ワレンチナ・ウスチノワさんと、おいのイワン・コノワロフさんは、ダゲスタン共和国キズリャル市からヴォルゴグラード経由でウリヤノフスク市に向かって いた。15時に「キスロヴォツク-エカテリンブルク」の列車に乗る予定だった。乗り換えの待ち時間が数時間になるため、街を観光して、駅の待合室に戻って きたという。コノワロフさんはこう話す。「最初に小さなパンという音がしたから、誰かが年越しのクラッカーでもならしたのかなと思ったんだ。そしたら本物 の爆音がなって、窓が粉々に割れて、炎が上がった。何とか手で顔を覆うことはできたんだけど、遠くにいたのに、毛皮が焦げた。すぐに窓から飛び出して逃げ た。爆発現場にはガラスと血があったから、見たくなかった」

 スヴェトラーナ・デムチェンコさんは、友人の女性と爆発現場近くにいた。「閃光で目がくらんで、床に倒れたの。そのおかげで助かったんだと思うわ」

 駅の清掃員のタチヤナさんとリュドミラさんは、金属探知機が設置されている、駅舎の中央部を担当していた。13時に昼の休憩になったため、地下の従業員用の休憩室に降りると、その数分後に爆発音がなった。

爆発により、ヴォルゴグラード市郊外には長距離列車が立ち往生した。地元の鉄道局は事件の1時間半後、別の駅を出発と到着の臨時拠点に指定。駅前の通りは、乗客や出迎えの人などでごった返した。

 

なぜヴォルゴグラードなのか? 

 ヴォルゴグラード州のセルゲイ・ボジェノフ知事は、この事件で死亡した人がどこに住んでいたかにかかわらず、遺族に対して州の予備金からそれぞれ100 万ルーブル(約300万円)の支援金を渡すことを発表した。負傷者にはそれぞれ20万ルーブル(約60万円)を渡し、ケガの程度によっては増額の可能性も あるという。

 「市のすべての関係局が今、10月に実践済みの体制で動いている。ヴォルゴグラードの市民にうろたえやパニックはないことを強調したい。市の医療機関に は被害者の受け入れに必要なすべてが備わっているし、モスクワ市の病院とも連絡を取り合い、必要に応じて患者を送る。非常事態省の飛行機が、モスクワから 飛ぶ用意をしている」とボジェノフ知事。

 ケガの状態がより深刻な被害者は市立第25救急病院に入院し、9歳の少女は第7病院に入院している。ケガは主に爆風による損傷とやけど。

 なぜヴォルゴグラードでテロがくり返されたのかという問題について、専門家は今のところ答えをだしていない。ロシア連邦内務省広報部によると、ロシア国内のすべての交通拠点で安全対策が強化されているという。