米国で今なお需要のあるソ連製ブルパップ・アサルトライフル

TKB-022「コロボフ」

TKB-022「コロボフ」

Vitaly V. Kuzmin/vitalykuzmin.net
TKB-022「コロボフ」は米国のブロガーが射撃場での試射を夢見る幻のソ連製ライフルだ。

 これはソ連初のブルパップ・アサルトライフルだ。AK-47に勝つべく数々の性能を備えていたが、結局AKには敵わなかった。

ソ連初のブルパップ

 第二次世界大戦後、ソ連の技師らがグリップの中にマガジンを備えた奇妙な外見のアサルトライフルを軍事試験に出していたことはあまり知られていない。

 これはTKB-022と名付けられた試作品で、銃の寸法を縮めるためにマガジンをグリップとして使用していた。これによって強力な7.62×29 mm弾を使うアサルトライフルの長さと重さが削減されたことは確かだが、ソビエト軍の制式アサルトライフルの候補としては非常に使いにくいものになってしまった。

 このような銃が軍事試験で最新かつ強力なAK-47アサルトライフルに敗れたのは当然だった。

 15年後、コロボフはデザインを一新し、マガジンをストックに収めたTKB-022を作り出した。このようなアサルトライフルはブルパップ方式と呼ばれ、20世紀半ばのヨーロッパの銃器設計者の間では非常に人気があった。

「この技術的解決策によってコロボフは全体の寸法を減らすことができ、AK-47よりも精度が上がった。かなり良い銃で、7.62×29 mmアサルトライフルにとって重大な問題であるリコイルもほとんどなくなった。しかしTKB-022には、20世紀の戦争の実情を考慮すると受け入れ難い深刻な欠点があった。信頼性の低さだ」と兵器歴史家でアサルトライフルに関する著作もあるマクシム・ペペンケル氏は言う。

 彼によれば、TKB-022は潤滑油を注入しない状態や、凍らせた状態、熱した状態、泥に浸して汚した状態での射撃性能を確かめる耐久試験に合格しなかった。現在こうした試験がどのように行われているかについてはこちら。

「これはソ連の技師がカラシニコフ・アサルトライフルよりも技術的に優れた銃を提示した最初の例だった。しかし軍の量産アサルトライフルとして考えると、性能が劣っていた」とペペンケル氏は指摘する。

 TKB-022は技術的に複雑で変わった銃だと考えられている。技師はこの銃の部品を「鋼鉄の折り紙」と呼んだ。洗練された機構の製作は生産態勢に導入するのが極めて難しかった。

 銃の「洗練化」は理想的な作戦状況でしか成し得ない。結果としてTKB-022はソ連では採用されなかった。しかしブルパップ方式のライフルはNATOの特殊部隊では採用されている。

ブルパップ方式の特徴は何か、どんな部隊が使っているのか

 ブルパップ方式を採用すればバレルの長さを20~30㌢伸ばすことができる。すなわち銃の性能が指数関数的に向上する。同時に、狭い場所で扱いやすい軽くて精度の高い銃にすることができる。

「ソ連は正規軍用の銃を必要としていたため、TKB-022は軍事試験に合格せず、現在はトゥーラ軍事工場に置かれている。一方でオーストリア軍では同じ方式の銃が1970年代から採用されている」とペペンケル氏は話す。

 TKB-022の主な類似製品がオーストリアのステアーAUGだ。この銃はNATOの警察で広く運用されており、ゲーム『カウンターストライク』を通してゲーマーにもよく知られている。

「AUGはTKB-022と同じく繊細な銃だ。都市では理想的だが、田舎の作戦で使う部隊はない。この銃はポリマー製で、精度と効果を高める機構が詰まっているが、汚れに弱く、気まぐれだ」とペペンケル氏は指摘する。

 TKB-022は、カラシニコフ・アサルトライフルよりも精度が高く人間工学的に優れたソ連初のブルパップ方式の銃として歴史に刻まれた。

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