消音ライフルAK-9はどんな銃か

Macaque123 (CC BY-SA 4.0)
 この兵器は400㍍以内の敵を容易に殺傷できる。発砲音は聞こえない。

 カラシニコフ自動小銃は1940年代末から軍や特殊部隊の主要兵器であり続けている。雨や雪の中でも作動するという信頼性の高さで名声を得ている。設計者らは、今度は消音兵器部門という市場の隙間をAKで埋めることを決めた。 

過去数十年のモデルの欠点

 80年代末から、ロシアの特殊部隊の武器にはサイレンサーを内蔵した特殊狙撃銃(VSS)ヴィントレスと、特殊自動小銃(AS)ヴァルという2つのライフルがあり、400㍍以内の狙撃に用いられる。

 しかし、30年間の運用を通していくつもの欠点が明らかとなった。そこで武器設計者らはこれらの銃に替わる新しい銃を作ることに思い至った。 

 「ヴァルやヴィントレスの寿命は約5000発だ。内部機構の一部が消耗するため、数千発撃ったら新しいものに替えなければならない。これは控えめに言っても具合が悪い。一度の訓練で300発以上は撃つからだ。つまり、一ヶ月訓練を受ければ、新しい小銃に替える手続きに行かなければならない」と治安・国防関係機関に勤める匿名希望の情報提供者はロシア・ビヨンドに語る。

 彼によれば、これらの銃はサイレンサーなしで撃つことができず、清掃や分解の際に失くしてしまう小さな部品がたくさんあるという。

 こうした欠点にもかかわらず、この狙撃手は、VSSヴィントレスやASヴァルは古典的なAKとスナイパーライフルとの中間に位置する悪くない銃と呼ぶ。技術的な欠点があるとはいえ、これらの小銃があれば400㍍以内の敵を効果的に排除できるからだ。

 「例えば、5.45×39 mm口径のAKの有効射程は250~300㍍で、一方最も小口径の.308 ウィンチェスター弾を用いるスナイパーライフルの有効射程は500~600㍍だ。この場合、問題となるのは値段だ。一丁当たり数千ドル以上で、ロシアのすべての部隊が購入できるわけではない」と彼は続ける。

AK-9

 こうした運用上の欠点と狙撃手らの希望を受けて、武器設計者らは敵を密かに狙い撃つ無音かつコンパクトな新しい小銃の開発を始めた。こうして誕生したのが消音射撃専用の9×39 mm弾を使用するAK-9だ。この弾は、400㍍先にある防御レベル2の防弾チョッキや無装甲の軍用車両を貫くことができる。

 技術的に、AK-9はAK-74Mの古典的な構造を継承している。主な違いは、AK-9はAK-74Mに比べてガスチューブと銃身のつなぎ目が短くなっているという点だ。さらに、新しい亜音速の9×39 mm弾は、威力ではAK-74Mの5.45×39 mm弾に劣るが、その代わりに無音・無炎で目標を撃つことができる。

 AK-9は銃身下に擲弾発射器や、レーザーサイトとフラッシュライトを取り付けられるようになっている。レシーバーの左側には光学コリメーターや暗視スコープを取り付けるピカティニー・レールがある。

 新しい自動小銃はVSSヴィントレスやASヴァルとは異なり、サイレンサーがあってもなくても撃つことができる。従来の特殊部隊用モデルはサイレンサーを付けた状態でしか撃てなかった。給弾は装弾数20発の着脱式箱型マガジンによって行われる。

 AK-9の射撃モードは古典的なままで、セミオートとフルオートだ。新しいAK-12の2点バーストのような新奇なものは特にない。

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