2021年ロシア軍はどんな兵器を導入するか

Andrey Kataev/Sputnik
 老朽化した兵器に代わって4700もの新兵器が導入される。

 ロシアは2021年の軍事予算の3分の2を兵器の獲得と修復に充てる計画だ。年末までに陸海空軍のすべての部隊で計4700もの兵器および戦闘支援システムが配備される。

 最も期待の大きいものをご紹介しよう。

核兵器

 2021年、ロシア軍は13基の大陸間弾道ミサイルシステムRS-24「ヤルス」と超音速滑空体「アヴァンガルド」を補充する。これらのシステムはコゼリスク、ヤースヌイ、ウジュール、ノヴォシビルスク、ヨシュカル・オラ、オレンブルク州(モスクワから1300キロメートル以上西にある州)に配備される予定だ。

超音速ミサイル「アヴァンガルド」

 ロシア軍は超音速ミサイル「アヴァンガルド」に必要な6つのミサイルサイロも更新する計画である。

 ちなみに、ロシアには今年サルマト大陸間弾道ミサイルシステムの試験に必要な試験場を改築する計画もある。これらの兵器について詳しく知るには、ロシア・ビヨンドのこちらの記事をご覧いただきたい

海軍

 かなりの数の船と潜水艦が海軍の戦列に加わる。特に、海軍は4隻の潜水艦(うち2隻はブラヴァ弾道ミサイルを搭載した955A計画「ボレイA」原子力潜水艦、1隻は885M計画「ヤーセンM」潜水艦)を配備する。現在の国家兵器計画では、ボレイA級とヤーセンM級の潜水艦を2027年までに14隻補充することになっている。

「ボレイA」原子力潜水艦

 海軍は6隻の船と22隻のモーターボートおよび支援船も新たに配備する。これには22350計画「アドミラル・ゴロフコ」のフリゲート艦1隻、20380計画「レチーヴイ」と「レースキー」のコルベット艦2隻が含まれる。また、海軍は12700計画「アレクサンドリート」の掃海艇「ヤーコフ・バリャーエフ」1隻も導入すると見られる。

空軍

 今年は100機もの飛行機とヘリコプターがロシア空軍に加わる予定だ。

 2021年、最新の多目的第5世代ジェット戦闘機Su-57が4機納入される。国防省はこの戦闘機を2024年末までに22機に、2028年までに76機に増やす計画だ。 

第5世代ジェット戦闘機Su-57

 その他、ロシア軍は2021年までにSu-34爆撃機の改良型を多数配備する。

 ロシアはMi-8AMTSH-VNシリーズの輸送ヘリコプターとMi-28NMシリーズの攻撃ヘリコプターも10機補充する。これらのヘリコプターは、ロシアがシリアでISISのテロリストの掃討作戦を始めた初日から戦闘に参加している。

 ロシアのメディアによれば、このヘリコプターは新しいエンジンとアビオニクスを搭載し、理想的な視界と捜索システムを備え、無人機と相互作用する能力を有している。このヘリコプター用に射程25キロメートルの新型ミサイルも開発されている。2027年までにMi-28NMを98機に増やす予定だ。

陸軍

 陸軍は400台以上の装甲車を導入する。これには、最新のT-72B3M戦車、T-80BVM戦車、T-90M戦車「プロルィフ」、BMP-3歩兵戦闘車、戦闘モジュール「ベレジョーク」を組み合わせた改良版BMP-2歩兵戦闘車、装甲兵員輸送車BTR-82Aが含まれる。

T-72B3M戦車

 モスクワ州連隊は200両以上の戦車、装甲兵員輸送車、歩兵戦闘車、火力支援車BMP-T「テルミナートル」、戦闘工兵車を配備する。T-14戦車「アルマダ」も導入される。

 さらに、中央軍管区の部隊は最新の重火力投射システムTOS-1A「ソンツェピョーク」も配備する。開発者らによれば、改良によって射程と精度が向上し、弾薬の費用も抑えられている。

 報道によれば、152 mm自走榴弾砲「コアリツィヤ-SV」も陸軍の戦列に加わるという。何両配備されるかはまだ明らかにされていない。

防空部隊

 2021年、S-400「トリウンフ」防空システム2基と対空ミサイルシステム「パンツィリ-S」18基がロシア軍の軍備に加わる。国防省は今年、最新の対空ミサイルシステムS-500「プロメテーイ」の試験を完了させ、配備を始める計画だ。 

S-400「トリウンフ」防空システム

 年末までに、ヴォルクタのレーダー基地「ヴォロネジ」の建設も完了する。

兵器購入状況の分析

 軍による今年の兵器購入は、2027年までの軍備増強長期計画に従ったものだ。国防省は軍備更新に年間2兆5000億ルーブル(約350億ドル)の予算を得ている。

 「ロシアの兵器購入の主眼は抑止力としての最新の核兵器を手にすることにある。我々の一番の目標は潜在的な敵が我が国を攻撃することを防ぐことだ。こちらが核兵器を持つことで、敵は攻撃を思いとどまる」と『アルセナル・オテチェストヴァ』誌のヴィクトル・ムラホフスキー編集長は語る。

 彼によれば、ロシアは2020年代半ばまでに核兵器を完全に更新する計画だという。

 「我々の第二の目標は、最新かつ最先端の防空システムを配備し、空の脅威から広大な国土を守ることだ。S-500『プロメテーイ』の開発は間もなく完了し、2021年末までに軍事演習で最初の完成品が公開されるだろう」と編集長は指摘する。 

 ムラホフスキー氏が指摘するように、ロシア国防省とロシア軍の今年から来年にかけての一番の目標は最新の核抑止力とハイテク防空システムを手に入れることだ。残りの兵器の更新も不可欠だが、最優先事項ではない。

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