ロシアは2019年までに、シリア・アラブ共和国の復興のために装甲重機を製造する。然るべき「民間用の装甲車」の開発という課題に取り組むのは、ロシア国内の装甲車両市場を独占する「ウラル車両工場」だ。同社は新世代戦車T-14「アルマータ」を製造している。
スーパートラクターとその他の重機
この企業はすでにさまざまな経済・生活施設の再建や建設に役立つ一連の鉄道車両や建設機械を開発している。中でも最も興味深く風変わりなのが、瓦礫の撤去や畑の耕作に使用できる装甲トラクター、B10M2とB12だ。
企業の関係者がロシア・ビヨンドに話したところによれば、トラクターは土地の清掃の際や自然災害、武装集団の銃撃の際にも自由に活動できるよう、カムフラージュが強化されている。
新重機は、戦闘中あるいは自然災害の復興作業中の落石や倒木、弾丸や工学的任務遂行の際に出た破片などから人間を守ることができる。
並外れた重機の開発のため、ウラル車両工場は、シリアでの戦闘で武装集団の銃撃を受けて損傷した重機の補修を経験した軍事専門家らをプロジェクトに参加させた。
こうして、トラクターは現地の武装集団が持ついかなる軽火器からの銃撃にも耐えられる強度を備えた装甲を手にした。その上このメーカーは、こうした重機に対して用いられ得る対戦車兵器に備えた追加の装甲を施す可能性もある。
装甲重機の起源
ロシアはこの種の装甲重機の開発という点で先駆者というわけではない。第一人者はイスラエルで、1990年代初めにはすでにテロリストとの戦闘や非戦闘員の保護のための重機を作り始めていた。また、こうした重機はバリケードの破壊や瓦礫の撤去のため市街戦にも用いられた。
イスラエルの例に倣い、中国や日本、米国、フランスなど他の国々もこの方面での実験を始めた。しかし、ロシアの重機はモジュール性の原理という点で他国メーカーのモデルと根本的に異なっている。
例えば、ロシア製トラクターの防弾ガラスは約35キログラムで、野外でも必要に応じて機動的に交換できる。他方、外国製のものは一台につき最大4種類の防弾ガラスが張られ、中には総重量が100キログラム以上に達するものもある。したがって野外でクレーンなしにガラスを交換することはほとんど不可能だ。
ウラル車両工場の指導部の考えでは、同社の新重機は戦闘が頻発する農業国の多くで高い需要が見込まれる。