ロバエフ・アームズが特殊部隊用ライフルの消音版を公開

テック
ニコライ・リトフキン
 消音版モデルは、新しい亜音速弾薬、サイレンサー、さまざまな人間工学的工夫を特徴とする。

 ロシアのスナイパーライフル・メーカー、ロバエフ・アームズが、このほどモスクワ州で開かれた兵器展示会アルミヤ2020で、シリアにおいて「イスラム国」と戦うロシアの特殊部隊が用いている同社製のライフルの消音版モデルを公開した。

 

.338弾用のライフルの新モデル

 「我々はDXL-3とDXL-10スナイパーライフルの消音版を作った。前者はシリアにおいて参謀本部情報総局(GRU)の部隊(ロシアの精鋭特殊部隊)によって、後者は都市部で活動する連邦保安庁(FSB)の対テロ部隊によって用いられている」とロバエフ・アームズの主任技師ユーリー・シニチキン氏は言う。

 彼によれば、このモデルはマズルフラッシュを隠し、発砲音を押し殺すという。.338口径の弾薬を使うライフルの発砲音は数キロメートル離れていても聞こえ、一発撃てば潜んでいることがばれてしまう。 

 したがって、.338口径の銃にサイレンサーを加えることは、隊員の命を救うために必要不可欠なのだ。

 「DXL-3は最大1.8キロメートル先の標的を倒すために作られた、極めて長いスナイパーライフルだ。航空機のアルミ合金を使用しているが、古典的な高精度のライフル・デザインの強み(しっかりとしたベディング)はすべて残している」とシニチキン氏は話す。 

 ライフルの反動は6 mm PPC弾と同じかそれ以下で、射撃手は射撃場で丸一日快適に過ごせる。DXL-3には新しいボルトアクション方式DUKEが加えられた。これは世界で最も強力なSVLK-14スムラクのKINGシリーズをベースにしている。

 「このライフルのバレルは重いステンレス製で長さが740ミリメートルもあるが、それでも快適に仕事ができるよう、銃は折り畳み式のストックを備えている。この長いバレルは0.35分(角度の単位。この数値は、100メートルにつき弾のばらつきが10.5ミリメートル以内ということを意味する)の精度をDXL-3に与えている」と主任技師は補足する。 

 彼によれば、このライフルは過酷な土地条件やマイナス45度からプラス65度の気温に耐えることができるという。

 

市街戦用ライフルのアップデート 

 同様のアップデートは、市街地で活動する対テロ部隊用に作られたDVL-10スナイパーライフルにもなされた。

 ロバエフ・アームズは、狭い市街地でマズルフラッシュと発砲音を隠す、このモデル専用のサイレンサーを公開した。

 他の市街地用ライフルと比べて反動はほとんどない。シニチキン氏の説明では、同社には生体力学の専門チームがあり、発砲中にライフルの位置を視線上に保つため、反動を最小化するという課題に取り組んでいるという。 

 「DVL-10はいくつもの専門的な射撃試験に合格しており、銃を完璧にするために多くの調整がなされてきた。この生体力学チームもまた、銃を不正確に握ることがない(射撃の精度の点で重要)ようにする理想のグリップを作るのにかなりの時間をかけた」と主任技師は述べる。 

 DVL-10の弾のばらつきは、100メートルにつきおよそ1.5センチメートル以内だ。

 

将来の計画 

 ロバエフ・アームズは、新時代のスナイパーライフルの製作にも取り組んでいる。7キロメートル先の標的を仕留められる銃だ。このDXL-5というモデルについては、こちらの記事で詳しく知ることができる

 同社はまた、スナイパーライフルをロシア国外でも販売することを計画しているが、まだロシア以外に生産拠点を作る予定はない。「これは議論の余地がある。我々のプロジェクトに関心を持つ国々でさまざまな部品を組み立てたり派生モデルを作ったりし始める可能性はある。だが、外国に本格的な工場を建てるという話は時期尚早だ」とシニチキン氏は締めくくる。