なぜロシア軍は今なおソビエト製の古い飛行艇を使用しているのか

MAKS-2009航空ショーで染められた水を解放している飛行機Beriev BE-200

MAKS-2009航空ショーで染められた水を解放している飛行機Beriev BE-200

Sergey Vladimirov撮影
 ロシアの野心的な飛行艇開発計画の中には実現しなかったものもあるが、実現したものは今でもロシア海軍を支え続けている。製造から50年以上を経て現役のものもある。

1) MBR-2

飛行艇MBR-2はG.M.ベリエフの指導で開発され、 1932年5月3日に初めて空を飛んだ。 第二次世界大戦の時に使用されていた。

 飛行艇MBR-2は第二次世界大戦中に偵察機や爆撃機として効果的に使用された。パイロットから「牛」や「納屋」と呼ばれたこの飛行艇は、火力の弱さと速度の遅さゆえに敵の格好の餌食だった。そのためMBR-2は専ら夜間空襲に使用された。

2) ベリエフR-1

ベリエフR-1

 R-1はソビエト初のターボジェット式飛行艇として、米軍の艦上戦闘機FH1ファントムやF9Fパンサーと同じ速度で飛行できるはずだった。しかしながら技術的な問題と航続距離の短さから、この飛行艇は一機も製造されなかった。

3) Be-12

活動中のBe-12飛行艇。

 このベテラン飛行機はソビエト海軍とロシア海軍で58年にわたって活躍しており、ロシア軍で最も古い飛行艇だ。Be-12飛行艇の主な任務は、敵の潜水艦を見つけ出して破壊することだ。老朽化しているため、近いうちに後継機に更新するか、完全に最新化される予定。

4) A-40

ゲレンジク、2000年 9 月 7日。 A-40「アルバトロス」対潜水艦主力水陸両用機が黒海の岸で行われたHydro-Air Show-2000で興業飛行を行う。

 1980年代に開発されたA-40は、ソビエトの対潜水艦主力水陸両用機としてBe-12に取って変わった。以後の開発計画はソ連崩壊とともに崩れ去ったが、現在国防省はA-40に2度目のチャンスを与えることを検討している。

5) Be-200

G・M・ベリーエフ記念タガンローク航空科学技術複合 がデザインし、「イルクート」が生産したBe-200がMAKS-2017で興業飛行をしている。モスクワ州、ジュコフスキー。

 世界で唯一の原子力水陸両用機であるBe-200は多目的機だ。捜索・救助作戦、人員・貨物輸送、海上哨戒任務にも応用できる。 消火任務では、この飛行機は水面を数秒間航行するだけで最大12.5メートルトンの水を吸い上げ、火災現場に水を投下できる。

6) VVA-14

 ベリエフVVA-14は、ソビエトの設計者らが垂直離着陸式水陸両用機を開発しようとして失敗した例だ。この飛行艇は戦略的・戦術的爆撃機として用いられると期待され、核兵器を搭載される計画だった。しかし垂直離着陸に適したエンジンがなかったため、設計者らはひとまずVVA-14をグラウンド・エフェクト車両に変更した。だがその後、計画自体が立ち消えになった。

7) ベリエフ2500

 最大航続距離16000キロメートルというこの野心的な飛行機は、長距離海洋横断飛行での貨物輸送に利用される計画だった。史上最大の飛行艇となる予定だったが、結局計画が始動することはなかった。

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