ロシアが初の海軍歩兵輸送用サイクロコプターを開発中

有望研究財団(FPI)
 プロジェクトが成功すれば、世界初の軍用水平軸回転翼ドローンとなる。

 ロステフ社が9月末に初のサイクロコプター(ロシア語で「ツィクロリョート」)の試作品を公開した。海軍歩兵を輸送する無人機だ。

 「ツィクロン」(「サイクロン」の意)と名付けられた開発品は、重さ60キログラムのドローンで、現在は飛行試験中だ。

 現時点で試作機は最大20キログラムの貨物を運べる。開発者らの話では、海軍歩兵の安価な輸送手段として軍が関心を示しているが、将来的に軍が滑空爆弾や遠隔操作火器を搭載することを望めば、無人攻撃機となる可能性もあるという。

サイクロコプターとは何か

 サイクロコプターは、水平軸回転翼で飛ぶ航空機で、揚力を得るためにローターの回転を利用する。この方式にはヘリコプターと同じ長所がある。垂直離陸とホバリングができることだ。 

 開発品には他の長所もある。開発者らが例に挙げるのは、機体が嵩張らず、騒音を減らせるという点だ。これにより、戦場で機体を空に隠すことができる。水平軸回転翼は、他の推進力と違って、航空機に360度の推力偏向能力を与えることができ、機体の操作性が何倍にも高まる。

 当初サイクロコプターは市街地で利用したり、到達困難な山岳地帯で貨物輸送を行ったりするために開発されていた。同機は障害物があっても簡単に操作でき、垂直面に横付けしたり、斜面や揺れる面に離着陸したりできる。機体両脇のエンジンは金属板で保護されており、障害物にぶつかっても駆動部が損傷を受けないようになっている。

 「独立軍事論評」誌のドミトリー・リトフキン編集長は、サイクロコプターの主要な長所として、無音性と操作性を挙げる。ただし、人が乗る機体でこれらがどれほど実現されるかは未知数だ。

 「正直、車輪の付いた機体になるか、翼の付いた機体になるかも分からない。今はまだ近未来的な模型にすぎない。だがロステフは2024年までに有人サイクロコプターを開発できると確信している。どんなものになるかは、できてのお楽しみだ」と専門家は言う。 

 彼の指摘では、「ツィクロン」の長所は滑空爆弾や火器を搭載できることだが、彼はこのサイクロコプターが将来のロシア軍の技術開発を支えることになると見ている。

 「外国の軍には、水平軸回転翼で飛ぶ上陸部隊用の無人輸送機はない。この機能を担うのは海軍航空隊で、無人機はもっぱら偵察や武装勢力の陣地の爆撃に使われている」と彼は付け加える。

将来の展望 

 現在、有望研究財団(FPI)の技師らは、機体を空中に60分以上浮かせることができるハイブリッド動力装置の開発を終えつつある。

 来年初頭、サイクロコプターは軍事試験を受け、国防省の委員会がその長所と短所を評価し、一度に最大で完全装備の海軍歩兵6人を輸送できる本格的な機体を作るか否かの決定を下すことになっている。

 開発者らによれば、軍はこのプロジェクトに興味を持っており、後は軍事試験でその潜在能力を証明するだけだという。成功すれば、海上歩兵を上陸させるための世界初の陸上用・海上用サイクロコプターが作られる。

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