ロシア初の無人攻撃機「オリオン」

テック
イーゴリ・ロジン
 このドローンは次世代兵器を搭載し、世界中の敵の攻撃を防げる。だが、外国製のライバルと互角に張り合うには、相応の攻撃力も持たなければならない。

 「オリオン」は中高度長距離飛行無人機(NATOの分類では「中高度長時間耐用無人機」(MALE))だ。飛行性能が非常に高く、積載量も少なくないため、ミサイルや爆弾を搭載するのに最適だ。現時点で3機の「オリオン」が軍に導入されており、さらに数機が間もなく配備される。

 「オリオン」の翼幅は16メートル以上で、全長は8メートル、最大離陸重量は1トン、最大積載量は200〜250キログラムだ。巡航速度は時速120キロメートルとされるが、最高速度はまだ公表されていない。運用高度限界は7.5キロメートルだ。積荷と構成次第だが、最大で24時間飛行を続けられる。

 また、多目的の無線電子システムが搭載されている。特に目を引くのは、機体底部にある光電子装置だ。無人機はこれを使って偵察および攻撃目標の捜索を行い、攻撃の結果を観察できる。

 無人機に兵器を搭載するため、技師らは着脱式のパイロンを導入した。翼と胴体の下にある。

搭載兵器および外国製ライバルとの比較

 「オリオン」が誘導ミサイルと各種の爆弾を搭載できることは以前から知られていたが、積載量の制限を考慮して専用の小型爆弾が開発された。そうした爆弾が数ヶ月前に公開されている。

 「『オリオン』用に、また将来的な中型・大型無人攻撃機用に、一連の誘導爆弾が開発された。重さは20キログラムと50キログラムだ。メインはUPAB-50滑空爆弾で、『グラート』ミサイルの弾頭を備えている。同じ爆薬を持つKAB-50爆弾には赤外線・画像・レーザーホーミング誘導弾頭が搭載される。簡素版のFAB-50爆弾もある」と軍事科学アカデミーのヴァジム・コジュリン教授は明かす。

 最も小さいのがKAB-20爆弾だ。重さは約21キログラムで、7キログラムの爆薬が詰まっている。

 「近い将来、『オリオン』は衛星やレーザーに誘導される爆弾を搭載することになるだろう」とコジュリン氏は言う。 

 ロシアの技師らはこのドローン専用のX-50誘導ミサイルを開発した。このミサイルは長さ1.8メートルで、胴体の直径は180ミリメートルだ。重量は50キログラムで、うち20キログラムは弾頭の重さだ。

 「標準的な光学機器により、『オリオン』は地上を観察し、目標を探し出すことができる。そして既存の爆弾やミサイルを用いて少なくとも半径数キロメートル以内の地上目標を攻撃できる」とコジュリン氏は続ける。

 7〜20キログラムの弾頭を持つ兵器は、敵の兵員や軽装甲車両、防御の甘い施設を効果的に破壊できる。「本格的」な爆弾やミサイルには威力の面で劣るが、新兵器は軽量爆弾の隙間を埋め、有人・無人攻撃機の用途にいっそうの柔軟性を与え得る。

 「正直に言って、ロシアは無人機の製造で米国に遅れを取っている。米軍の無人機はイラクやアフガニスタンにおいてNATOの軍事作戦で幅広く活用され、遥かに豊かな実戦経験を持っている。種々の作戦に合わせた改良版・派生版も多く作られている。ロシアも2018年にシリアで『オリオン』を実戦投入したが、偵察任務のみで、目標の捜索・破壊はまだ経験していない。将来的に外国製のX-47B『ペガサス』やMQ-9『リーパー』と互角に張り合うには、まだまだ課題がたくさんある」と教授は考えている。

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