モスクワの市南部のビルリョーヴォ地区の騒乱、13日10月=AP通信撮影
インターファクス通信によれば、月曜日、モスクワのビルリョーヴォ地区での民族間の騒乱を背景に、ヴォルガ沿岸の都市サラトフの中心部では、地元の若者とカフカース出身者たちの間で、およそ20人が入り乱れる衝突が発生した。その日、市内では、モスクワのビリュリョーヴォ地区での日曜日の騒乱への連帯を表明するナショナリストたちのデモが予定されていた。
ロシア南部の諸都市に飛び火
ロシア南部の都市クラスノダールの住民たちも、モスクワっ子を支持して、10月14日、無許可の集会を催そうとしたが、インターファクス通信によれば、市の中心部で無許可の民族主義的なデモを行う試みは、警察によって未然に防がれた。モスクワのビリュリョーヴォ地区の住民への支持を表明するために19時に劇場広場に集まろうとの交流サイトや青年フォーラムに掲載された呼びかけに応えたのは、数十名にすぎず、その時刻に、クラスノダールの中央広場は、状況を掌握していた警察によって包囲された。
サラトフやクラスノダールのほか、スタヴロポリ、ロストフ・ナ・ドヌー、ヴォルゴグラード、アストラハニ、トゥーラといったその他一連の都市でも、首都の騒乱を支持する示威行動が予定され、オムスクの交流サイトでは、若者たちが、ビルリョーヴォの事件に共鳴して街頭へ繰りだす構えを見せていた。
「汚職に起因する構造的問題」
国立高等経済学院の地域経済・経済地理学講座主任のアレクセイ・スコーピン氏によれば、モスクワの騒乱は、移民に対する就労許可の分野で蔓延していた汚職の実態を白日の下に晒したとみなし、こう述べる。
「こうした緊張は、地方から始まっており、ようやくモスクワへ至りました。首都でも、すでに個々の騒乱による緊張は見られたものの、大事には至っていませんでした。これは、ずっと放置されてきた根の深い問題であり、ビリュリョーヴォの騒乱は、今後も尾を引くものと想われます。不法入国の分野では、なにしろ巨額の金が動くので、汚職に手を染める者たちは、なかなか自ら襟を正すことができず、秩序がもたらされないかぎり、状況はますます深刻化するでしょう。移民は、賄賂を握らせる代わりに、滞在の可能性と行動の免罪符を手に入れますが、その皺寄せを食らうのは、住民です。公共の場で人々の身の安全を守るのは、当局の義務ですが、住民自らそれをしなくてはならないのです」。
「ヴィザ導入が必要」
特殊部隊「アルファ」退役者協会会長でモスクワ市議会議員のセルゲイ・ゴンチャローフ氏は、騒乱の波及は、まず第一に、インターネットの普及や迅速な情報伝達の可能性に起因しているとみなし、こう語る。
「インターネットを覗くとデモへの呼びかけが見られますが、首都モスクワが他の都市にサインを出しているという側面もあるので、国民は中央での出来事に反応していくでしょう。現段階では移民のチェックだけで済ますことはできず、何らかの政治的措置に踏み切る必要があるでしょう」。
スコーピン氏の考えでは、中央アジア諸国との査証(ヴィザ)制度の導入が決め手となりえ、同氏は、ロシアには移民は現在の30%で十分とみなしている。
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