外国人留学生向けの英語による授業

国際関係大学に今年開設された国際関係・政治研究所は、ロシアでは初となる、完全英語教育の学士プログラムを実施している。=PhotoXPress撮影

国際関係大学に今年開設された国際関係・政治研究所は、ロシアでは初となる、完全英語教育の学士プログラムを実施している。=PhotoXPress撮影

外国人留学生は、ロシア語を学ぶことなく、ロシアで大学教育を受けることができる。その可能性はさらに広がっている。

 「私は20歳で、ルクセンブルグから来た。自分がまったく知らない言語の国であるロシアに来るのは、一種の挑戦だった」と、モスクワ国立国際関係大学政治学部修士課程2年生のドミニク・シェヴォレトさんは話す。

 シェヴォレトさんはロシアに留学する数千人の学生の一人だ。ロシア語に習熟していないこと、そしてロシア語を勉強し、大学の授業を受けられるようになるための予備学部で学んでいないことが、他の留学生と異なる点だ。

 

 完全英語教育の国際関係・政治研究所 

 国際関係大学に今年開設された国際関係・政治研究所は、ロシアでは初となる、完全英語教育の学士プログラムを実施している。このプログラムは、外国人の大学入学希望者を優先している。

 研究所のヤン・ヴァスラフスキー所長代行はこう説明する。「英語の学士課程教育は、国際関係大学のロシア語の教育をそのままコピーした内容ではない。将来的に多少なりロシアと関係するプロを養成しているため、一般的な科目以外に、幅広い歴史学習を含んでいる。このために外国人がロシアに留学にくる」。

 ベテラン集団も、国際関係大学の最終年の学生を引きつけるかもしれない。大学の教授陣以外にも、マスター・クラスに外国やロシアの大手企業の専門家を招へいしている。さらに、外交官養成機関である国際関係大学は、ロシアの外交官や外国の大使を講義に招へいすることも可能だ。

 「プログラムが完全に英語化されているところが長所だ。これまでに大学で集めた情報を活用することができる。以前抱えていた問題を、ロシア側の観点から見ることが可能になった」とシェヴォレトさんは考えている。

 

 ロシア経済・国家行政アカデミー 

 ドミトリー・メドベージェフ首相は2010年、「ロシア国家行政アカデミー」と「ロシア経済アカデミー」を統合した。これによって誕生した教育ホールディング「ロシア経済・国家行政アカデミー」は、学生数でロシア最大となり、支部も65ヶ所に増えた。

 現在ロシア経済・国家行政アカデミーには、英語の修士課程が2課程ある。一つ目は「国際英語修士教育」で、「国際金融」、「プロジェクト管理」、「国際ビジネス」、「変革管理」の管理教育プログラム4種が含まれる。二つ目は修士教育「ロシア連邦大統領府付属ビジネス・経営学研究所」で、ロシア唯一の国際的管理者養成プログラムとなっており、ヨーロッパのビジネス・経営専門職認定(EPAS)を受けた。

 ロシア連邦大統領府付属ビジネス・経営学研究所修士課程責任者で、ビジネス・管理戦略講座上級講師のテイムラズ・ヴァシャクマゼ氏はこう話す。「率直に言って、ヨーロッパ市場はあまり成長していない。この点から、ロシアは未来の国際的管理者にとって、非常におもしろいはず。また、ビジネス・経営学研究所の修士課程は、東ヨーロッパで上位3位以内に入っており、EPAS国際ビジネス・スクール連盟のリストにも入っている」。

 ロシア経済・国家行政アカデミーの教授で、シェルパSプロ(Sherpa S Pro)社の最高経営責任者であるエフゲニヤ・シャミス氏はこう話す。「私の講義には25人の学生がいて、うち15人が外国人。私費留学生も国費留学生もいる。昨年はグループに、トルコ経済省でロシア関係を担当している学生もいた。このような学生にとって重要なのは、ロシア経済・国家行政アカデミーが国家機関と提携していることだ」。

 

 安上がり 

 ところでモスクワは、ロシア語以外の教育プログラムを用意している唯一の街ではない。サンクトペテルブルク国立大学には、ビジネス、管理、経済、国際関係、社会学、そして今年ジャーナリズム、政治学、生態学が加わる、英語の修士課程がある。

 サンクトペテルブルク国立大学学生受入管理部のエゴル・ヤブロコフ氏はこう考える。「ロシア文化を学びたいと考える外国人留学生は、人文、文学、歴史、哲学を専攻する。このような分野はロシア語の知識がなければ不可能だ。当大学の英語のプログラムを選択する学生には、他の理由がある。経済分野のプログラムであれば、ヨーロッパやアメリカで学ぶより、ロシアで学ぶ方がはるかに安く抑えられるのだ」。

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