2021年2月末、ロシアはアブダビ(アラブ首長国連邦)で開かれた兵器展示会IDEX 2021で自国の最先端兵器を公開した。
これらの兵器はすでにロシア軍で採用されており、最新の軍備を求める中東の軍司令官の目に留まることが期待されている。
「現時点でモスクワは米国の主な同盟国の一つ、アラブ首長国連邦を引き込み、NATOの兵器をロシアの兵器に換えさせようとしている。去年、アブダビは約300万ドルでロシアのBMP-3兵員輸送車を購入しており、我が国の新型戦車や火器の購入も検討している」とイズベスチヤ紙の経済評論家アレクサンドル・レスヌィフ氏は話す。
それでは、兵器展示会IDEX 2021に出された注目のロシア兵器をご紹介しよう。
ロシアが第4世代戦車T-14「アルマータ」を初めて国外に持ち出した。
この戦車には、従来戦車に使われていなかった数多くの革新的な技術が採用されている。まず、2A82-1M 125 mm滑空砲を持つ無人砲塔だ。専門家によれば、これはどの外国製品にも勝る現代最強の戦車砲だという。
その火力は21世紀初めに製造されたドイツ軍の主力戦車レオパルト2のラインメタル砲よりも大きい。2A82-1M砲の砲弾の有効射程は8キロメートルで、地平線の向こうの標的を仕留めることができる」と科学アカデミーのヴァジム・コジュリン教授は指摘する。
「アルマータ」は最大で毎分12発撃つことができ、使用する砲弾の幅も広い。標準的な徹甲弾から重厚な装甲板を貫ける装弾筒付翼安定徹甲弾まで使える。
その火力の大きさはライバルと比較した場合の主な長所の一つと考えられている。
IDEX-2021で公開されたロシア兵器のうち、もう一つの注目の品がNATO標準の5.56×39 mm弾を使用するAK-19アサルトライフルだ。
簡単に言えば、AK-19はロシアの最新のアサルトライフルAK-12の発展版で、数多くの強みを持つ。どちらも有効射程は250~300㍍だが、最大の違いは使用弾薬にある。
「AK-19は主に中東市場と、大量の5.56×39 mm弾を持つ外国軍に向けて作られた。構造はAK-12と全く異なっている。AK-12よりも軽く、正直言って繊細で、美的でもあり、調整の幅が広い」とカラシニコフ・コンツェルンの広報担当者ウラジーミル・オノコイ氏は言う。
彼が指摘するように、AK-19は米国や欧州のライバルと同様、従来のAKに比べて射撃時の反動が軽い。
この銃はNATOで標準のピカティニーレールを備えており、外国の標準的な光学装置やレーザーポインターを取り付けられる。
新ライフルにはサイレンサーや、下向きの力を加えることでマズルブレーキの役目を果たす(反動とバレルの跳ね上がりを軽減する)コンペンセイターを取り付けることもできる。「しかも、AK-19は汎用性が高いモデルで、着脱が容易な外国のどんなサイレンサーでも付けることができる」とオノコイ氏は加える。
TSVL-8は.338ラプア・マグナム弾を使用するスナイパーライフルで、有効射程は1.5キロメートルだ。この銃は米国やフィンランドの高精度スナイパーライフルを上回るべく開発されたもので、ロシアにとって中東市場におけるもう一つの重要な兵器となるはずだ。
「我々が開発したライフルは既製品よりも高精度で、かつ短くなければならない。かさばる銃は上陸作戦や狭い場所での作戦に不向きだからだ」とロバエフ・アームズの主任技師ユーリー・シニチキン氏は語る。
彼によれば、このライフルのバレル長は500 ミリメートルで、弾丸の速度は秒速約1キロメートルだ。重さは5キログラム(米国のスナイパーライフルより1.5倍近く軽い)で、100メートル先に3発の弾丸を撃った場合、それらの着弾点は最大でも互いに14.5ミリメートルずつしかずれない。
「ちなみに、同じ距離でシュタイヤー・マンリヒャーのライフルを撃った場合、3発の弾丸のずれは最大で35ミリメートルずつだ。つまり、弾道のずれが大きく、標的を外す可能性も高くなる」と技師は説明する。
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