ゲンナジー・オニシチェンコ露主任衛生医師タス通信撮影
8月19日には、地上タンクから高濃度汚染水300トンが漏れていたことが発覚し、9月8日から調査を始めていたが、10月6日に採取した地下水から、これまでの最高値となる1リットル当たり23万ベクレルの放射性物質トリチウムを検出したと発表された。専門家らは、雨で放射性物質が流れ込んだことなどが考えられるとしている。
相次ぐ汚染水漏れの発覚
これに先立って10月3日には、約430リットルの高汚染水が漏れている。ストロンチウムを含む濃度は、1リットル当たり58万ベクレルに達した(現在の基準は、リットル当たり30ベクレル)。
原発敷地内の港に隣接する排水溝では、リットル当たり840ベクレルが検出され、汚染水流出以前のレベルを7倍上回った。
また、地上タンクの一つの基底部には亀裂がみつかり、それが8月に、300トンの汚染水漏れを引き起こしたとみられている。タンクに送られる水が亀裂を大きくし、大規模な流出を招いたという推測だ。
IAEA調査団10月半ばに来日
これら一連の出来事の後、事態が事実上手に負えなくなってきたことを受けて、事故処理に当たっている東電の専門家らは、約5億ドル(約500億円)をつぎ込んで、汚染水の除染と原発周辺の土壌を凍結する意向を示した。これらの措置が実施されれば、汚染水の太平洋への流出は防げるはずだという。
一方、国際原子力機関(IAEA)は、事態を確かめるため10月半ばに日本に調査団を送ることを決定した。調査団は、世界各国の専門家とIAEAの職員からなり、日本政府の招きで10月14日~21日に訪日する。福島をめぐるIAEA代表団の来日は、2011年10月以来2度目となる。
オニシチェンコ長官:「数年後が心配」
こうした状況は、隣国ロシアをはじめ国際社会を警戒させている。オニシチェンコ露主任衛生医師(ロシア連邦消費者権利保護・福祉分野監督庁長官)は、事態を憂慮していると述べた。損傷した冷却水タンクからの放射能漏れは続いており、東電自体も、周囲の環境が放射能で汚染されたことを既に認めているからだという。
同氏によれば、一連の出来事は、事態がうまくコントロールされていないことを示している。
「魚介類は、東部ロシアにとっては、安価で貴重な蛋白源だが、今のところ、事故の悪影響は出ていない」としながら、同氏はこう警戒感を表した。「だが、これは我々が警戒を解くということではない。むしろ逆に監視体制を強化していく。数年後に結果が目に見える形で現れかねないからだ」。
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