① この巨大なヘリコプターは、ソ連・ロシアのヘリコプター産業の誇りだ。全長40㍍のMi-26は世界最大のヘリコプターで、現在までに318機が製造されている。
② この空飛ぶマンモスは、最大20㌧の貨物を、機内に収納するかケーブルで吊り下げるかして運ぶことができる。
③ およそ90人の空挺兵がゆとりをもって搭乗でき、60人の負傷兵を寝かせて運ぶこともできる。しかし、バスケットボールコートがすっぽり入る貨物室を持つMi-26の機内には、100人以上の乗員が詰め込まれたこともあった。
④ Mi-26は1984年にアフガニスタンでデビューした。このヘリコプターは武器を輸送し、負傷兵を戦場から避難させ、損傷を受けたMi-8ヘリコプターを救出した。
⑤ 2002年、この象徴的なヘリコプターは再びアフガニスタンの空域に入った。損傷を受けたヘリコプターMH-47E「チヌーク」とAS532「クーガー」を山地から救出するのに使われたのだ。
⑥ このヘリコプターは、軽戦車や歩兵戦闘車を難なく運ぶことができるが、軍事利用がすべてではない。Mi-26は、産業部門では材料の運搬や建設作業に用いられている。消火活動に使われることもある。チェルノブイリ原発事故の際には人々の救出活動に当たった。
⑦ 2009年、サンクトペテルブルク市民が固唾を呑んで見守る中、Mi-26はTu-134飛行機をプルコヴォ空港から非常事態省の訓練場まで運んだ。
⑧ この航空機は重い貨物だけ運んできたわけではない。一度、北極で母親を失った子熊の救助要請を受けた。幸運な子熊は救出され、自然保護区に移送された。
⑨ しかし、「Mi-26の最も変わった貨物」の称号に相応しいのは、20㌧の毛むくじゃらの冷凍マンモスだろう。
⑩ 不幸にも、世界最大のヘリコプターは、史上最悪の撃墜事件に遭ったことでも知られている。第二次チェチェン紛争中の2002年、Mi-26はチェチェンの戦闘員らに撃墜され、乗員127人が死亡した。